犬の鳴き声の防音対策|「吸音材を貼る」が効かない理由から始める

犬の鳴き声の防音対策|「吸音材を貼る」が効かない理由から始める
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留守番中の鳴き声が心配で「防音」を検索すると、真っ先に出てくるのが壁に貼る吸音材です。安く、自分で貼れて、いかにも効きそうに見えます。

ところが編集部が建材メーカーの解説を確認したところ、吸音材は「外に漏れる音を止める」ための材料ではありませんでした。

さらに、鳴き声と足音は別の種類の音で、対策もまったく違うことが分かりました。ここを取り違えると、お金をかけたのに変わらない、という結果になります。

この記事は、買う前に知っておくべき音の仕組みから始めます。

くらすけ

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壁に吸音材を貼れば、鳴き声って外に漏れなくなるんじゃないの?

目次

吸音材と遮音材は別物です

まずここが最大の分かれ道です。建材メーカーのDAIKENは、次のように説明しています[1]。

材料メーカーの説明[1]
防音材「様々な音を防ぐために使われる素材の総称
吸音材「音の振動を熱エネルギーに変換して音を減衰させる防音材。室内で発生する音の反響を抑え、音があまり響かないようにする効果があります」
遮音材音を遮る素材。外部へ音の透過を抑えることで防音効果を発揮します」

読み比べると意味がはっきりします。

  • 吸音材 = 室内の反響を抑えるもの。部屋の中の響きが減る
  • 遮音材 = 外に音が透過するのを抑えるもの。外に漏れる量が減る

近隣への鳴き声が心配なのであれば、必要なのは遮音です。ネット通販で「防音」として売られているウレタンフォームのパネルは、多くが吸音材です。壁に貼ると部屋の響きは変わりますが、外に漏れる鳴き声はほとんど変わりません。

くらすけ

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「部屋の中で響かなくなる」のと「外に漏れなくなる」は別の話なんだね。同じ「防音」って言葉なのに。

メーカー自身が挙げる「効果が感じられない3つの理由」

DAIKENは、防音材の効果が感じられない理由を3つ挙げています[1]。

  1. 「合っていない箇所に設置している」 — 「音が壁や天井で反射するポイントに設置する必要があります。反響を調整したい場所や高さに合っていない箇所に設置してしまうと、発射音自体の吸音効果は得られません」[1]
  2. 「音に対して吸音素材が合っていない」 — 「対応すべき騒音のレベルと吸音材の吸音性能が合っていないと十分な吸音効果を得ることができません」[1]
  3. 「設置方法が誤っている」 — 「吸音材は貼るだけ、置くだけなど簡単に設置できる物が多いですが、中には効果を実感する前の設置段階でつまずくケースもあります」[1]

メーカー自身が「貼っただけでは効かないことがある」と説明しているわけです。製品が悪いのではなく、用途と設置が合っていないという指摘です。

鳴き声と足音は「別の音」

もうひとつ、対策を分ける重要な区別があります。DAIKENは音を2種類に分けて説明しています[2]。

種類何が伝わるか[2]ペットの家での例
空気音(空気伝搬音)空気を伝わって耳に届く音。人の声、楽器、テレビの音など鳴き声・吠え声
固体音(固体伝搬音)床や壁など固体の構造を伝わる音。足音、ドアの開閉音、物の落下音、設備の振動など走り回る足音・飛び降りの着地音

この2つは、効く対策がまったく違います。

  • 鳴き声(空気音)音の通り道をふさぐ。開口部(窓・ドア・換気口)と隙間が主戦場
  • 足音(固体音)振動を伝えない。床でやわらげるのが主戦場。DAIKENは「非常に高い遮音性が求められる場合、床下に防振ゴムを敷いて浮き床構造にすることで固体音の伝搬を抑えられる」としています[2]

「階下から足音の苦情が来た」のに壁の防音工事をしても、方向が違います。逆に「近所から鳴き声の指摘を受けた」のに床を厚くしても、効きは限定的です。

まず、どちらの苦情なのかを切り分けてください。

鳴き声(空気音)はどこから手を付けるか

空気音は弱いところから漏れます。壁より、開口部と隙間のほうがはるかに通しやすい。したがって順番があります。

① 窓(最優先)

