壁にキャットステップを付けたい。図面を描いて、板を買って、いざ壁の前に立つ。そこで手が止まります。この壁、どこにビスが効くのか。
調べていくと「下地を探して留める」「下地がなければ補強する」という説明にはすぐ行き当たります。ただ、その下地がどれくらいの幅で、どれくらいの間隔で入っているのかを書いたものが、なかなか見つかりませんでした。
編集部が突き合わせたのは、建材メーカーDAIKENが公開しているねこステップの施工説明書[1]と、石膏ボード工業会の施工マニュアル[3]です。数字は、はっきり書いてありました。
柱は「幅30mm以上」、ピッチは「455mm推奨」[1]。
壁の中でビスが効く帯は、幅3〜4cm。それが45cmおきにしか無い。
そしてもうひとつ、意外だったのがこれです。同じメーカーの純正品が、その柱に留めているのは5点のうち1点だけでした。残り4点は、製品に同梱された石こうボードアンカーで留めます[1]。
くらすけ
「下地に留めるか、アンカーにするか」の二択だと思ってたでつ。両方いっぺんに使うの?
先に結論:留められる場所は、壁の1割しかない
| 分かったこと | 出典 | |
|---|---|---|
| 柱の幅 | 幅30mm以上のものを狙う。工業会の標準では間仕切壁の間柱は40×65mm | [1][3] |
| 柱の間隔 | 455mm推奨(工業会の標準取付間隔は在来軸組で450mm程度、枠組壁工法のたて枠は500mm以下) | [1][3] |
| 留め方 | 純正品は中央1点を柱に、周囲4点を石こうボードアンカーに分けて留める | [1] |
| 耐荷重 | 1ユニットにつき体重5kgの猫を想定・耐荷重(静荷重)10kg | [1][2] |
幅40mmの帯が455mmおき。単純に割れば 40 ÷ 455 ≒ 8.8%。壁の9割は、ビスが直接効かない面という計算になります。
だから「下地を探して、そこに留める」だけで理想の配置にしようとすると、横方向は45cm刻みでしか動けません。ここが、配置を考えるときの最初の制約です。
そもそも「下地補強」は、2つの別の作業を指している
調べていて混乱したのがこの言葉でした。同じ「下地補強」で、やっていることが2つあります。
| やること | 壁を開けるか | 配置の自由度 | |
|---|---|---|---|
| A. 既存の柱・間柱を使う | 壁の中の柱を探して、その位置に留める | 開けない | 455mm刻みに縛られる |
| B. 壁下地を新しく入れる | 壁を開けて木下地を入れ、塞いでクロスを貼り直す | 開ける | 自由 |
Aは、厳密には「補強」をしていません。もともとある柱を使っているだけです。それでも「下地補強」と呼ばれることがあり、見積書の同じ行に、まったく違う工事が入りうることになります。
Bのほうには、DAIKENが具体的な条件を書いています。
合板下地の場合は12mm厚以上、針葉樹材などは15mm厚以上の十分な壁下地を、ねこステップを取付ける箇所に配置してください[1]
さらに施工説明書には、その下地の大きさまで図で示されています。ブラケット1台あたり 600mm以上 × 200mm以上[1]。棚板1枚のために、それだけの板を壁の中に入れるということです。
費用の話をするときに「5万円」と「30万円」が並ぶ理由は、ほぼここにあります。工事の内訳と見積もりの比べ方は[キャットウォークを造作する費用の記事](https://pet-kurashi.net/2026/08/20/catwalk-construction-cost/)にまとめています。
純正品は、柱とアンカーを「使い分けて」いた
ここが今回いちばん意外だった部分です。
「キャットウォークの付け方」を一般論として説明した記事には、石こうボード壁への設置方法がこう書かれています。DAIKENのコラムから引きます。
