猫の脱走防止とドアの隙間|寸法の比べ方と選ぶ順番

猫の脱走防止とドアの隙間|寸法の比べ方と選ぶ順番
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玄関や廊下に扉を一枚足そう、と考えたとき、最初に比べるのはたいてい「高さ」です。編集部もそう思っていました。

ところが専用の脱走防止扉のメーカー資料を並べてみると、高さより先に食い違っていたのは「隙間」の寸法でした。片方は約20mm、もう片方は約35mm。同じ「猫の脱走防止」を名乗る製品で、1.75倍違います。

さらに、どちらの製品も隙間は格子の間だけではありませんでした。床との間、壁との間にも、設計上の隙間があります。

くらすけ

くらすけ

えっ、扉なのに隙間があるんでつか?

ちゃんと閉めてるつもりだったんでつけど……

そこがこの記事の入口です。扉の「面」ではなく「へり」を見る。そう決めてから調べ直すと、選び方の順番が変わりました。

目次

先に結論

#判断根拠
1比べるのは高さより先に「いちばん大きい隙間」公表されている格子・ポールの間隔が約20mm と約35mmで1.75倍違う[3][4]
2隙間は格子の間だけではない。床側と壁側にもあるのぼれんニャンは床との間・壁との間にも約3.5cm[4]。にゃんがーどは壁の出っ張り幅+約10mm[3]
3子猫は別問題として考えるねこ工房は「生後2か月未満…通り抜けを保証できない」と明記[3]
4家の既存ドアは、もともと閉め切る作りになっていないアンダーカットは下端を1cm程度カットしたもの。目的は換気[2]
5隙間テープでふさぐ前に、換気経路かどうかを確かめる本来の目的である換気が行えなくなり、24時間換気システムの妨げにもなってしまいます」[2]
6出てしまってからでは、戻ってくる前提で考えられない令和6年度、所有者不明で引き取られた成熟個体の返還は犬53.6%/猫7.2%(当編集部の計算)[1]

🔴 編集部の判断を先に書きます。

扉を選ぶ順番は「高さ → 見た目 → 価格」ではなく、「①いちばん大きい隙間 → ②高さ → ③換気と動線」です。

高さは後から延長できる製品がありますが、格子の間隔は買ったあとに変えられません。

1. うちのドア、閉めても隙間が空いている

まず、いま家にあるドアの話からです。

開き戸の下に、床とのあいだの隙間があります。これは施工が甘いわけではなく、アンダーカットという名前が付いた設計です。建材メーカーのDAIKENは、こう書いています。

アンダーカットとは、ドアの下端を1cm程度カットして、床との間に隙間を開けることをいいます。主に開き戸(ドア)に施工されます。アンダーカットの目的は換気です[2]

そして、この隙間は「あってもいいもの」ではなく、無いと困るものとして扱われています。

廊下やトイレ、浴室も居室と一体扱いになる場合は、高さ1cm程度のアンダーカット、もしくは換気ガラリ(有効開口面積100〜150cm²程度)のあるドアを設置しなければなりません[2]

シックハウス対策として住宅に24時間換気システムが義務づけられていて、その空気の通り道が、ドアの下の隙間だというわけです[2]。

1cmであれば、成猫がくぐれる寸法ではありません。ここは安心してよいところです。編集部が気になったのは、その先でした。

2. 引き戸が「閉め切れない」のは、猫のせいではなかった

猫が前足で引き戸を開けてしまう、という話はよく聞きます。編集部は「猫が器用だから」だと思っていました。

同じDAIKENの記事に、思っていたのと違う説明がありました。

アンダーカットは開き戸につくられるもので、通常、引き戸や折戸にはつくられません。引き戸や折戸は枠などの密閉性が低く、もともとある程度の隙間があって通気が確保されています[2]

つまり、引き戸に下の切り欠きが要らないのは、戸のまわりに最初から隙間があるからです。同記事は「一方、引き戸にはアンダーカットはないものの、構造上の隙間があるため密閉性は低く」とも書いています[2]。

猫が引き戸を開けやすいのは、器用さの問題だけではなく、建具が構造上「へり」に隙間を持っているからでもある——これが、今回いちばん認識が変わったところでした。

なお、猫が自分でドアを開けてしまう場合の錠・ハンドル側の話は、[レバーハンドルと部品表まで調べた記事](https://pet-kurashi.net/2026/09/09/cat-opens-door/)にまとめてあります。この記事では扱いません。

