つやつやと輝き、シルクのような手触り。そんな毛並みに憧れるのに、どうしてぱさぱさ・ボサボサになってしまうのでしょうか?シャンプーが合わないのか、ドッグフードが合わないのか…ついキラキラしている毛並みのわんちゃんと見比べてしまいますよね。この記事では、健康を維持し艶やかな毛並みを維持する方法について紹介していきたいと思います。そして、今はそんなに気にならないというワンちゃんも、もしかしたら、ぱさぱさ・ボサボサ予備軍かもしれません。このような感じがあると、将来パサパサ、ゴワゴワの被毛になる可能性が高いです。そんなワンちゃんのためのケア方法についても解説しているので、しっかり対策していきましょう。
毛並みを良くするためにはまず皮膚を丈夫に健康にする必要があります。毛根のある皮膚を真皮層といいます。この真皮層に血管と神経が集まっていて、毛根に栄養を運んでくれます。つまり皮膚を健康な状態に保つことが毛並にとっても重要ということです。皮膚や角質や被毛の成分は「ケラチン」と呼ばれるタンパク質から作られています。健康的な皮膚を作るためには、良質なたんぱく質は必須と考えてよいでしょう。副産物などの品質の悪いたんぱく質は避けたほうが賢明です。また、ワンちゃんの皮膚は人間と比べて非常に薄く、1/5程度しかありません。皮膚が薄いと肌の水分を保持することが難しくなります。乾燥から肌を守るためにはオメガ3脂肪酸や6脂肪酸が有効なので、原材料にDHAやEPA、サーモンオイルや亜麻仁が含まれたフードはおすすめです。皮膚の健康と、乾燥から肌を守るために、ドッグフードを見直してみましょう。
ブラッシングで、被毛のもつれを解き、汚れを取り除いてあげましょう。また、ブラッシングすることで、皮膚のマッサージにもなり、血液循環が良くなります。血液の流れが良くなると、毛根に栄養素や酸素がより多く供給されます。適切なブラッシングを行うには、ブラシの選択が大切になります。ブラシの毛先が尖ったり、硬いものは皮膚の表面に傷をつける原因になります。毛先が丸くなっているものや豚毛などのブラシを選ぶと良いでしょう。
美しい毛並みを保つために、シャンプー選びも重要です。まず見てほしいのは「弱酸性」「中性」のシャンプーは選ばないことです。人間にとっては弱酸性のものが良いとされていますが、犬の皮膚のpHは「アルカリ性」です。ヒトの皮膚は弱酸性ですから真反対なのです。皮膚をバリアしている部分まで洗い流してしまう事で、抵抗力が落ち、細菌感染しやすくなってしまいます。
ワンちゃんの皮膚はとても薄いので、繊細でデリケートです。こすり過ぎるとターンオーバー中の繊細な皮膚がめくれてはがれて落ちてしまいます。洗う時は、やさしく、傷つけないよう注意しましょう。くれぐれも爪を立てて、ごしごし洗わないように気をつけてください。どうしても泡が立ちにくい時には、泡だてネットを使うのも良いですね。流す際は、熱いお湯だと痒みが出たり、皮膚から水分が蒸散しやすくなるので、ぬるめのお湯で洗ってあげてください。また、脇や股、首の下などは洗い残しがでやすい場所です。シャンプー液が残ると皮膚炎の原因になりますので、最終チェックを忘れないようにしましょう。水分を拭くさいも、ごしごしと強くこするのではなく、優しく押さえてあげてください。毛についた目やになどの汚れは、ふやかすようにして落とすと、刺激が少なく楽にとることが出来ます。
ドッグフードを良質のものにしたり、シャンプーやブラッシングを工夫しても毛並みが悪いなら、疾患が隠れている可能性もあります。早めに動物病院を受診して、調べてもらいましょう。
甲状腺機能低下症
甲状腺からのホルモン分泌が少なくなり起きる病気です。
皮膚の症状:「色素沈着」「薄毛」「左右対称の脱毛」「皮膚の乾燥」「フケ」など
検査:血液検査で甲状腺ホルモン量測定をします
治療:甲状腺ホルモン製剤の投薬で一生涯続きます。甲状腺ホルモンの測定は定期的に行い、薬容量の過不足を確認します。
検査費用:ホルモン濃度測定検査に10,000円~、内服薬に月3,000円~ 検査費用は検査機関によって異なりますが、5,000円~程度です。
シラミ・ツメダニ
外部寄生虫で皮膚や被毛に寄生します。シラミは皮膚やフケをかじり皮膚の炎症が起きます。またツメダニはフケが大量に出て強い痒みを伴います。
皮膚の症状:「痒み」「皮膚の炎症」「フケ」など
検査:肉眼または顕微鏡で成虫・卵を確認します
治療:シラミの成虫は駆除薬があり、皮膚に駆除薬を塗布することで死滅します。
卵に効く薬はないので、卵からかえり成虫になるのを待って駆除します。
また、皮膚を成虫がかじりとり皮膚炎が起きた場合は、抗生剤や抗ヒスタミン薬などで治療が必要になります。
治療期間は1~2カ月ほどです。卵のついた被毛をカットすると治りが速くなります。
ツメダニは人にも感染するので注意が必要です。万が一移ってしまった場合は、皮膚に塗布する薬で治療を行います。
検査費用:駆除薬が1,500円~、その他10,000円~程度です。体格や寄生の程度によって変わります。
タンパク漏出性腸症
タンパク漏出性腸症とは、腸管から多量のタンパクが漏れ出てしまうことが原因で血液中のタンパク量が減少する病気です。
原因:腸のリンパ腫やリンパ管拡張症、IBD(慢性腸炎)など
症状:慢性的な下痢がおこり、タンパク質が吸収されないので低蛋白血症、被毛のトラブル、元気喪失、浮腫など
検査:血液検査・内視鏡・組織生検などを行います。
治療:原因に応じた治療を行います。リンパ腫ならば、抗がん剤の投与、慢性腸炎ならば、消炎剤などの投与、食事療法など。
検査費用:確定診断のための検査に20,000円~、内服薬などが月に5,000円~、生涯治療を要することもあります。(※体格や必要とする検査内容によって費用は変わります)
ペット保険の会社によってはシラミとツメダニが適応外になる可能性があります。また、療法食を治療に用いる場合は保険適応外です。ほかの項目に関しては会社にかかわらず保険適応です。
甲状腺、蛋白漏出性腸症については治療は一生になることが多いです。シラミやツメダニは寄生の程度によりますが1~2カ月前後で軽快することが多いです。ワンちゃんのためにも、しっかりと対策しておきましょう。
毛並みの良さは、ドッグフードや、シャンプーの選び方でケアできる場合もあります。ワンちゃんの体は食べたもので作られているから、品質の良いドッグフードを選んであげることが大切ですね。更にストレスを溜めないことも大切です。外で元気に走り回って、健康を維持し、美しい毛並み、毛艶を保ってあげましょう。