「1段だと狭いんじゃないか」——この言葉で検索している人が気にしているのは、たぶんそこだと思います。
ところが実際に打ち込まれている語を数えると、逆でした。「猫 ケージ 1段 広い」が月170回、「猫 ケージ 1段 狭い」は月20回[5]。広いものを探している人のほうが8.5倍多い。
そして国が2020年に調べた猫用ケージ52種の実寸を段数で並べると、こうなりました[1]。
床がいちばん広くなれるのは、1段でした。
床面積の最大は 1段 0.92㎡/2段 0.60㎡/3段 0.59㎡。
足りなくなるのは床ではなく、高さのほうです。この記事では、その中身を数字で見ていきます。
くらすけ
「段が多いほうが広いと思ってたでつ。逆なんでつか?」
国が調べた52種を、段数で並べてみました
環境省が公表している調査結果に、2020年6月23日時点で流通していた猫用ケージ52種の長辺・短辺・高さが製品名つきで載っています[1]。内訳は1段18種・2段18種・3段16種です。
編集部でこの52行を段数ごとに集計しました(計算は当編集部)。
| 1段(18種) | 2段(18種) | 3段(16種) | |
|---|---|---|---|
| 床面積の最小 | 0.26㎡ | 0.33㎡ | 0.31㎡ |
| 床面積の最大 | 0.92㎡ | 0.60㎡ | 0.59㎡ |
| 床面積の平均 | 0.493㎡ | 0.458㎡ | 0.473㎡ |
| 床面積のひらき | 3.54倍 | 1.82倍 | 1.90倍 |
| 高さの最小 | 45.5cm | 98.0cm | 118.0cm |
| 高さの最大 | 120.0cm | 142.0cm | 200.0cm |
| 高さの平均 | 69.0cm | 115.9cm | 167.1cm |
| 長辺の最大 | 141.0cm | 94.0cm | 94.0cm |
数字を見る前は、編集部も「段が増えるほど大きいケージなのだろう」と思っていました。並べてみると、そうではありませんでした。
床は、1段がいちばん広くなれます
2段・3段のどれよりも床が広い1段ケージが、52種の中に4種ありました[1]。
| 製品名 | 長辺×短辺 | 床面積 | 高さ |
|---|---|---|---|
| P-CS-1400 | 141.0×65.0cm | 0.92㎡ | 65.0cm |
| キャットハウス S | 119.0×64.5cm | 0.77㎡ | 86.0cm |
| キャットハウス T | 119.0×64.5cm | 0.77㎡ | 120.0cm |
| エクステリアワゴン ST | 104.0×64.0cm | 0.67㎡ | 79.5cm |
2段の最大は0.60㎡、3段の最大は0.59㎡です。1段の最大0.92㎡は、その1.53倍・1.56倍にあたります(計算は当編集部)。
長辺で見るともっとはっきりします。1段の最長は141.0cm。2段・3段はどちらも94.0cmが最長で、1段だけが1.5倍の長さに届いています。
畳に置き換えると分かりやすいかもしれません。畳1枚=1.62㎡(犬のケージの置き場所|リビング・寝室・和室の選び方 で確認した不動産の表示規約の下限)で割ると、0.92㎡は0.57枚ぶん、0.60㎡は0.37枚ぶんです(計算は当編集部)。
くらすけ
「横に長いケージは、1段のほうにあるってことでつね」
ただし「平均では」ほとんど変わりません
ここは正確に書きます。上の話は「上限」の話であって、「平均すると1段が広い」ではありません。
52種を段数別に平均すると、1段 0.493㎡/2段 0.458㎡/3段 0.473㎡。差は0.04㎡以内で、実質ほとんど同じです[1](計算は当編集部)。国の統計表も、3区分とも「0.5㎡」と丸めて載せています[1]。
違うのはばらつきのほうです。
- 1段: 0.26〜0.92㎡(3.54倍ひらく)
- 2段: 0.33〜0.60㎡(1.82倍)
- 3段: 0.31〜0.59㎡(1.90倍)
つまり、「1段を選ぶ」だけでは広さは決まりません。1段の中に、いちばん狭いものといちばん広いものの両方が入っています。1段を選ぶなら、床面積の数字そのものを見る必要があります。
「1段だから低い」も、成り立ちませんでした
段数と高さの関係も、思っていたほど単純ではありませんでした。
1段18種の高さは45.5〜120.0cm。2.64倍ひらいています[1]。
そして、最も高い1段(キャットハウス T・120.0cm)は、2段18種のうち11種=61.1%より高いのです[1](判定は当編集部)。120.0cmより低い2段ケージは、キティケージ1000(98.0cm)からウッドワンサークルキャット2段(119.0cm)まで11種ありました。
「1段だから背が低い」「2段だから高い」という読み方はできません。製品ごとに見るしかない、というのがこの表から分かることでした。
国の基準は、猫のケージに「2段以上」を求めています
ここからは、高さを決めるときの物差しの話です。
第一種動物取扱業者(ペットショップやブリーダー)が守る基準省令には、猫のケージについてこう書かれています[2]。
・猫:タテ(体長の2倍以上)×ヨコ(体長の1.5倍以上)×高さ(体高の3倍以上)、
1つ以上の棚を設け2段以上の構造とする。