くらすけ

くらすけ

開き戸は「下」、引き戸は「まわり」に隙間があるってことでつね。

どっちも、閉めたら密閉されると思ってたでつ。

3. 専用の扉は、どこの寸法を見ればいいか

では、脱走防止のための専用の扉・フェンスはどうか。編集部で2製品の公表情報を並べました。

にゃんがーど(ねこ工房)[3]のぼれんニャン バリアフリー3(日本育児/PET SELECT)[4][5]
格子・ポールの間隔約20mm(「一般的な成猫が通り抜けにくい」)約3.5cm(=35mm)
床との隙間記載を確認できず(床から高さを確保する記述)約3.5cm
壁との隙間壁の出っ張り幅+約10mm。通り抜けそうなら隙間加工オプション両側 約3.5cm(取り付け幅に「※両側約3.5cmの隙間含む」)
高さ扉 約190cm。ハイドア仕様で格子部分を延長可フェンス高さ 170〜190cm(本体182〜245cm)
子猫生後2か月未満は通り抜けを保証できないと明記記載を確認できず
設置突っ張り式・穴あけ不要。天井強度の確認が必要突っ張り式・工具不要。奥行6cm以上必要
価格(税込・本体)シングル 99,800円〜/ダブル 239,800円〜/トリプル 339,800円〜公式サイトに価格の記載を確認できず

🔴 並べて分かったのは、間隔が 20mm と 35mm で1.75倍違うことでした。

ねこ工房は数値の意味も書いています。よくある質問の「生後2か月未満の子猫にも使えますか?」に対して——

格子間隔は約2cmです。非常に小さな子猫については通り抜けを保証できないため、事前に2cmの隙間へ入らないかご確認ください[3]

さらに、同社は商品ページに「本商品は猫の脱走を100%防ぐことを保証するものではありません」とも明記しています[3]。

一方、のぼれんニャンについては、メーカー公式サイトの本文に数値が見当たりませんでした。書かれているのは「フェンス幅など隙間が細かくなっていて、猫が通り抜けしづらく、挟まりにくい設計です」という記述で[4]、寸法は画像で案内されています。上の表の 3.5cm は、販売店(山善ビズコムの商品情報)に記載されていた値です[5]。

⚠️ これは「メーカーが公表していない」という意味ではありません。当編集部が確認できたテキストの範囲で見当たらなかった、というだけです。購入前にメーカーの寸法図で必ず確かめてください。

「隙間」は扉の面ではなく、へりにある

もうひとつ、表にして初めて気づいたことがあります。

どちらの製品も、隙間は格子の間だけではありません。のぼれんニャン バリアフリー3 は、床との間に約3.5cm、壁とつっぱりポールの間に両側とも約3.5cmの空間があると案内されています[5]。にゃんがーどは、巾木・まわりぶち・腰壁・カウンター天板などの出っ張りがある場所では「壁面の出っ張り幅に約10mmを加えた隙間が、壁とにゃんがーどの柱の間にできます」とし、「猫が通り抜けそうな隙間になる場合は、隙間加工オプションをご検討ください」と書いています[3]。

つまり、扉そのものより、扉の脇と足元のほうが、寸法が大きくなりやすい。

編集部としては、カタログで最初に探すべきは「格子の間隔」ではなく「この製品で、いちばん大きい隙間はどこの何mmか」だと考えます。

4. 高さはどこまで必要か

高さは、2製品とも 170〜190cm が基準になっていました[3][4]。ただし、ねこ工房は高さについて条件を付けています。

近くに足場となる家具がある場合は、ハイドア仕様などをご検討ください[3]

高さの正解は、扉の寸法ではなく部屋の側にあるということです。下駄箱、シューズボックスの上、廊下の収納、カウンター——そこに乗れるなら、必要な高さはその分だけ上がります。

にゃんがーどは対応する柱の高さが 500〜2900mm で、格子部分を延長する「ハイドア仕様」が選べます[3]。のぼれんニャン バリアフリー3 は本体高さが 182〜245cm の突っ張り式です[5]。

