「フロアコーティングは高い。ワックスなら自分で塗れて安く済むのでは」— 床の滑りを調べていると、必ずこの分岐にぶつかります。
編集部で気になったのは、「ペット用ワックス」と書かれた製品同士は、どこまで同じものなのかでした。値段も持続期間もバラバラなのに、売り文句はどれも似ています。
そこで、リンレイとアサヒペンの2社について、通販サイトの説明ではなくメーカー自身の製品ページを並べて比べてみました。すると、同じ「ペット用ワックス」でありながら、ある一点でメーカーの説明が正反対になっていることが分かりました。
くらすけ
「ペット用ワックス」って書いてあれば、どれを買っても同じなんじゃないの?
結局、ワックスとフロアコーティングは何が違う?
大きな違いは3つです。
| 滑り止めワックス | フロアコーティング | |
|---|---|---|
| 誰が塗るか | 自分で塗れる | 業者が施工する |
| どのくらい持つか | 6ヶ月〜約1年(製品による)[1][2] | UV約20〜30年/ガラス約15〜20年/シリコン約5〜10年(施工会社の公表値)[3] |
| 費用 | 500mLで15〜50畳前後をカバー[1][2] | 2LDK相当(約50㎡)で約23.5万円(施工会社の公表値)[3] |
| やり直し | クリーナーで剥がせる | 基本的に元に戻せない |
構造として、ワックスは「安く始めて定期的に塗り直す」、コーティングは「まとめて払って長く放置する」という違いです。どちらが優れているという話ではありません。
ペット用ワックスなら本当に滑らなくなる?
先に、この記事の前提をはっきりさせておきます。
今回確認した2社とも、滑り止め効果の試験データや数値は公表していませんでした。
リンレイは「創業75年で培った最先端技術を駆使することで、圧倒的な滑り止め性能を実現」と説明し、獣医師の推薦を掲載しています[1]。アサヒペンの製品ページには、滑り止めの仕組みについての技術的な説明はありませんでした[2]。
これは各社の姿勢の問題というより、構造的な理由があります。床の滑りを測る公的な規格(JIS A 1454のC.S.R値)は人間の靴底を用いて測るもので、犬の肉球を前提にした公的な試験方法が存在しないためです。詳しくは[ペット向けフロアコーティングの選び方](https://pet-kurashi.net/2026/08/20/pet-floor-coating/)で解説しています。
つまり、製品同士を数値で比較することは現状できません。この記事でも「どれが一番滑らないか」のランキングは作りません。
なおリンレイは、滑り止め効果は「床表面の塗装状態や犬種、ツメ・肉球間の毛の長さ等により異なります」と明記しています[1]。メーカー自身が、足裏の毛や爪の状態で結果が変わると言っているという点は、押さえておく価値があります。工事や塗布の前に足裏の毛を整えるだけで変わることもあります([犬が滑らない床にするリフォーム](https://pet-kurashi.net/2026/08/20/dog-non-slip-floor/))。
実際に2社のカタログを比べてみた
ここが今回いちばん意外だった部分です。
| リンレイ ペット用 滑り止め 床用コーティング剤[1] | アサヒペン ペット用滑り止めワックス[2] | |
|---|---|---|
| 尿・水への耐性 | 「水・オシッコ・ヨダレの放置、アルコール・薬剤・洗剤等の付着により、塗膜が白くなったり、ツヤや滑り止め効果が低下したりする場合があります」 | 「ペットのおしっこや洗剤がかかっても変色やはがれを起こしにくい」「水に強いワックス」 |
| 持続期間 | 「塗布間隔は6ヶ月程度を目安」/2年に1回はクリーナーで落としてから塗り直しを推奨 | 「約1年間床を守る!」 |
| 成分 | 合成樹脂(ウレタン樹脂、アクリル樹脂)、水 | 合成樹脂(アクリル、ウレタン樹脂)、有機溶剤、水 |
| 安全性の説明 | 「愛犬に配慮し、なめても健康に害はありません」 | 「トルエン、キシレン、スチレン、亜鉛、有機リン系可塑剤、ノニルフェノール系界面活性剤を含みません」 |
| 対応床材 | フローリング、UV塗装、ビニール床、クッションフロア、Pタイル、白木 | 一般的なフローリング、特殊加工(WPC・EB・UV)フローリング、クッションフロア、化学タイル床。油加工床・塗装されていない床には使えない |
| 容量 | 250mL(約15畳)/500mL(約30畳) | 500mL(50㎡)/2L(200㎡) |
尿への耐性について、2社の説明が正反対になっています。
リンレイは、オシッコを放置すると滑り止め効果が低下する場合があると明記しています。アサヒペンは、おしっこがかかっても変色やはがれを起こしにくいとしています。
ペット用の床材製品なのに、粗相への強さがここまで違う。これは1社だけ見ていたら気づけない差でした。編集部としては、粗相がある家では、この一点だけで製品選びが決まると考えます。
持続期間も6ヶ月と約1年で倍の開きがあります。「ペット用ワックス」というくくりは、思っていたより中身がバラバラでした。
くらすけ
同じ「ペット用」でも、おしっこに強いものと、そうでないものがあるんだね。うちの子が粗相するなら、そこを先に見なきゃ。
舐めても大丈夫?
