「留守番中の鳴き声が近所に迷惑をかけていないか」。ペットと集合住宅で暮らしていると、これは常に頭の片隅にある心配です。対策を調べると必ず出てくるのが内窓(二重窓)ですが、効果の説明に出てくる数字がページによってバラバラでした。
あるところは「約15dB」、別のところは「30dB」。同じ内窓の話なのに倍以上違います。
編集部でも気になったので、YKK APとLIXILの公式情報を確認しました。すると、この2つはそもそも測っているものが違うことが分かりました。さらに、効果を左右するのは製品選びよりも「付け方」だという、メーカー自身の記述も見つかりました。
くらすけ
内窓をつけたら、鳴き声って本当に外に漏れなくなるの?
「15dB」と「30dB」、何が違う?
先に結論です。この2つは別のものを指しています。
| 数字 | 何を指しているか |
|---|---|
| 約15dB | 内窓を足したことによる低減量。YKK APは「ウチリモ内窓/プラマードU」について「約15dBの防音効果があります」としています[1] |
| 30dB | 窓そのものの遮音等級。T-2等級の窓が遮る量として説明される数値で、内窓の追加効果とは別の話 |
つまり、「内窓を入れたら30dB静かになる」という理解は正確ではありません。内窓の追加によって期待できるのは、メーカーが示す約15dB[1]のほうです。
では15dBはどれくらいなのか。ここでLIXILの説明が役に立ちます。同社は「人間の耳は、音の大きさが10dB下がると音が半減したように感じると言われ」ると説明しています[2]。
この換算を当てはめると、約15dBの低減は「体感で半分以下」に相当します。これは十分に意味のある変化です。ただし「聞こえなくなる」わけではありません。
くらすけ
「ゼロになる」じゃなくて「半分以下になる」。そこを勘違いしないのが大事なんだね。
効果を決めるのは、製品より「付け方」
ここが今回いちばん実務的な発見でした。LIXILは、防音効果を高める条件を3つ明記しています[2]。
- ガラスは厚くするほど防音効果が高まる。さらに「既存の窓と『インプラス』のガラス厚が異なると効果は高まります」
- 既存の窓と内窓の距離を大きくするほど防音効果が高まる。「窓枠の範囲内でできるだけ離すのがおすすめ」
- 複層ガラスの場合、内外のガラス厚が異なると防音効果が高まる
YKK APも「ガラスが厚いほど防音効果があります」としています[1]。
注目すべきは2番目です。同じ製品を買っても、既存の窓からどれだけ離して取り付けるかで効果が変わるとメーカーが言っています。これは製品カタログを比べても分からない部分で、施工の話です。
つまり、見積の段階で「窓枠の中でできるだけ離して付けられますか」と聞く価値があります。
カタログの数値をそのまま期待しない
もうひとつ、正直に押さえておくべき点があります。
YKK APは、カタログの遮音性能値について「実験室と実際の住宅では窓以外のすき間の有無など、空間の条件が異なるため、カタログに記載している窓の遮音性能値と、実測する数値とは異なる」と説明しています。
これは当然のことでもあります。音は窓だけを通るわけではなく、壁・天井・床・ドア・換気口からも回り込みます。窓だけを強化しても、他の経路が残っていれば全体としての低減量はカタログどおりにはなりません。
編集部としては、内窓は「鳴き声対策として最も費用対効果の高い一手」だと考えます。ただし「これで解決する」ではなく「大きく減らす」という理解で入るのが正確です。
費用はいくら?
窓の種類とガラスの仕様で変わります。以下は公開されている相場情報です。
| 内窓の仕様 | 費用の目安(1箇所) | 出典 |
|---|---|---|
| 単板ガラス・腰高窓 | 約7万5,000円〜9万円 | [3] |
| 単板ガラス・掃き出し窓 | 約17万5,000円〜20万円 | [3] |
| 複層ガラス・腰高窓 | 約8万5,000円〜10万円 | [3] |
| 複層ガラス・掃き出し窓 | 約20万5,000円〜23万円 | [3] |
掃き出し窓(床まである大きな窓)は、腰高窓の倍以上になります。犬が窓際で外を見て吠える場合、対象になるのはたいてい掃き出し窓のほうです。
費用を抑える考え方: 家じゅうの窓をやる必要はありません。吠える場所の窓、または近隣に最も近い面の窓に絞れば、1〜2箇所で済むことがあります。
補助金は使える?
