玄関を開けるたびに足元を気にしている。扉をもう一枚付ければいいのは分かるけれど、どれを選べば「大丈夫」と言えるのか。
「猫 脱走 防止 扉」は月に1,600回検索されています[4]。まず、この語で何が探されているのかを数えました。
よくある質問は3件しか出ませんでした。相対需要はいずれも1です[4]。
| 質問 | 相対需要 |
|---|---|
| 猫の脱走防止扉の費用は? | 1 |
| 猫用脱走防止用の扉はありますか? | 1 |
| 猫の脱走防止扉の高さは? | 1 |
一方、検索窓のほうは35行出ます。主軸を除いた派生590の内訳はこうでした(集計は当編集部)。
| 群 | 月間検索数の合計 | 割合 | 中身 |
|---|---|---|---|
| 自分で作る | 360 | 61.0% | diy 170/自作 90/木製 30/手作り 30/100均 20/自作 鍵 10/作り方 10 |
| 場所を指定 | 160 | 27.1% | 玄関 70/引き戸 30/二重扉 30/階段 20/窓 10 |
| 業者に頼む | 40 | 6.8% | CPC $2.03=この語群の最高 |
| その他 | 30 | 5.1% | おすすめ 10/鍵 10/猫用 10 |
質問はほとんど無いのに、検索窓は「作り方」で埋まっています。そこで、買うにしても作るにしても、何を根拠に「これなら大丈夫」と言えるのかを調べました。
くらすけ
みんな作ろうとしてるってことは、ちょうどいい市販品が見つかってないってことでつか?
先に、この記事の答え
| 知りたいこと | 答え |
|---|---|
| 猫の脱走防止扉に公的な基準はある? | ありませんでした[1]。法令もJISも業界基準も確認されていません |
| いちばん近い基準は? | SG基準(乳幼児用移動防止さく)。対象は「生後24か月以内の乳幼児」で、据え置き型は対象外、認証に法的義務はありません[1] |
| その基準の数字は? | すき間5mm以上13mm未満を作らない/格子の間隔85mm未満/560mmの範囲に足かけを作らない[1]。どれも2歳児を想定した数字です |
| 強度の目安は? | 上から250Nを10秒/10kgの振り子衝撃/開閉300回[1]。自作で置ける目安はここにしかありません |
| 事故のデータは? | 公的な集計から「ペットゲートと思われる事故事例」は除外されています[2]。少ないのではなく、数えられていません |
| いちばん多い失敗は? | 数えられた側の123件では、半数近い58件(47.2%)が「閉め忘れ」でした[2] |
「猫の脱走防止扉」に当てはまる公的な基準は無かった
先に、探した範囲を書きます。読んだのは東京都消費生活対策審議会の資料2本(全14ページ/全22ページ)と、一般財団法人 製品安全協会の品目ページです。
資料はこう書いています。
法令や日本規格協会が工業標準化法に基づき制定している JIS 規格、業界団体が規定しているガイドラインなどにおいて、ベビーゲート等に関する規格・基準は見受けられなかった。ベビーゲート等の基準として確認されたのは、一般財団法人 製品安全協会が規定している SG 基準のみであった。[1]
ベビーゲートですらこの状態です。そして、この14ページ・11,033字の資料に「猫」は0件でした(実測は当編集部)。
つまり、猫用として売られている扉やゲートには、寸法や強度を定めた公的な物差しがありません。メーカーが自分で決めた数字を、そのまま読むことになります。
くらすけ
「ペット用」って書いてあったら、なにか試験に通ってると思ってたでつ……。
いちばん近い基準は、「生後24か月以内の乳幼児」向けだった
では SG 基準は何を対象にしているのか。適用範囲がはっきり書かれています。
ベビーゲート等の SG 基準は、生後 24 か月以内の乳幼児が室内を移動することを防止するために、一般家庭の家屋に取り付けて使用する柵に適用される。このため、据え置き型のベビーゲート等は対象外である。[1]