床に塗るものである以上、気になるところです。ただし、2社で安全性の示し方が異なります。
- リンレイは「愛犬に配慮し、なめても健康に害はありません」と記載しています[1]。成分は合成樹脂(ウレタン樹脂、アクリル樹脂)と水です[1]
- アサヒペンは、トルエン・キシレン・スチレン・亜鉛・有機リン系可塑剤・ノニルフェノール系界面活性剤を含まないと記載しています[2]。成分は合成樹脂(アクリル、ウレタン樹脂)、有機溶剤、水です[2]
「なめても害はない」と明記するか、「特定の物質を含まない」と示すかで、伝えている内容は同じではありません。編集部が確認した範囲では、食品衛生法への適合など第三者基準への言及は、どちらの製品ページにも見当たりませんでした。
いずれの製品も、塗布中と乾燥中は換気をし、乾くまでペットを入れないことが前提です。使用前に必ず製品の注意書きを確認してください。床を舐める行動が続く場合や、体調に気になる変化がある場合は、製品の使用可否を含めてかかりつけの獣医師にご相談ください。
この記事は住まい・リフォームの情報をまとめたものであり、獣医療上の助言ではありません。記事中の安全性に関する記述は、メーカーが公表している内容を引用したものです。ペットの体調や行動で気になることがある場合は、かかりつけの獣医師にご相談ください。
どのくらい持つ?費用はどうなる?
ワックスは「初期費用が軽く、手間が続く」構造です。
リンレイは塗布間隔6ヶ月を目安とし、さらに2年に1回程度はクリーナーで剥がしてから塗り直すことを推奨しています[1]。塗って終わりではなく、剥離のサイクルが別にあるという点は見落としやすいところです。アサヒペンは約1年としています[2]。
フロアコーティングは「初期費用が重く、その後は放置」構造です。2LDK相当(約50㎡)で約23.5万円という施工会社の公表値があります[3]。
どちらが安いかは、何年住むかと自分で塗り直す手間を負担と感じるかで変わります。数年で引っ越す予定があるならワックス、長く住む持ち家で塗り直しが面倒ならコーティング、というのが素直な整理です。
結局どっちを選ぶ?
今回の比較を踏まえた、編集部の考えです。
ワックスが向いていると考える場合
- まず試してみたい。効果を体感してから本格的な工事を考えたい
- 賃貸(ただし床の仕上げを変える行為にあたるため、貸主の許可なく塗らないでください)
- 塗り直しの手間を負担に感じない
- 数年以内に引っ越す可能性がある
フロアコーティングを検討したほうがよいと考える場合
- 長く住む持ち家で、半年ごとの塗り直しを続ける自信がない
- 滑り止め以外に、傷や汚れへの耐性もまとめて上げたい
そして、どちらにも当てはまらない場合があります。すでに床に傷やへこみがある、粗相で下地まで傷んでいる、といったケースです。この場合、表面に何を塗っても解決しません。床材そのものの張り替えが選択肢になります([ペット対応床材7種を比較](https://pet-kurashi.net/2026/08/19/pet-flooring-comparison/))。