壁より窓のほうが音を通します。費用対効果が最も高いのが内窓の設置です。しかも断熱の補助金の対象になり、留守番中の室温対策も兼ねられます。

内窓については単独の記事にまとめました。効果の数値(メーカー公表で約15dB)や費用は[内窓で犬の鳴き声はどこまで静かになる?](https://pet-kurashi.net/2026/08/22/inner-window-soundproof/)を、補助金は[ペットリフォームで補助金は使える?](https://pet-kurashi.net/2026/08/22/pet-reform-subsidy/)をご覧ください

② ドアと隙間

室内ドアの下の隙間(アンダーカット)は、音がそのまま抜けます。換気のために意図的に設けられているもので、ふさぐと換気に影響するため、扱いには注意が要ります。

防音性のある室内ドアへの交換は、1枚あたり約10万〜15万円が目安です[3]。

なお、ペットドアを付けると開口部が増えます。行き来の自由と防音は逆方向の要求なので、両立させたい場合は部屋を分けて考えてください([ペットドアの記事](https://pet-kurashi.net/2026/08/21/pet-door-retrofit/))。

③ 換気口・エアコンのスリーブ

見落とされがちですが、壁を貫通している穴です。防音の観点では弱点になります。ここは自己判断でふさがず、換気の要件を踏まえて施工会社に相談してください。

④ 壁

壁の工事は最後です。遮音シートや遮音パネルを既存壁に足す、あるいは壁を組み直すといった工事になり、費用も工期も大きくなります。上の①〜③を先に潰さないと、壁だけ強化しても弱点が残ります。

足音(固体音)は床

階下への足音が問題なら、対策は床です。

  • 敷物で緩衝する(タイルカーペット・コルクマットなど)。工事なしで今日から試せる最初の一手
  • 防音フローリングへの張り替え。25㎡〜で90万円〜が目安[4]

集合住宅では、床材の遮音等級が管理規約で指定されていることがあります。張り替えの前に必ず管理規約を確認してください。

敷物での対策は[賃貸でできる犬の床滑り対策](https://pet-kurashi.net/2026/08/20/rental-dog-floor/)、床材の選択肢は[ペット対応床材7種を比較](https://pet-kurashi.net/2026/08/19/pet-flooring-comparison/)にまとめています

費用の目安

対策目安出典
内窓(単板ガラス・腰高窓)約7万5,000円〜9万円[3]
内窓(単板ガラス・掃き出し窓)約17万5,000円〜20万円[3]
防音性のある室内ドアへの交換(1枚)約10万〜15万円[3]
防音フローリングへの張り替え90万円〜(25㎡〜)[4]
タイルカーペット1㎡あたり約2,000〜3,000円+既存床撤去費[5]

編集部の判断: 鳴き声が主題なら、内窓 → ドア・隙間 → 壁の順。足音が主題なら、敷物 → 床の張り替えの順。この順番を守るだけで、無駄な出費をかなり減らせます。

どちらの音が問題かの切り分けから相談する

工事が必要かどうかの切り分けから相談できます。相談は無料です。お見積りは施工会社が現地を見たうえで作成します。

住まいで解決できないこと

正直に書いておきます。防音は「音が外に伝わる量を減らす」対策であって、吠えること自体をなくすものではありません。

分離不安など行動面の原因が疑われる場合、住まいの工事だけでは限界があります。工事と並行して、かかりつけの獣医師や専門家にご相談ください。

また、近隣への影響が既に問題になっている場合は、工事の前に一言伝えておくことが結果的に効くことがあります。「対策をしている」と分かるだけで受け取り方が変わります。

よくある質問

Q. 犬の鳴き声の防音で、まず何をすべきですか?

窓です。壁より窓のほうが音を通すため、内窓の設置が最も費用対効果の高い一手です。しかも断熱の補助金対象で、夏の室温対策も兼ねられます。

Q. 壁に吸音材を貼れば静かになりますか?

外に漏れる音にはほとんど効きません。DAIKENの説明では、吸音材は「室内で発生する音の反響を抑え、音があまり響かないようにする」もの、遮音材が「外部へ音の透過を抑える」ものです[1]。近隣対策で必要なのは遮音のほうです。