さらに、
なお、本認証を受けることに対して、法的な義務はない。[1]
ここで2つ落ちます。
- 置くだけのタイプは、この基準の外です。取り付けて使う柵が対象と書かれています
- SGマークが付いていない製品があっても、違反ではありません。任意の認証です
製品安全協会のページも見ました。乳幼児用品として26品目が並んでいますが、柵に当たるのは 0045 乳幼児用移動防止さく(ベビーゲート)と 0093 プレイペン(ベビーサークル)の2つだけで、同ページ全文2,275字に「ペット」「猫」「犬」「動物」はいずれも0件でした[3](実測は当編集部)。
⚠️ 「SGマークが付いていないから危ない」という意味ではありません。当編集部は製品の安全性を判定していません。判定できる公的な物差しが、猫用には用意されていないという事実までです。
その基準が定めている寸法は、3つだった
SG基準の「安全性品質」のうち、寸法に関する規定は次の3つです[1]。
| 規定 | 想定しているリスク | 確認方法 |
|---|---|---|
| 乳幼児の手足の届く範囲に、5mm以上13mm未満の隙間がないこと(深さ10mm未満を除く) | 身体の挟み込み | 栓ゲージなどにより確認 |
| 格子の間隔が85mm未満であること | 危険域への立入/階段からの転落 | スケールなどで確認 |
| 560mmの高低差範囲に、足をかけられる構造物がないこと | 乗り越え/転落 | スケールなどで確認 |
(ネットのあるものは「直径6mmの丸棒をネット面垂直に20Nの力で押し付け、通らないこと」も規定されています[1])
🔴 この3つは、猫のために決められた数字ではありません。
- 5〜13mm を避けるのは「手足の挟み込み」——指が入って抜けなくなる幅の話です
- 85mm 未満は「乳幼児が通り抜けないこと」——猫が通れるかどうかは想定されていません
- 560mm は「足をかけて登らせないこと」——2歳児の脚の届く高さです
編集部としてはこう読みました。このうち猫にそのまま持ってこられるのは3番目の考え方だけです。「高さ何cm」ではなく「登る足がかりを作らない」——数字ではなく、設計の考え方のほうが移せます。
⚠️ 猫用製品が公表している高さやすき間の数値は、別の記事にまとめてあります。猫の脱走防止|柵の高さと隙間、家の出口の測り方で、実際の製品が何cmを名乗っているかを比べています。この記事では重ねません。
強度と耐久性は、試験の条件まで書かれていた
自作を考えている人にとって、いちばん困るのが「どれくらい丈夫なら足りるのか」です。その目安は、今回調べた範囲ではここにしかありませんでした。
| 項目 | 試験の条件 |
|---|---|
| 強度 | あて板を柵の上部中央付近に置き、垂直方向下向きに 250N の力を 10 秒間加え、目視等により状態を確認する(破損・変形・使用上支障のある異常がないこと) |
| 耐衝撃 | 計10kgのバスケットボールと砂袋を、長さ850mmの振り子で、高さ80mm・120mm・150mmの3点に5回または3回衝撃を加える(破損・変形・設置外れがないこと) |
| 耐久性 | 開閉操作の繰り返しを300回行い、異常がないことを確認 |
(いずれも SG 基準の規定[1])
250N は、おおよそ25kgf 相当の力です(1kgf ≒ 9.8N・換算は当編集部)。上から体重をかけられても外れないかを見ている項目です。
🔴 この数字を「猫なら大丈夫」の根拠には使えません。想定されているのは乳幼児で、猫が飛び乗ったり、人がまたぐときに手をついたりする力は測られていません。
編集部としては、自作の前に次の3つを自分で決めておくことをすすめます。
- 上から力がかかったときに外れないか——突っ張りだけで持たせるのか、ビスで留めるのか
- 開け閉めを何回繰り返すか——玄関なら1日十数回になります。300回は1か月もちません