石膏ボード壁にキャットウォークを設置する工事は、壁の裏にある柱や間柱に直接木ネジで固定します[2]
読むと「柱に留めるものだ」と理解します。編集部もそう思っていました。このコラムには、アンカーの話は出てきません。
ところが、同じ会社の純正品「ねこステップ」の施工説明書を開くと、手順はこうなっていました[1]。
- 壁の上から柱を探し、ブラケットの中心が柱の中心に来る位置を決めて下穴をあける
- 中央の穴から、柱にナベビス(φ6×50)で仮止めする(本締めはしない)
- 水平器で水平を確認し、左右の穴位置4か所を墨出しする
- ブラケットを回転させ、その4か所に石こうボードアンカーをねじ込む
- ブラケットを戻し、アンカーにナベビス(φ4×50)で固定する
- 中央の上下2点に下穴をあけ、ナベビス(φ6×50)で本締めする
部品表にも「石こうボードアンカー 4」が、はじめから同梱されています[1]。
この製品のページにも、同じことがはっきり書いてありました。
石膏ボードの上から取り付けする場合は、幅30mm以上の柱・間柱の位置に製品をビス固定します。ねこステップの場合は製品の中央が柱・間柱の中央にくるようにしてください。端部の固定はボードアンカーを使用します。
石膏ボード:9.5mmもしくは12.5mm/ピッチ:455mm推奨
※柱がスタッドの場合は、必ず合板等の木下地を入れてください[5]
つまり「柱に留めるか、アンカーで済ませるか」という二択ではありませんでした。柱で位置と主たる荷重を受け、周囲のアンカーで回転とぐらつきを止める。そういう分担になっています。
ずれているのは、メーカーの中ではなく、「キャットウォークの付け方」という一般論の説明と、実際の製品の留め方のあいだです。一般論のほうは「柱に直接」で止まっていて、端部をどうするかまでは書かれていません。
なお最後の1行も見落とせません。柱が木ではなくスタッド(軽量鉄骨)の場合は、アンカーでも柱ビスでもなく、木下地を入れることになります[5]。
そして施工説明書には、こういう但し書きもあります。
墨出しした位置に合板や胴縁などの下地がある場合は、石こうボードアンカーがねじ込めません。その場合は、ビスで直接下地に固定してください[1]
下地があればアンカーは使わない。無ければアンカーを使う。現場で分岐する前提で設計されている、ということです。
くらすけ
「アンカーは弱いから使わない」じゃなくて、「ここはアンカーの仕事」って決まってるってことでつね。
公表されているのは「静荷重」。飛び乗る力の数字は出ていない
耐荷重の表示も、読み方に注意が要りました。
本製品は、1ユニットにつき体重5kgのねこを想定して、安全性を確認しています。[耐荷重(静荷重)10kg]
※荷重を超えると、製品が脱落するおそれがあります[1]
カッコの中に「静荷重」と書かれています。静かに載っている状態での数字です。
一方で、同じメーカーのコラムには、こうあります。
ジャンプする時の猫にかかる負荷は体重以上になる点も考慮してください[2]
そして施工説明書・取扱説明書の側には「棚板に強い衝撃を与えないでください」「この製品の上に足を掛けたり、乗ったりしないでください」という注意が並びます[1]。
今回確認した資料の範囲では、猫が飛び乗ったときに何kg相当の力がかかるのか、その数値は公表されていませんでした。分かるのは、体重5kgの猫を想定して静荷重10kgに設定されている、という関係だけです。体重の2倍が確保されていると読むことはできますが、それが飛び乗りを何回想定したものかまでは、資料からは分かりませんでした。
編集部としては、「猫の体重 ÷ 表示された耐荷重」で余裕を計算するのは避けたほうがよいと考えます。表示は静止した状態の値で、猫は静止して乗ってくれないからです。多頭飼いなら、なおさら1ユニットあたりの想定(5kg・1匹)を超えていないかを見るほうが確実です。