※補助金はペット専用の制度ではなく、住宅リフォーム一般の制度の活用例です。申請は施工業者経由が原則で、対象工事・性能要件・期間に条件があります。最新情報は各制度の公式サイトでご確認ください。
内窓は、住宅の断熱改修を対象とする補助制度の対象になりやすい工事です。ただし制度ごとに、ガラスの仕様や開口部の面積などの性能要件が定められており、同じ「内窓の設置」でも仕様によって対象外になります。
制度名・補助額・申請期間は年度ごとに変わるため、この記事では具体的な制度名と金額を記載していません。見積を依頼する施工会社に「この工事で使える制度があるか」を直接確認するのが最も確実です。なお補助を受けられる仕様が、防音の観点で最適な仕様とは限りません。
ペットのいる家で内窓を選ぶときの注意
1. 開け閉めが2回になる
内窓は既存窓の内側にもう一枚つくものなので、換気のたびに2枚開けることになります。猫の脱走対策で網戸を強化している場合、開ける手順が増える点は事前に想像しておいてください。
2. 窓辺の居場所が変わることがある
窓際が猫のお気に入りの場所になっている家では、内窓の枠のぶん窓台が狭くなる可能性があります。現地調査のときに、猫が乗っている場所を伝えてください。
3. 夏の室温には有利に働く
内窓は断熱の工事でもあるため、留守番中の室温が上がりにくくなる方向に働きます。鳴き声対策と暑さ対策を1つの工事で兼ねられるのが、内窓の費用対効果が高い理由です。
4. 鳴くこと自体は住まいでは解決しない
内窓は音が外に伝わる量を減らす設備であって、吠える理由をなくすものではありません。分離不安など行動面の原因が疑われる場合は、住まいの工事と並行して、かかりつけの獣医師にご相談ください。
どの窓に付けると効くか相談する
工事が必要かどうかの切り分けから相談できます。相談は無料です。お見積りは施工会社が現地を見たうえで作成します。
よくある質問
Q. 内窓の費用はいくらですか?
窓の種類とガラス仕様で変わります。単板ガラスの腰高窓で約7万5,000円〜9万円、掃き出し窓で約17万5,000円〜20万円。複層ガラスならそれぞれ約8万5,000円〜10万円、約20万5,000円〜23万円という目安があります[3]。
Q. 内窓で犬の鳴き声は本当に静かになりますか?
YKK APは内窓について約15dBの防音効果があるとしています[1]。LIXILの説明では10dB下がると音が半減したように感じるとされるため[2]、体感では半分以下になる計算です。ただし「聞こえなくなる」わけではありません。音は壁・ドア・換気口からも伝わるためです。
Q. どのガラスを選べばいいですか?
厚いほど防音効果が高まります。さらにLIXILは、既存の窓と内窓のガラス厚が異なるほど効果が高まるとしています[2]。複層ガラスの場合も、内外のガラス厚が異なるほうが有利です[2]。
Q. どこに付けると効果が高いですか?
LIXILは「既存の窓と『インプラス』の距離を大きくするほど防音効果が高まります。窓枠の範囲内でできるだけ離すのがおすすめ」としています[2]。製品選びだけでなく、取り付け方で効果が変わります。見積時に確認してください。
Q. 賃貸でも設置できますか?
内窓の設置は工事のため、貸主の許可が必要です。ただし内窓は既存窓の内側に付けるもので共用部分に手を加えないため、分譲マンションでは専有部分の工事として認められることが多いとされています。いずれも管理規約と貸主への確認が前提です。
Q. 家じゅうの窓に付ける必要がありますか?
いいえ。吠える場所の窓や、近隣に最も近い面の窓に絞るのが現実的です。掃き出し窓は腰高窓の倍以上の費用がかかるため[3]、範囲の絞り込みが費用を大きく左右します。
編集部の結論
- 出回っている 「約15dB」と「30dB」は別のもの。前者は内窓を足した低減量[1]、後者は窓そのものの遮音等級
- LIXILの説明では 10dB下がると音が半減したように感じる[2]。約15dBなら体感で半分以下。ただしゼロにはならない
- 効果を決めるのは製品より付け方。LIXILは「既存の窓と内窓の距離を大きくするほど効果が高まる」「ガラス厚を既存窓と変える」と明記[2]
- カタログ値と実測値は異なるとメーカー自身が説明している。音は壁・ドア・換気口からも回り込む
- 費用は腰高窓 約7.5万〜10万円、掃き出し窓は約17.5万〜23万円と倍以上[3]。範囲を絞ることが最大の節約
- 内窓は鳴き声対策と夏の暑さ対策を1つの工事で兼ねられる。ここが費用対効果の高さの理由
記事だけでは判断できないこと
どの窓に付けると効くかは、どこで吠えるか・どの面が近隣に近いか・窓枠の奥行きがどれだけあるかで変わります。特に「既存窓からどれだけ離せるか」は窓枠の実寸次第で、これは現地を見ないと分かりません。
窓の写真と、吠える場所が分かれば、どこから手を付けるべきかを一緒に整理できます。
どの窓から対策すべきか相談する
工事が必要かどうかの切り分けから相談できます。相談は無料です。お見積りは施工会社が現地を見たうえで作成します。
くらすけ
全部の窓じゃなくていい。吠える場所の窓から。そして「離して付けられますか」って聞く。これだけ覚えて帰ろう。
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参考文献・出典
(すべて2026-08-22確認。編集部がメーカー公表情報を直接確認したもの)
- YKK AP「『ウチリモ内窓/プラマードU』の防音効果について教えてください。」(約15dBの防音効果/ガラスが厚いほど防音効果が高い) https://faq.ykkap.co.jp/faq_detail.html?id=4384
- LIXIL「防音対策として有効な内窓『インプラス』のガラス種類(単板、合わせ、複層)」/リクシルストア「防音断熱/内窓 インプラス」(10dBで音が半減したように感じる/ガラス厚・設置距離による効果の違い) https://faq.lixil.co.jp/ / https://store.lixil.co.jp/inplus.html
- SUUMOリフォーム「ペットを目的としたリフォーム費用・価格相場情報」(内窓の費用相場) https://suumo.jp/remodel/soba/rm_pets/