- 外れたときにどこへ倒れるか——階段の上なら、外れること自体が危険になります
くらすけ
「猫が押しても倒れない」じゃなくて、「人が毎日さわっても壊れない」のほうが先でつね。
公的な事故データからは、ペットゲートが外されていた
事故のデータも探しました。東京都が集めた過去5年間・5歳以下の事故123件の資料です[2]。
ただし、この123件に猫用の製品は入っていません。資料の注記にこう書かれています。
収集した事例のうち、ベビーサークルや据え置き式のベビーゲートやフェンス、ペットゲートと思われる事故事例は除外した。[2]
🔴 =猫の脱走防止扉について、公的な事故統計は「少ない」のではなく「数えられていない」のです。
では、数えられた側では何が起きていたか。
| 件数 | 123件(東京消防庁搬送44件/医療機関ネットワーク受診79件) |
| 重症 | 0件 |
| 中等症 | 7件(5.7%) |
| 「閉め忘れ」による事故 | 58件=47.2%(計算は当編集部) |
| 階段上への設置 | 83件 |
(数値はいずれも[2])
🔺 これは乳幼児の事故であって、猫の脱走の話ではありません。当編集部も同じ割合が猫に当てはまるとは書きません。
それでも、ひとつだけ移せることがあります。いちばん多かった失敗は、製品が壊れたことではなく、開けたままにしていたことでした。扉を選ぶときに「閉め忘れにくいか」を見る理由は、ここにあります。
自動で閉まるか、片手で閉められるか、荷物を持っていても閉められるか——カタログの寸法欄には出てこない項目です。
買うか、作るか、工事するか
検索されている3つの道を、分かっていることだけで並べます。
| 分かっていること | この記事で書けないこと | |
|---|---|---|
| 市販品を買う(競合性100) | 公的な基準は無い。メーカーの公表値を読むことになる[1] | 特定製品の優劣。当編集部は判定しません |
| 自作する(派生の61.0%) | SG基準は取り付けて使う柵が対象で、自作品に認証は付かない[1] | 「この作り方なら安全」という保証 |
| 工事を頼む(CPC $2.03) | 玄関に建具を入れる場合の費用と設置パターンは別記事にあります | 現地を見ずに出せる金額 |
どれを選ぶにしても、先に決まってしまうのは家の側です。
- 取り付ける面があるか——突っ張りなら、左右に垂直で平らな面が要ります
- 幅がいくつか——枠の内側で測ります。ドアの隙間の測り方にまとめてあります
- 開いたとき、人と荷物が通れるか——通れないと、結局開けたままになります
⚠️ 場所ごとの対策は、それぞれ別の記事にしています。玄関は猫の玄関脱走を防ぐリフォーム|二重扉・ゲートの選び方と費用、窓とベランダは猫の窓・ベランダからの脱走と転落を防ぐと猫のベランダ脱走防止|柵を付ける前に見る3か所、網戸は猫の網戸対策|壊される・開けられるを防ぐ順番、ドアを開けてしまう子は猫がドアを開けっ放し|開けさせない方法と費用の目安です。
取り付ける面があるか、工事が要るかは、家の形で変わります。間取りや現状の写真を見ながら、工事が必要かどうかの切り分けから無料で相談できます。現時点で提携施工会社は確保中のため、その場で見積もりをお出しすることはできません。
よくある質問
Q. 猫の脱走防止扉の高さはどれくらい必要ですか?(この語の質問3件のうち1件)[4]
猫向けの公的な基準はありません[1]。実際の製品が何cmを名乗っているかは猫の脱走防止|柵の高さと隙間、家の出口の測り方にまとめています。SG基準にある560mmは「足をかけられる構造物を作らない範囲」で、柵の高さそのものではありません[1]。
Q. 猫用の脱走防止扉はありますか?
猫用として売られている製品はありますが、SGマークの品目一覧に柵として載っているのは乳幼児用の2品目だけで、ペット用はありません[3]。「ペット用」の表示は、公的な認証を意味しません。