よくある質問
Q. 犬用のフローリングの滑り止めワックスにはどんなものがありますか?
リンレイ「ペット用 滑り止め 床用コーティング剤」、アサヒペン「ペット用滑り止めワックス」などが代表的です。今回2社の製品ページを比較したところ、尿への耐性・持続期間・成分に明確な違いがありました[1][2]。「ペット用」というくくりだけで選ばず、仕様を見比べてください。
Q. 犬の滑り止めにワックスを塗る頻度はどのくらいがいいですか?
リンレイは塗布間隔6ヶ月程度を目安とし、2年に1回程度はクリーナーで落としてから塗り直すことを推奨しています[1]。アサヒペンは約1年としています[2]。製品によって倍近く違うため、使う製品の表示に従ってください。
Q. ワックスを塗るとどんな効果がありますか?
各社とも滑りにくくすることを目的とした製品ですが、効果の程度を示す試験データは今回確認した範囲では公表されていませんでした[1][2]。リンレイは、効果が床の塗装状態・犬種・ツメや肉球間の毛の長さによって異なるとしています[1]。
Q. どんな床にも塗れますか?
いいえ。アサヒペンは油加工床や塗装されていない床には使えないと明記しています[2]。リンレイはフローリング・UV塗装・ビニール床・クッションフロア・Pタイル・白木に対応としています[1]。自宅の床材を確認してから購入してください。
Q. ワックスとフロアコーティングを両方やる意味はありますか?
コーティング施工後の床にワックスを塗ることは、通常は想定されていません(ワックス不要をうたうコーティングもあります)。併用は避け、どちらかを選んでください。
Q. 賃貸でも塗れますか?
床の仕上げを変える行為は原状回復の対象になり得ます。貸主の許可なく塗らないでください。賃貸で工事なしにできる対策は[賃貸でできる犬の床滑り対策](https://pet-kurashi.net/2026/08/20/rental-dog-floor/)にまとめています。
編集部の結論
2社の一次資料を並べて分かったことを整理します。
- 「ペット用ワックス」は一枚岩ではない。尿への耐性について、リンレイは「効果が低下する場合がある」、アサヒペンは「変色やはがれを起こしにくい」と正反対の説明をしている[1][2]
- 粗相がある家では、この一点で製品を選ぶ価値がある
- 持続期間も6ヶ月と約1年で倍の開きがある[1][2]
- 成分にも差がある(リンレイは合成樹脂+水、アサヒペンは合成樹脂+有機溶剤+水)[1][2]
- どちらも滑り止め効果の試験データは公表していない。犬向けの公的な試験方法が存在しないためで、製品間の数値比較は現状できない
- ワックスは初期費用が軽く手間が続く、コーティングは初期費用が重くその後は放置。何年住むかで選ぶ
記事だけでは判断できないこと
自宅の床にどの製品が使えるかは、床材の種類と表面の仕上げによって変わります。特殊加工されたフローリングか、油加工か、すでに何かが塗られているか。これは床を見ないと分かりません。
また、すでに傷やへこみがある床は、塗って解決する範囲を超えている可能性があります。
自宅の床の状態から判断したい場合は、床の写真を見ながら確認できます。
自宅の床に何が使えるか相談する
工事が必要かどうかの切り分けから相談できます。相談は無料です。お見積りは施工会社が現地を見たうえで作成します。
くらすけ
まず足裏の毛と爪。次に、粗相が多いならおしっこに強い製品。長く住むならコーティングも検討。この順番だね。
あわせて読みたい
- [犬が滑らない床にするリフォーム|「関節に悪い」は本当か、から始める](https://pet-kurashi.net/2026/08/20/dog-non-slip-floor/)
- [ペット向けフロアコーティングの選び方|「滑り止め効果」を疑ってから比べる](https://pet-kurashi.net/2026/08/20/pet-floor-coating/)
- [賃貸でできる犬の床滑り対策|退去時に請求されないための床の守り方](https://pet-kurashi.net/2026/08/20/rental-dog-floor/)
参考文献・出典
(すべて2026-08-20確認。編集部がメーカー公表情報を直接確認したもの。通販サイト・販売店の説明は根拠にしていない)
- リンレイ「滑り止め 床用コーティング剤(ペット関連品)」 https://www.rinrei.co.jp/home_care/pet/01/coating.html
- アサヒペン「ペット用滑り止めワックス」 https://www.asahipen.jp/products/view/30483
- 住まい快適ナビ「フロアコーティングの費用相場」(フロアコーティング施工会社が運営する媒体の公表値) https://uv-colors.jp/media/floorcoating-price/