Q. 階下から足音の苦情が来ました。壁の防音は効きますか?

方向が違います。足音は床や構造を伝わる固体音です[2]。まず床に敷物を入れてください。工事なしで試せて、効果も確認できます。

Q. ドアの下の隙間はふさいでいいですか?

自己判断でふさがないでください。室内ドアの下の隙間は換気のために設けられていることが多く、ふさぐと換気に影響します。防音性のある室内ドアへの交換(1枚約10万〜15万円[3])を含めて、施工会社に相談してください。

Q. 賃貸でもできる対策はありますか?

床への敷物(タイルカーペット等)は工事なしでできます。内窓やドア交換は貸主の許可が必要です。

Q. どのくらい静かになりますか?

内窓についてはYKK APが約15dBの防音効果としており、LIXILの説明では10dB下がると音が半減したように感じるとされます([内窓の記事](https://pet-kurashi.net/2026/08/22/inner-window-soundproof/)参照)。ただしカタログ値と実際の住宅での実測値は異なります。音は壁・ドア・換気口からも回り込むためです。

編集部の結論

  • 吸音材と遮音材は別物。吸音は室内の反響を抑えるもの、遮音が外への透過を抑えるもの[1]。近隣対策に必要なのは遮音
  • メーカー自身が「防音材の効果が感じられない3つの理由」を挙げている[1]。用途と設置が合っていなければ効かない
  • 鳴き声は空気音、足音は固体音。対策がまったく違う[2]。まずどちらの苦情かを切り分ける
  • 鳴き声なら 内窓 → ドア・隙間 → 換気口 → 壁 の順。壁は最後
  • 足音なら 敷物 → 床の張り替え の順。集合住宅は遮音等級の規約確認が先
  • 防音は吠えることをなくす対策ではない。行動面の原因が疑われる場合は獣医師にも相談を

記事だけでは判断できないこと

どこから音が漏れているかは、建物の構造・窓とドアの位置・隣戸との配置で変わります。同じマンションでも、角部屋と中住戸では弱点が違います。

また、苦情が鳴き声なのか足音なのかが曖昧なまま工事を決めると、方向を間違えます。

間取りと、どちら側から指摘を受けたかが分かれば、どこから手を付けるべきかを一緒に整理できます。

どこから漏れているかの切り分けを相談する

工事が必要かどうかの切り分けから相談できます。相談は無料です。お見積りは施工会社が現地を見たうえで作成します。

くらすけ

くらすけ

「響かなくする」より「漏らさなくする」。鳴き声なら窓から、足音なら床から。順番を間違えないのが、いちばんの節約だね。

あわせて読みたい

参考文献・出典

(すべて2026-08-22確認)

  1. DAIKEN「防音材の効果が感じられない3つの理由とは 防音材・吸音材の違い、比較ポイントから解説」 https://www.daiken.jp/buildingmaterials/sound/columnbaw/soundabsorbingeffect/
  2. DAIKEN「【特集】音を知る」(空気音と固体音の違い・浮き床構造) https://www.daiken.jp/buildingmaterials/sound/basicnoise/
  3. SUUMOリフォーム「ペットを目的としたリフォーム費用・価格相場情報」(内窓・防音性室内ドアの費用) https://suumo.jp/remodel/soba/rm_pets/
  4. ダイヤモンド不動産研究所「ペットのためのリフォーム、工事内容や費用相場・工期はどのぐらい?」(防音フローリング) https://diamond-fudosan.jp/articles/-/1111431
  5. リショップナビ「タイルカーペットリフォームのポイント・費用相場」 https://rehome-navi.com/articles/332
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この記事を書いた人

メーカーの仕様書やFAQを複数社ぶん並べて、書いてあることの違いを確かめてから記事にしています。「ペット用」と書いてあっても、中身は各社でけっこう違います。工事が要らないなら要らないと書きますし、間違えたら訂正を出して残します。

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