Q. 費用はいくらですか?
玄関に建具を入れる場合の費用と設置パターンは猫の玄関脱走を防ぐリフォーム|二重扉・ゲートの選び方と費用にまとめています。この記事では扱いません。
Q. 自作しても大丈夫ですか?
「大丈夫」と言える公的な物差しがありません[1]。参考にできるのは SG 基準の試験条件(上から250Nを10秒/10kgの振り子衝撃/開閉300回)までで、これは乳幼児用の基準です[1]。階段の上に自作のものを置くのは、外れたときの危険が大きくなります——数えられた側の事故でも階段上の設置が83件でした[2]。
Q. 突っ張り式と、ビスで留めるのはどちらがいいですか?
SG基準の対象は「一般家庭の家屋に取り付けて使用する柵」で、据え置き型は対象外です[1]。突っ張り式が対象に入るかどうかまでは、今回見た資料には書かれていませんでした。当編集部は判定しません。取り付け方の選び方は猫の脱走防止|柵の高さと隙間、家の出口の測り方にあります。
Q. 引き戸の家でも付けられますか?
引き戸そのものの隙間と、閉め切れない原因は猫の脱走防止とドアの隙間|寸法の比べ方と選ぶ順番にまとめています。
Q. 事故はどれくらい起きていますか?
猫用については、公的な統計がありません。東京都が集めたベビーゲート等の事故123件は、注記で「ペットゲートと思われる事故事例は除外した」としています[2]。
編集部の結論
「猫の脱走防止扉」を選ぶ根拠になる公的な基準は、今回調べた範囲では見つかりませんでした。いちばん近いSG基準は生後24か月以内の乳幼児が対象で、据え置き型は外れ、認証に法的義務もありません[1]。公的な事故統計からも、ペットゲートは明示的に除外されています[2]。
だから読者が61.0%の割合で「作り方」を検索しているのは、たぶん自然なことです。選ぶ材料が、そもそも公開されていません。
それでも、移せるものが2つありました。
ひとつは560mmの考え方——「高さ何cm」ではなく「足をかけられる構造物を作らない」。数字は2歳児のものですが、登られる理由を消すという設計は、猫にもそのまま当てはまります。
もうひとつは閉め忘れです。数えられた側の123件で、いちばん多かったのは製品の破損ではなく、開けたままにしていたこと(47.2%)でした[2]。どんなに丈夫な扉でも、毎日十数回の開け閉めに勝てなければ意味がありません。
選ぶときに最後まで残る質問は、「猫が越えられないか」ではなく「自分が毎回閉められるか」です。
参考文献・出典
- 東京都消費生活対策審議会(令和元年度)資料3「ベビーゲート等に関する法令・規格・基準、取組」。「法令や日本規格協会が工業標準化法に基づき制定している JIS 規格、業界団体が規定しているガイドラインなどにおいて、ベビーゲート等に関する規格・基準は見受けられなかった。」「ベビーゲート等の SG 基準は、生後 24 か月以内の乳幼児が室内を移動することを防止するために、一般家庭の家屋に取り付けて使用する柵に適用される。このため、据え置き型のベビーゲート等は対象外である。」「なお、本認証を受けることに対して、法的な義務はない。」
– https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.lg.jp/anzen/kyougikai/r1/documents/r1kyogikai-1_handout03.pdf (全14ページ・抽出11,033字。「猫」0件を当編集部が実測。2026年9月18日取得)
- 東京都消費生活対策審議会(令和元年度)資料1「ベビーゲート等の使用に関する事故事例等」。「収集した事例のうち、ベビーサークルや据え置き式のベビーゲートやフェンス、ペットゲートと思われる事故事例は除外した。」「ベビーゲート等の事故 123 件のうち、半数近い 58 件が「閉め忘れ」による事故であった。階段上の設置が 83 件と、事故の多くを占めていた。」
– https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.lg.jp/anzen/kyougikai/r1/documents/r1kyogikai-1_handout01.pdf (全22ページ・抽出17,648字。2026年9月18日取得)
- 一般財団法人 製品安全協会「乳幼児用移動防止さく(ベビーゲート)」0045
– https://www.sg-mark.org/product/no-0045/ (本文2,275字・読める文字99.8%。「ペット」「猫」「犬」「動物」いずれも0件を当編集部が実測。2026年9月18日取得)
- ラッコキーワード(ライトプラン)サジェストキーワード35件・よくある質問検索3件(2026-09-18 実測・当メディア取得。見出し抽出は取っていない)