配置の寸法は、実は4つ公表されている
キャットステップの間隔については「12cm〜28cm」という数字がよく知られています。これはDAIKENのコラムに書かれているものです[2]。
施工説明書を見ると、寸法は4つありました。[1]
| 推奨寸法 | 何のための寸法か | |
|---|---|---|
| ① ステップ同士の水平方向のすき間 | 0〜150mm | 横に飛び移る距離 |
| ② 床から1段目まで | 600mm以下 | ※子どもが上らないよう注意、と併記 |
| ③ ステップ同士の高さ間隔 | 120〜280mm | コラムの「12cm〜28cm」と同じ |
| ④ 最上段と天井の間 | 400mm以上 | ※猫が頭をぶつけないよう注意、と併記 |
広く知られているのは③だけです。①②④は、施工説明書を開かないと出てきません。
ここで最初の話に戻ります。③の高さ間隔(12〜28cm)は縦方向なので自由に決められますが、①の水平方向は455mm刻みの柱の位置と噛み合いません。階段状に上げていくと、柱1本ぶん(455mm)横に飛んだところが次の留め位置になります。①の推奨は「0〜150mm」ですから、柱だけを頼りに階段状の配置を作ろうとすると、推奨の間隔から外れます。
壁下地を新しく入れる(前述のB)ほうが選ばれるのは、見た目や強度の話だけではなく、この寸法が合わないからでもあります。
石こうボードアンカーで失敗するのは、たいてい「開き方」
アンカー側の資料も見ました。アンカーメーカーである若井産業は、自社のニュースでこう注意しています。
ボードアンカーは、リベッターを使用せずに開脚させると、せっこうボードの裏面を破壊する可能性があります。ぐらつきや抜け出しの原因になり危険ですので、リベッターをご使用ください[4]
同社の製品には、下穴が必要なタイプ(φ9mm)と不要なタイプがあり、対応する板厚も製品ごとに決まっています[4]。「ボードアンカー」とひとくくりにできるものではありませんでした。
DAIKENの施工説明書側にも、同じ方向の注意があります[1]。
- 石こうボードアンカーに固定するビスには、電動ドライバーを使用しない
- そのビスを締めすぎると、石こうボードアンカーが外れる
- 石こうボード2枚張りの場合は、墨出し位置に下穴(φ7)をあけてから
- 石こうボードが湿気を含んだ状態では、確実に固定できない可能性がある
ビスは「強く締めるほど効く」ものではない、という点が両社に共通していました。
賃貸で、壁に穴をあけられないときは
ここまでは穴をあける前提の話です。賃貸で下地補強そのものができない場合の選択肢は、[賃貸でキャットウォークは付けられるかの記事](https://pet-kurashi.net/2026/08/24/catwalk-rental/)で、耐荷重の数字とメーカーの見解を整理しています。
DIYで進めるか業者に頼むかの分かれ目は、[キャットウォークDIYと業者依頼の比較](https://pet-kurashi.net/2026/08/20/catwalk-diy-vs-pro/)にまとめました。下地を自分で探し当てられるかどうかが、実質的な分岐点になります。
費用はいくら?
純正品の価格は公表されています。DAIKENねこステップの場合、棚板(背面パネルなし)¥54,200/セット、(背面パネルあり)¥72,600/セット(2026年9月5日時点・メーカー希望価格)[5]。これは製品の価格で、取付工事費は別です。
壁下地を新設する場合は、これに壁を開ける・木下地を入れる・塞ぐ・クロスを貼り直す工事が乗ります。金額の幅は施工範囲で決まるため、[造作費用の記事](https://pet-kurashi.net/2026/08/20/catwalk-construction-cost/)の内訳とあわせて見てください。
