ケージを買ったのに、猫が入ってくれない。入れようとすると逃げる、嫌がって鳴く。ラッコキーワードでは「猫 ケージ 入らない」が月260回、「猫 ケージ 嫌がる」が月110回検索されています[4]。
入ってくれないなら、慣らし方を知りたくなります。編集部でも気になったので、猫とケージについて国が書いている資料を探し、同じ趣旨の文が版ごとにどう変わってきたかを並べてみました。先に結果だけ書きます。
| 見たこと | 結果 |
|---|---|
| 猫について「ケージなどの中に入ることを嫌がらないように」と書いた最初の資料 | 2018年の災害対策ガイドライン(一般飼い主編)[2]。2010年の資料は犬だけに書いていた[1] |
| 慣らす手順(ごほうび・おやつなど) | 3つの資料とも書いていない[1][2][3] |
| 資料がケージに求めている役割 | 閉じ込める場所ではなく、逃げ込める場所(隠れ場所)[2][3] |
| ケージを置く場所の条件 | 2025年の改訂版原稿(案)に「固定した家具のそば」「重量のある物がサークル内に落ちてこない」[3] |
くらすけ
「ぼくがケージに入らないのは、わがままだと思われてまつか?」——国の資料は、入らない猫の側より、ケージの側の話を多く書いてまつ。
先に結論
- 猫がケージに入ることを嫌がらないように「日頃から慣らしておく」と、国の災害対策の資料は書いています[2][3]
- ただし、慣らす手順は書かれていません。書かれているのは「嫌がらない」という状態と「日頃から」という期間だけでした[2][3]
- 資料がケージに求めているのは、猫が逃げ込める隠れ場所の役割です[2][3]
- 2010年の資料が猫に勧めていたのは、キャリーケージを「寝床として使えば」という書き方でした[1]
- 置き場所は、固定した家具のそば、重い物が落ちてこない位置。これは住まいの側で決められます[3]
1. 猫がケージに入らないと、何が困る?
ふだんの暮らしでは困らなくても、病院と災害のときに困ります。
環境省の「人とペットの災害対策ガイドライン<一般飼い主編>」(2018年)は、避難のときに持ち出すものの優先順位1に、次の項目を入れています[2]。
「□キャリーバッグやケージ(猫や小動物には避難時に欠かせないアイテム)」[2]
避難するときの行動としては、猫についてこう書いています[2]。
「猫の場合□キャリーバッグやケージに入れる」[2]
つまり、災害のときは、ケージかキャリーバッグに入れて連れて出ることが前提です。ふだん入らない猫を、揺れのあとの混乱の中で入れるのは難しくなります。
備蓄と置き場所の考え方はペットの防災|備蓄は何日分と、置き場所の分け方にまとめています。
2. 国の資料は、猫とケージについて何と書いている?
同じ趣旨の文が、版を追うごとに猫へ広がっていました。
| 資料 | 犬について | 猫について |
|---|---|---|
| 住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン(2010年2月)[1] | 「こわがらずにケージに入ることができるようにしておくことも必要です」 | ケージに入る話は無い。寝床の項目で「キャリーケージを寝床として使えば」 |
| 人とペットの災害対策ガイドライン<一般飼い主編>(2018年9月)[2] | 「ケージなどの中に入ることを嫌がらないように、日頃から慣らしておく」 | 犬と同じ文 |
| 同ガイドライン 改訂版原稿(案)(環境省の検討会資料)[3] | 「ケージなどの中に入ることを嫌がらないように、日頃から慣らしておく。」 | 「ケージやキャリーバッグに入ることを嫌がらないように、日頃から慣らしておく。」(対象にキャリーバッグが加わった) |
※表の整理は当編集部。3つ目は改訂の原稿案で、確定版ではありません
2010年の資料では、ケージに入れるしつけは犬の項目に置かれていました。
