食事の内容に問題があり便が出にくくなっている場合があります。食事内容を見直してみましょう。
繊維が不足している
穀類などの炭水化物がが多すぎる
おやつばかり与えている
このように食事に偏りがあると便秘になりやすくなります。
ドッグフードを見直すことで、コロコロウンチなどの便質を解消できる場合があります。
人も便秘になると、食べ物を工夫したり、お腹に良いものを取り入れたりしますが、ワンちゃんにはどうなのでしょうか?
便秘と聞いて思いつく食品が、愛犬の便秘に適しているか、アドバイスします。
ヨーグルト ◎(乳糖不耐性は×)
ヨーグルトの乳酸菌が腸で働いて腸内環境を整えてくれます。少量であれば上げても問題ありません。
ただしヨーグルトは乳製品です。乳糖不耐性によって下痢になるワンちゃんの場合は止めましょう。
オリーブオイル ◎
オリーブオイルの主成分の「オレイン酸」は、腸の蠕動運動を促します。また、便の表面がオイルで覆われ、排泄しやすくなる働きもあります。
オリゴ糖 ◎
オリゴ糖はお腹の善玉菌を増やす効果があります。オリゴ糖は腸の中で善玉菌のエサになるので、善玉菌を増やし、悪玉菌を減らす働きをします。
健康な消化吸収を維持し、腸の働きを活発にしてくれます。
キャベツ ◎(ただし注意が必要)
キャベツには繊維が多く含まれ便質のケアに期待ができます。またキャベツに含まれるビタミンUが消化管粘膜を保護し、腸の働きを活発にしてくれます。
ただし、キャベツは食べ過ぎると甲状腺機能低下症を引き起こすことがあるので注意が必要です。
リンゴ ◎
リンゴには腸の運動を活発にする作用と、リンゴの繊維が水分を吸収して便がカチカチになるのを防いでくれます。
リンゴの皮の裏にはペクチンがたくさん含まれており、善玉菌のエサになるので腸内環境を管理することができます。
さらにペクチンは水溶性食物繊維なので、便中の水分を吸収し柔らかい便質にしてくれます。
さつまいも ◎
サツマイモには食物繊維が多く含まれます。この食物繊維が便中の水分を多く保持し、カチカチになりがちな便をやわらく、排泄しやすくします。
水分は、一部は尿として排出されますが、それ以外は便や汗として体内で使用されています。
水分量が少ないと、便に水分が行かず、便が硬くなって便秘を進行させてしまいます。
つまり、しっかりと水分を補給することが、便秘のケアになるということです。
体重が5kgのワンちゃんが、1日に必要な水分量と尿の量は
1日に必要な水分量:250~350ml (※1)
尿量:120~205ml (※2)
となります。
水分摂取量を増やすためには、いつでも水が飲めるようにし、場合によってはウェットタイプのフードなどを利用して、積極的に水分を摂らせる工夫が必要になります。
※1:1日に必要な水分量の計算は「体重(g)×0.05~0.07ml」 ※2:正常な尿量は体重1㎏あたり24~41ml
酵素には動物性酵素と植物性酵素があります。植物性酵素は、動物性酵素の働きを活性化させ、消化管の働きかけます。植物性酵素は体内で合成できないためサプリメントなどで摂ることをおすすめします。
腸内は様々な菌が多く含まれていますが、乳酸菌より増えた善玉菌が腸内容物を分解し、便質を向上してくれます。乳酸菌が多いほどよいと言われていますが、乳酸菌も様々な株の種類があり、どの株がどう働くかは、人によって異なります。これはワンちゃんにも同様で、人に適していると言ってもワンちゃんにも同様であるとは限りません。
今度は体の外側からのケアや運動について解説します。
ワンちゃんの体にはさまざまなツボがあります。ツボをマッサージしてあげることでも腸の動きを活発にして、ウンチの硬さを解消することにつながります。
ワンちゃんを仰向けにして、お腹を上から見た時に、大腸はクエスチョンマークを描くように配置されています。
大き目のクエスチョンを描くように優しくマッサージすると腸の動きが活発になります。
腸にはたくさんの血管があります。お腹が冷えてしまうと血液循環が悪くなりますので温かいタオルやカイロでお腹を温めて血液循環を良くするのも良いでしょう。
ツボとは、神経がつながっている節目やつなぎ目のことで、疲れやストレス、体調不良があると原因となる個所のツボを押さえると痛みが出ます。ツボは強く押すと逆効果ですので、温めたり、軽く指で押さえるのがコツです。
便秘のツボは以下です。
百会:腰の一番高いところが百会です。
関元:臍から恥骨までを5等分して下から5分の3の所。
長強:尾の先にあります。
後三里:脛の骨の内側。膝から踵までを2等分した位置の少し上。
体をしっかり動かすことで血液循環が良くなりますし、腸の運動も活発になります。激しい運動でなくてもかまわないので、散歩をして、しっかり歩くようにしましょう。
内臓脂肪が多くなると、消化管の周りにも脂肪が絡みつきます。脂肪は消化管が冷える原因になり、さらに脂肪が邪魔で腸のぜん動運動の妨げになってしまいます。
症状別に考えると、便秘には急性の便秘と慢性の便秘があります。
一過性の便秘ドッグフードの変更や生活環境の変化などをきっかけにして起こるもので原因を取り除けば治ります。
病気が原因の便秘は、異物や腸捻転・腸重積などが原因になります。
3日以上便が出ない、毎日出るが硬く小さく少量である場合は慢性の便秘です。
このような状態を放置してしまうと、大腸がんなどのリスクが高くなります。
長期的なストレスや環境変化に適応しにくいなどが原因になることが多いです。
腸の機能が低下した場合に起こります。
常習性便秘の症状
直腸が弛緩していて、便をしたいという感覚をコントロールする神経が鈍感になり便意が弱いどちらも、便を我慢することが原因で起こります。
便が直腸に溜り過ぎると、腸の壁が伸びてしまい、ぶよぶよした感じになり収縮しにくくなります。また、神経に対しても圧迫が起こりますので感覚が鈍くなってしまいます。排便を我慢してしまう際の、考えられる原因は以下になります。
常習性便秘の原因
散歩の回数や、長時間の留守番などによる我慢のしすぎ、ストレス、年齢や環境の変化による腸内環境の変化
便秘にはさまざまな原因があります。一時的なものであれば水分をとったり、運動などで解消することもありますが楽観はできません。普段から消化性に優れたタンパク質と良質な食物繊維を使用したドッグフードの見直しや、マッサージなどのストレスケアなどを行って、ワンちゃんの健康を維持してあげましょう。