買う前に、扉を立てる位置から半径1mに乗れる家具がないかを見る。これは工事も費用も要りません。

くらすけ

くらすけ

高さは「扉のカタログ」じゃなくて「うちの家具」で決まるんでつね。

測る前に、まわりを見るでつ。

5. 隙間テープでふさぐ前に、確かめること

「既存のドアの隙間を、隙間テープでふさげばいいのでは」と考えるところですが、ここは慎重に判断してください。

隙間テープを使うと、光の漏れや隙間風はある程度防ぐことができます。(中略)ただし、本来の目的である換気が行えなくなり、24時間換気システムの妨げにもなってしまいます。もしどうしても使用したい場合は、部屋ごとに給排気ができる換気システムを検討してください[2]

猫のためにふさいだ隙間が、家の換気経路だったということが起こり得ます。とくにアンダーカットとガラリは、そのために作られた隙間です[2]。

1cm 程度のアンダーカットは、そもそも成猫が通れる寸法ではありません。ふさぐ必要があるかどうかから確かめるのが順番です。

6. 「出たら戻ってくる」を前提にしない

最後に、なぜ隙間の数mmにこだわるのかという話です。

環境省の統計資料「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」(令和6年4月1日〜令和7年3月31日)から、所有者不明で自治体に引き取られた成熟個体のうち、飼い主のもとへ返還された割合を当編集部で計算しました[1]。

所有者不明の引取り(成熟個体)返還数(成熟個体)返還の割合(当編集部の計算)
12,3006,59753.6%
2,6261897.2%

さらに、負傷動物としての収容数は次のとおりでした[1]。

収容数返還数
503158
7,394264

⚠️ この数字の読み方には注意が必要です。これは自治体に引き取られた個体の記録で、飼い猫か、もともと外で生まれた猫かは区別されていません。猫の所有者不明の引取りは幼齢個体が多く(11,062頭)、返還率が低く出やすい構造があります。犬の「所有者不明」には狂犬病予防法に基づく抑留も含まれます[1]。「脱走した猫の◯%が戻らない」という数字ではありません。

それでも、行政の記録として見えているのは、犬と猫でここまで差があるという事実です。編集部としては、戻ってくることを前提に設計しないほうがよいと判断しました。だからこそ、数mmの隙間を後回しにしないという結論になります。

7. うちの家では何から手を付けるか

状況編集部の考え
玄関の出入りが不安まずもう一枚の仕切り。[玄関の二重扉とゲートの費用](https://pet-kurashi.net/2026/08/19/cat-escape-prevention-entrance/)に設置パターンと相場をまとめています
猫が自分でドアを開ける扉を足す前に錠とハンドル。[猫がドアを開けっ放しになる家の直し方](https://pet-kurashi.net/2026/09/09/cat-opens-door/)へ
窓・ベランダが心配ドアとは対策が別です。[窓・ベランダからの脱走と転落](https://pet-kurashi.net/2026/08/21/cat-window-escape-prevention/)へ
人が通る扉に猫用の通り道も作りたい[ペットドアの後付け](https://pet-kurashi.net/2026/08/21/pet-door-retrofit/)で、既存ドアへの加工とドア交換の違いを2社の仕様で比べています

よくある質問

Q. ドアノブを交換すれば、猫の脱走は防げますか?

ドアノブ(レバーハンドル)の交換は、猫が自分でドアを開けてしまう場合に効く対策です。人が開けた瞬間にすり抜ける・閉めたつもりの隙間から出るという場合には、ハンドルを替えても状況は変わりません。「開けられている」のか「すり抜けられている」のかを先に切り分けてください。ハンドル側の具体的な部品の話は[こちらの記事](https://pet-kurashi.net/2026/09/09/cat-opens-door/)にあります

Q. アコーディオンドアやスライドドアでも大丈夫ですか?

「猫 脱走防止 スライド ドア」「猫 脱走防止 アコーディオン ドア」はどちらも実際に検索されている言葉です(月170/月70・2026-09-10実測)。判断のしかたは形式ではなく寸法です。戸と枠、戸と床、戸と戸の合わせ目——閉めた状態でいちばん大きい隙間が何mmになるかを実測してください。引き戸・折戸は構造上、枠まわりの密閉性が低い作りになっています[2]。