「犬は「マテ」「オスワリ」などの基本的なしつけのほかに、こわがらずにケージに入ることができるようにしておくことも必要です。」[1]
同じ資料で、猫のケージが出てくるのは「寝床」の項目です。
「キャリーケージを寝床として使えば、病院に行くときなどストレスを与えずに運ぶことができます。」[1]
入れる練習ではなく、寝床として使う。2010年の資料の猫への書き方は、ケージをふだんの居場所にしてしまう、という発想でした。
2025年の改訂版原稿(案)は、なぜ慣らしておくのかを次のように説明しています[3]。
「発災時に飼い主がペットを連れて避難しようとしても、ペットがパニックになり、いつもと違う行動を取る可能性がある。」[3]
「普段からキャリーバッグなどに入ることを嫌がらないことや、犬の場合は、「待て」、「おいで」などのしつけをしておく必要がある。」[3]
⚠️ ここで分かったこと: 3つの資料とも、どうやって慣らすかの手順は書いていません。2018年版には「おやつ」「ごほうび」が0件、2025年案の「おやつ」1件は被災地への支援物資の一覧の中でした(当編集部が本文を正規化して検索)[2][3]。書かれているのは「嫌がらない」という状態と、「日頃から」という期間だけです。
くらすけ
「やり方は書いてなくて、『ふだんから』だけなんでつね。」——だから、ふだんの置き方と中身のほうが大事になるんでつ。
3. 資料は、ケージにどんな役割を求めている?
閉じ込める場所ではなく、逃げ込める場所です。
2018年のガイドラインは、住まいの防災対策の項目に、次の1行を入れています[2]。
「□ケージなどペットの避難場所(隠れ場所)の確保」[2]
同じ資料の例では、地震のあと、家具を固定していた家で「おびえていたペットもケージに逃げ込んだため無事でした」と書かれています[2]。
2025年の改訂版原稿(案)は、災害時の動物保護施設について、猫のケージに求めることを具体的に書いています。
「猫は高さのあるケージに収容し、隠れ場所や安心して休める場所とプレイルーム(運動場所)を用意する」[3]
これは保護施設での配慮として書かれたもので、家庭のケージについての基準ではありません。ただ、資料が猫のケージに求めている要素が「高さ」「隠れ場所」「安心して休める場所」だということは読み取れます。
家のケージに当てはめるなら、次の3つを見直すことになります(当編集部の整理)。
| 資料にある要素 | 家のケージで見るところ | 詳しい記事 |
|---|---|---|
| 高さ | 段があるか、上の段に届くか | 猫のケージの1段は狭い?床の広さと高さの見方 |
| 隠れ場所 | 外から見えない面・箱があるか | 猫のケージカバー|代用できるものと、かける前の確認 |
| 安心して休める場所 | 寝床がケージの中にあるか | 猫のケージのレイアウト|1段に何が置けるかは奥行で決まる |
家の中の隠れ場所そのものについては、猫の隠れ家は必要?置き場所と押入れ・階段下の使い方で扱っています。
4. ケージは、家のどこに置けばいい?
2025年の改訂版原稿(案)は、ケージを置く場所の条件まで書いていました。
「室内飼養でペットの飼育ケージを置く場所を決める際には、固定した家具のそばに配置したり、重量のある物がサークル内に落ちてこないような配慮をすることがペットの安全の確保につながる。」[3]
揺れで倒れない位置、上から物が落ちてこない位置です。同じ資料は、住まいの防災対策の1行目に「家具や飼育ケージの固定、転倒防止、落下防止」を挙げています[3]。
逃げ込んだ先のケージが倒れたり、上から物が落ちてきたりすれば、そこは安全な場所になりません。「入ってくれるか」の前に、「入って安全か」を置き場所で決めておく、というのが資料の順番だと編集部は読みました。
高さ・窓際・エアコンとの位置関係は猫のケージの置き場所|高さで決まる窓際・リビングの選び方にまとめています。
5. 嫌がる猫を、無理に入れてもいい?