運動スペースと一体になった型については、さらに「2つ以上の棚を設け3段以上の構造とする」と書かれています[2]。
🔴 編集部が意外だったのは、犬の同じ条文に棚・段の要求が無かったことです。犬は「タテ(体長の2倍以上)×ヨコ(体長の1.5倍以上)×高さ(体高の2倍以上)」だけ[2]。同じ文書の中で並んでいるのに、段を求められているのは猫だけでした(同じ文書内で対照を取って確認)。
この省令は業者向けであり、家庭は対象ではありません。ただ、猫にとって上下があることを国が構造として書いている以上、家庭でケージを選ぶときの物差しとしては使えると編集部は考えています(この読み方は当編集部のものです)。
体高の3倍を当てると、1段は3分の1しか届きません
省令の「高さ=体高の3倍以上」を、52種の実寸に当ててみました(判定は当編集部)。
| 猫の体高 | 要る高さ | 1段(18種) | 2段(18種) | 3段(16種) |
|---|---|---|---|---|
| 20cm | 60cm | 12種(66.7%) | 18種(100%) | 16種(100%) |
| 25cm | 75cm | 7種(38.9%) | 18種(100%) | 16種(100%) |
| 27cm | 81cm | 4種(22.2%) | 18種(100%) | 16種(100%) |
| 30cm | 90cm | 2種(11.1%) | 18種(100%) | 16種(100%) |
2段・3段は、どの体高でも全種が届きます。落ちるのは1段だけです。
体高をいくつで見るかは、同じ調査の猫種表[1]が参考になります。アメリカン・ショートヘア24〜27cm、スコティッシュ・フォールド24〜27cm、シャム25〜27cm、日本猫25〜30cm、メイン・クーン27〜30cm——多くが24〜30cmの範囲でした。
🔺 ここで1点、正確に書いておきます。同じ表の中で、ノルウェージャン・フォレストキャットだけが「体高45〜60cm・体長30〜46cm」と、体高が体長を上回る記載になっています[1]。体長の記載がある7猫種のうち、この1種だけです。原典の記載をそのまま写したものであり、当編集部では正誤を判定していません。ただ、この数値をそのまま使うと要る高さが135〜180cmになり、1段ケージは18種すべてが届かなくなります。数字が結論を大きく動かす場所なので、書いておきます。
くらすけ
「じゃあ1段を選ぶときは、床より先に高さを見るってことでつね」
家庭向けの告示には、段も寸法も書かれていません
では家庭はどうなのか。環境省告示「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」を全文取得して数えました[3]。
全5ページ・抽出7,650字に、「段」0件・「棚」0件・「ケージ」0件・「寸法」0件・「広さ」0件・「面積」0件。
🔴 「取得できていないだけ」ではないことを、対照で確かめています。同じ本文で「猫」は28件、「飼養施設」は9件、「運動」は7件と当たりました(当編集部の実測)。検索は効いていて、そのうえで0件です。
告示が家庭に求めているのは、「その種類、生態、習性及び生理を考慮した」飼養施設を必要なときに設けること、という書き方まで[3]。数字はありません。
当メディアでは同じ告示を猫のケージで留守番|何時間までと、置けるトイレの寸法と犬の留守番のケージ|大きさの決め方と体格別の目安でも全文取得していますが、段と寸法の観点で数えたのは今回が初めてです。
つまり、家庭で1段を選ぶことを禁じる基準はありません。物差しとして使えるのが業者向けの省令だけ、という状態です。
その数字、いまも使えるのか(1件だけ確かめました)
国の調査は2020年6月23日時点のものです。6年前の数値をそのまま使っていいのか、編集部でも気になりました。
国の表に載っている「PEC-902」を、メーカー公式の現行ページで照合しました。
| 国の表(2020年)[1] | メーカー公式(2026年9月17日)[4] | |
|---|---|---|
| 長辺 | 93.0cm | 930mm |
| 短辺 | 63.0cm | 630mm |
| 高さ | 121.0cm | 1,210mm |
一致しました。同じページには、国の表には無い数値も載っています——内寸820×520×1130mm、入口サイズは上段320×350mm/下段610×400mm[4]。
🔺 1件を照合しただけなので、「52種すべてが変わっていない」とは言えません。言えるのは、確かめた1件は動いていなかったということまでです。
自分の家なら、どう決めるか
段数から入らず、この順で見るのが早いと編集部は考えます。
- 置ける床の寸法を測る(長辺×短辺)。1段なら141.0cmの製品までありますが、そのぶん床を取ります[1]
- 天井までの高さを測る。ここは猫のケージの置き場所|高さで決まる窓際・リビングの選び方に、市販の3段が1,680〜2,000mmあることと、居室の天井高の下限が2.1mであることをまとめています
- うちの子の体高を測って3倍する。1段でその高さに届く製品は限られます(体高25cmで18種中7種)[1][2]
- 床面積の数字そのものを見る。1段は0.26〜0.92㎡とひらきが大きく、「1段だから」では決まりません[1]