Q. 賃貸でも設置できますか?

今回確認した2製品はどちらも穴あけ不要の突っ張り式で、賃貸でも設置できる作りです[3][4]。ただし天井の強度の確認が必要と、どちらのメーカーも書いています。にゃんがーどは「突っ張り構造のため、設置時および使用中に建付けの再調整が必要になる場合があります」とも明記しています[3]。退去時の扱いは管理会社に確認してください。

Q. 子猫がいる家では、どう選べばいいですか?

成猫の基準をそのまま当てはめないでください。ねこ工房は「格子間隔は約2cmです。非常に小さな子猫については通り抜けを保証できないため、事前に2cmの隙間へ入らないかご確認ください」と書いています[3]。買う前に、いま家にある2cmの隙間で試せます。

Q. DIYで自作するのはどうですか?

「猫 脱走防止 ドア diy」(月40)「猫 脱走防止 ドア 自作」(月10)も実際に検索されています。自作する場合も、見るところは同じです。格子の間隔・床との隙間・壁との隙間・高さの4つを、先に数字で決めてから材料を選んでください。突っ張り材で柱を立てる方法は[キャットウォークのDIYと業者依頼の比較](https://pet-kurashi.net/2026/08/20/catwalk-diy-vs-pro/)でも扱っています

編集部の結論

  • 比べる順番は「①いちばん大きい隙間 → ②高さ → ③換気と動線」。格子の間隔は買ってから変えられません
  • 隙間は格子の間だけではない。床側・壁側に約3.5cm、壁の出っ張りで+約10mmといった値が公表されています[3][4][5]
  • 20mm と 35mm は1.75倍の差。どちらが正しいという話ではなく、うちの猫で判断するための数字です
  • 子猫は別枠。メーカー自身が「保証できない」と書いています[3]
  • 既存ドアの隙間(アンダーカット)は換気のためのもの。ふさぐ前に、必要かどうかを確かめる[2]
  • 戻ってくる前提で設計しない。行政の記録では、返還の割合に犬と猫で大きな差があります[1]

扉そのものは、カタログを読めば比べられます。一方で、うちの廊下に何mmの出っ張りがあるか/扉のそばに乗れる家具があるか/その位置が換気経路になっていないかは、現場を見ないと決まりません。

くらすけ

くらすけ

カタログで決まるところと、うちを見ないと決まらないところがあるんでつね。

測ってみて分からなかったところは、写真を見ながら一緒に確認できます。工事が要るのか、突っ張り式で足りるのかの切り分けからで大丈夫です。

わが家の場合はどうなるか相談する

工事が必要かどうかの切り分けから相談できます。相談は無料です。お見積りは施工会社が現地を見たうえで作成します。

参考文献・出典(すべて2026年9月10日確認)

  1. 環境省「統計資料 犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」(動物愛護管理行政事務提要より作成・対象期間 令和6年4月1日〜令和7年3月31日) https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/dog-cat.html ※返還の割合は当編集部が同表の数値から計算したもの
  2. DAIKEN(大建工業)REFORM MAGAZINE「“ドアの隙間”、アンダーカット・ガラリはなぜあるの? 音漏れを防ぐドアリフォームとは」 https://www.daiken.jp/reform/article/20200323e.html
  3. ねこ工房「ねこ専用脱走防止扉【にゃんがーど】」商品ページ(格子間隔・高さ・壁との隙間・よくある質問・ご注意) https://nekokobo.jp/tobira/
  4. PET SELECT(日本育児)「のぼれんニャン バリアフリーⅢ」商品ページ https://petselect.jp/product/noborennyan_barrierfree3.html
  5. 山善ビズコム「ねこの脱走防止 のぼれんニャン バリアフリー3 開閉 1400020404」商品情報(ポール間隔・床との隙間・取り付け幅の記載。販売店の情報であり、メーカー公式の寸法図で確認してくださいhttps://yamazenbizcom.jp/item/54711.html
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この記事を書いた人

メーカーの仕様書やFAQを複数社ぶん並べて、書いてあることの違いを確かめてから記事にしています。「ペット用」と書いてあっても、中身は各社でけっこう違います。工事が要らないなら要らないと書きますし、間違えたら訂正を出して残します。

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