よくある質問
Q. 下地センサーで柱を見つけたら、そこに何本でも留めていいですか?
A. 製品を使う場合は、その製品が指定する位置と本数に従ってください。DAIKENは「正しい位置に指定されたビスと本数で確実に固定してください」と明記しています[1]。自作の場合は、留める位置の判断そのものが自己責任になります。
Q. 石こうボードアンカーだけで留めてはいけませんか?
A. 今回確認した純正品は、中央1点を柱に留める前提で手順が組まれていました[1]。アンカーだけで留める使い方は、この説明書には出てきません。
Q. 壁が石こうボード2枚張りかどうかは、どうやって分かりますか?
A. 資料からは判別方法までは分かりませんでした。施工説明書は2枚張りの場合の手順(φ7の下穴)を別に用意しているので[1]、壁の構成が分からない状態で進めるのは避けたほうがよい、というのが編集部の判断です。
Q. 子猫でも同じ配置でいいですか?
A. DAIKENは「子ねこ(1歳未満を目安)や高齢のねこ、障がいのあるねこの場合は、転落を防止するため、それぞれの身体能力を考慮してレイアウト・施工してください」「特に子ねこの場合、高い場所への施工はおすすめしません」としています[1]。
編集部の結論
- 配置を決める前に、柱の位置を確かめる。幅3〜4cmの帯が45cmおき、というのが前提の条件です[1][3]
- その条件で希望の配置にならないなら、壁下地を入れる工事になる。合板12mm厚以上/針葉樹材15mm厚以上、ブラケット周辺に600mm以上×200mm以上[1]
- 「柱かアンカーか」で悩まなくてよい。純正品は両方を役割で使い分けています[1]
- 耐荷重の表示は静荷重。飛び乗る力の数値は、今回確認した範囲では公表されていませんでした[1][2]
くらすけ
板をどこに付けたいかより先に、壁の中がどうなってるかで決まっちゃうんでつね。先に見てもらったほうが早そうでつ。
壁の中は、外から見ても分かりません。柱の位置・石こうボードの厚み・2枚張りかどうか・胴縁の有無は、現地を見ないと確定しない情報です。
図面のとおりに付けられるかどうかは、その4点で変わります。
ご自宅の壁ならどうなるかは、写真などを見ながら確認できます。
→ [住まいの相談をする](https://pet-kurashi.net/soudan/)(相談は無料です。工事が必要かどうかの切り分けから相談できます)
参考文献・出典
(すべて2026-09-05確認)
- DAIKEN「ねこステップ 施工説明書/取扱説明書」(250926-JK-195-CT-NS-STH) https://www.daiken.jp/product/fileDownload?volumeName=00001&itemID=t000100677172&fileID=t010002578885
- DAIKEN「猫のためのキャットウォーク(キャットステップ)を壁に設置する方法・メリットを簡単解説」 https://www.daiken.jp/buildingmaterials/pet/columnbaw/002/
- 石膏ボード工業会「石膏ボード施工マニュアル -木製下地・鋼製下地編」(表2.2 木製壁下地材の種類・寸法/表3.1 木製壁下地材の標準取付け間隔) https://www.gypsumboard-a.or.jp/pdf/Construct_Manual.pdf
- 若井産業「若井ニュース vol.19 らくらくボードアンカーとボードアンカーの違いについて」(2022年4月) https://www.wakaisangyo.co.jp/wp-content/uploads/2022/11/2204_%E8%8B%A5%E4%BA%95%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9vol19_-%E3%82%89%E3%81%8F%E3%82%89%E3%81%8F%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%89%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%81%A8%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%89%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%81%AE%E9%81%95%E3%81%84%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6-.pdf
- DAIKEN「ねこステップ」製品ページ(価格・製品仕様・耐荷重) https://www.daiken.jp/product/DispDetail.do?volumeName=00001&itemID=t000100002266
- 吉野石膏「一般的な壁工法/木造下地」(ねじ長さ・留付間隔の目安。参考図書:日本建築学会 JASS26 内装工事) https://yoshino-gypsum.com/method/%E4%B8%80%E8%88%AC%E7%9A%84%E3%81%AA%E5%A3%81%E5%B7%A5%E6%B3%95%E6%9C%A8%E9%80%A0%E4%B8%8B%E5%9C%B0