- 入口の寸法を見る。国の表には無い項目で、メーカーのページにしか載っていません[4]。ここは猫の大型ケージ|大きい猫に合う寸法と入口の見方で扱っています
よくある質問
Q. 1段のケージは狭いですか?
A. 床は狭くありません。国の調査では床面積の最大は1段が最も広く(0.92㎡)、2段の最大0.60㎡・3段の最大0.59㎡を上回りました[1]。ただし1段の中のひらきが3.54倍と大きいので、製品ごとの数字を見てください。
Q. 1段だと高さが足りないと聞きました。
A. 業者向けの省令の物差し(高さ=体高の3倍以上)を当てると、1段18種のうち体高25cmで7種、体高30cmで2種しか届きません[1][2]。2段・3段はどの体高でも全種が届きます。ただしこの省令は家庭には適用されません。
Q. 子猫に1段のケージはどうですか?
A. 本記事では扱いません。この語で唯一取れたよくある質問が「子猫のケージで1段のものは?」(相対需要1)でしたが[5]、子猫の体高で判断すべき論点であり、当編集部では成長に伴う買い替えの是非を判定できません。ケージをいつまで使うかは猫のケージはいつまで?外す目安と部屋の準備にまとめています。
Q. 2段と3段はどちらがいいですか?
A. 本記事では扱いません。猫のケージの置き場所|高さで決まる窓際・リビングの選び方 が、同じシリーズの2段と3段で床面積が1mmも変わらないことを実測しています。そちらを読んでください。
Q. ケージに入れっぱなしでいいのですか?
A. 本記事では扱いません。閉じ込めの是非と出す時間は猫のケージ飼い|寿命は縮む?出す時間の決め方にあります。
編集部の結論
調べる前、編集部は「1段=小さくて低いケージ」だと思っていました。52種を並べたら、両方とも違いました。
- 床は1段がいちばん広くなれる(最大0.92㎡・長辺141.0cm)[1]
- 高さは1段の中で2.64倍ひらき、最も高い1段は2段の61.1%より高い[1]
- 平均では3区分ともほぼ同じ(0.493/0.458/0.473㎡)[1]
- 国が業者に求める構造には「2段以上」が入っているが、家庭向けの告示には段も寸法も1文字も無い[2][3]
「1段かどうか」は、広さの答えにも高さの答えにもなっていませんでした。答えになるのは、その製品の長辺・短辺・高さの3つの数字です。段数はその結果として付いてくるラベルにすぎない、というのが今回の結論です。
編集部としては、床を長く取りたい家(廊下沿い・壁際に細長く置ける家)には1段が向いていると考えます。逆に床を取れない家は、2段・3段で上に伸ばすことになります。どちらも、置く前に測るのは同じ3つの数字です。
ケージ自体の寸法は、このように公開されている数字で比べられます。一方で、それが自分の家に置けるかどうかは、天井の高さ・搬入経路・コンセントや窓との干渉・床の耐荷重など、家の側の条件で変わります。
工事が必要かどうかの切り分けから、無料で相談できます。
参考文献・出典
- 環境省「犬猫の大きさと流通しているケージに関する調査結果」(参考資料2。三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成)
– https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/tekisei/h29_06/ref02.pdf (確認日 2026-09-17・全11ページ・抽出16,909字を当編集部が取得し、図表4・図表5・図表6 を使用。図表5 の猫用52行すべてを取得ファイルと機械照合済み)
- 環境省「動物の愛護及び管理に関する法律施行規則等の改正について」(第一種動物取扱業者が遵守すべき基準の概要)
– https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/laws/nt_r030601_1.pdf (確認日 2026-09-17・全8ページを当編集部が取得して確認。猫の分離型「高さ(体高の3倍以上)、1つ以上の棚を設け2段以上の構造とする」)
- 環境省告示「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」(平成14年環境省告示第37号・最終改正 令和4年環境省告示第54号)
– https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/laws/nt_r02_21_1.pdf (確認日 2026-09-17・全5ページ・抽出7,650字を当編集部が取得して確認。「段」「棚」「ケージ」「寸法」「広さ」「面積」はいずれも0件/対照「猫」28件・「飼養施設」9件・「運動」7件)
- アイリスオーヤマ「ペットケージ」商品情報(公式サイト・PEC-902V)
– https://www.irisohyama.co.jp/products/pet-supplies-pet-food/pet-supplies/cat-cage/pet-cages (確認日 2026-09-17・本文9,122字・読める文字99.1%・商品サイズ930×630×1,210mm/内寸820×520×1130mm/入口 上段320×350mm・下段610×400mm)
- ラッコキーワード(ライトプラン)サジェストキーワード5件/よくある質問検索1件(2026-09-17 実測・当メディア取得)