今回確認した資料には、入れ方の手順も、無理に入れてよいかどうかも書かれていませんでした[1][2][3]。
資料が書いているのは、「嫌がらないように、日頃から慣らしておく」ことまでです[2][3]。2018年版の「これまでの災害で実際にあったペットに関する問題」には、「犬がケージになれていないため、過度なストレスを与えてしまった」という例が挙がっています[2](これは犬の例です)。
強く嫌がる、ケージの中で暴れる、鳴き続ける、といったことが続く場合は、かかりつけの獣医師に相談してください。迎えたばかりの時期の過ごし方は猫のケージはいつまで?外す目安と部屋の準備に書いています。
よくある質問
Q. ケージとキャリーバッグは、どちらに慣らせばいいですか?
A. 2018年の資料は猫について「ケージなどの中に入ることを嫌がらないように」と書き[2]、2025年の改訂版原稿(案)は「ケージやキャリーバッグに入ることを」と両方を挙げています[3]。避難時の持ち出し品にも「キャリーバッグやケージ」とあります[2]。
Q. 災害のとき、ケージに入らなかったらどうすればいいですか?
A. 今回確認した資料には、その場合の手順は書かれていませんでした。書かれているのは、ふだんからの備えとして慣らしておくことと[2][3]、ケージを固定した家具のそばなどに置くことです[3]。
Q. ケージを寝床にしてもいいですか?
A. 2010年の環境省の資料は「キャリーケージを寝床として使えば、病院に行くときなどストレスを与えずに運ぶことができます」と書いています[1]。
編集部の結論
調べる前は、「入らない猫をどう慣らすか」の手順が、どこかに書いてあると思っていました。実際には、国の資料は手順を書かず、ケージの側の条件を書いていました。
- 2010年の資料は、猫のケージを「寝床」として書いていた[1]
- 2018年から、猫にも「嫌がらないように、日頃から慣らしておく」が入った[2]
- 資料が猫のケージに求めているのは、高さ・隠れ場所・安心して休める場所[3]
- 置き場所は、固定した家具のそば、重い物が落ちてこない位置[3]
入ってくれない猫を入れる方法の前に、そのケージが「逃げ込みたくなる場所」になっているか。置き場所と中身は、家の側で見直せます。
ケージをどこに置けば倒れず、上から物が落ちてこないかは、間取りや家具の配置で変わります。写真を見ながらの確認もできますので、迷ったら相談窓口をお使いください。
わが家の場合はどうなるか相談する
工事が必要かどうかの切り分けから相談できます。相談は無料です。お見積りは施工会社が現地を見たうえで作成します。
参考文献・出典
(すべて2026年9月25日確認)
- 環境省「住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン」平成22年2月(PDF・全24ページ。p.10「災害時に必要なしつけ」/p.12 猫を飼うときに用意するもの「寝床」) https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h2202.pdf
- 環境省 自然環境局総務課動物愛護管理室「災害、あなたとペットは大丈夫?人とペットの災害対策ガイドライン<一般飼い主編>」平成30年9月発行(PDF・全14ページ。p.4 これまでの災害で実際にあった問題/p.7 発災当日の例/p.10 平常時の備え「犬の場合」「猫の場合」/p.11 持ち出し品と避難時の行動) https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h3009a/a-1b.pdf
- 環境省 検討会資料2-2「「人とペットの災害対策ガイドライン」改訂版原稿(案)」(PDF・全124ページ。p.38 住まいの防災対策/p.39 ペットのしつけと健康管理/p.74 動物保護施設の飼養環境の整備)※改訂の原稿案であり確定版ではない https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/saigai_guide_pet/r07_04/mat02_2.pdf
- ラッコキーワード(ライトプラン)。サジェストキーワード「猫 ケージ 入らない」月260・「猫 ケージ 嫌がる」月110(2026-09-11実測)/よくある質問検索「猫 ケージ 入らない」0HIT(2026-09-25実測) https://rakkokeyword.com/
※本記事は住まいづくりの観点から一般的な情報を提供するものであり、個々のペットの診断・治療に代わるものではありません。歩き方や行動に気になる変化がある場合は、かかりつけの獣医師にご相談ください。

