「犬 ケージ 防音」で最も多く検索されている質問は、「犬のケージの防音対策は手作りでできますか?」でした(2026年9月11日実測・相対需要100)。2位が「防音ケージは犬にどんな効果があるの?」。買う前に、まず効くのかを知りたいという順番です。
編集部でも同じところが気になったので、ケージカバーを売っている各社が、自社の製品に何と書いているかを読み比べました。すると、「ケージカバー」という同じ言葉が、まったく別の2つの物を指していることが分かりました。
片方は530gの布[2]。もう片方は税込306,900円の木の箱です[3]。
くらすけ
同じ「カバー」でつか? 値段が57倍でつよ。
そして、防音の数字を出しているのは後者だけでした。
先に結論
| # | 判断 | 根拠 |
|---|---|---|
| 1 | 布のケージカバーのメーカーは「防音」と書いていない | リッチェルの製品ページ本文に「防音」0回。用途は「視界を遮る」「抜け毛」[2] |
| 2 | 「防音カバー」を名乗る製品は、布ではなく木の箱 | 国産天然木製・板厚指定不可・換気装置つき・合計306,900円(税込)[3] |
| 3 | 重さが66倍違う(当編集部の計算) | 0.231kg/㎡[2] 対 15.25kg/㎡[1] |
| 4 | 重ねても、そこまで効かない | 「材料の重さを2倍にしても遮音性能は5dBしか向上しない」(カワイ音響システム)[1] |
| 5 | 掛けても数字が動かなかった記録が、メーカー側にある | 「防音シートカバーを掛けて50デシベル/掛けずに50デシベル」[3] |
| 6 | 布のカバーが効くのは、音量ではなく「吠えるきっかけ」のほう | 環境省は外部刺激で吠える場合の対策に「外から見えないように」を挙げている[4](⚠️屋外飼育の項) |
🔴 編集部の判断を先に書きます。
ケージカバーは、音を止める部品ではありません。「見せない」ための部品です。
それでも吠える回数が減れば、結果として音は減ります。ただしそれは、音を遮った結果ではありません。
1. 「ケージカバー」で出てくる2つの物は、まったく別物だった
布のカバー(リッチェル ペットサークルカバー)
| 項目 | 公表値[2] |
|---|---|
| 製品サイズ | 90×60×58.5cm(90-60)/120×60×58.5cm(120-60) |
| 製品重量 | 530g(90-60 ブラウン・品コード088431)/610g(120-60 ブラウン) |
| 材質 | 布地・バイヤステープ:ポリエステル、面ファスナー:ナイロン、ファスナースライダー:スチール |
| メーカー希望小売価格 | オープン(ブラウン)。製造終了のピンクは5,500円・6,500円(いずれも税抜) |
商品説明にはこう書かれています[2]。
ペットが落ち着く安心の空間づくり。サークル内のペットの視界を遮り、リラックスさせることができます。
・水洗いできるので、清潔に保てます。・抜け毛の舞い上がりを防ぎます。
🔴 この製品ページの本文に「防音」は1回も出てきません(「遮光」も0回。当編集部が同ページの本文を検索しました)。書かれているのは、視界・洗える・抜け毛の3つです。
「防音ケージカバー」(犬小屋製作工房K)
同じ「カバー」という名前ですが、中身は国産天然木製の箱でした[3]。
| 項目 | 公表値[3] |
|---|---|
| サイズ(大) | 1300×800×高さ740mm(中に入るケージ 1220×720×高さ700mm) |
| サイズ(中) | 1020×710×高さ740mm(中に入るケージ 930×630×高さ700mm) |
| 換気 | ロスナイ常備品 |
| 注記 | 「防音仕様の小屋には板厚の指定が出来ません」 |
| 価格 | 本体265,650円+塗装12,100円+梱包・送料27,830円+代引手数料1,320円=合計306,900円(税込) |
⚠️ 同社は「表示金額はサンプル価格です。ご注文の内容や送り先により金額が変わります」と明記しています[3]。この金額をそのまま相場として読まないでください。
くらすけ
板の厚さを選べない、って書いてあるでつね。
たぶんそこが効いてるからでつ。
2. 数字を出しているのは、どちらか
木の箱のほう(自社試験)
犬小屋製作工房Kは、自社独自の試験として次を公表しています[3]。
防音試験結果(当社独自の試験)・防犯ベルを鳴らす 85dB ・防音カバー内で鳴らす。56dB
差は 29dB(引き算は当編集部)。同社は「耳で聞くと3分の1になります」と書いています[3]。
⚠️ これは同社独自の試験です。測定距離・測定器・周囲の環境といった条件は、当編集部が確認したページには書かれていませんでした。他社製品と横並びで比べられる数字ではありません。
防音室のほう(カワイ音響システム「ワンだぁルーム」)
ピアノの防音室をつくっている会社が、犬用の防音室も出しています[1]。
| 項目 | 公表値[1] |
|---|---|
| 型番 | PVU-030F(ボックスフラット屋根タイプ) |
| 遮音性能 | 30dBをクリヤー(独立二重構造) |
| 効果の例 | 95dBの鳴き声が、ドアを閉めると65dB。建物自体でさらに防音されるため、屋外ではおよそ40dB |
| 外寸/内寸 | 743×582×787mm/631×470×500mm |
| 重量 | 45kg |
| 価格 | 本体220,000円(税込)+標準運送費13,200円(税込) |
🔴 内寸の奥行きは470mmです[1]。この時点で、入る犬のサイズはかなり限られます。
3. 重さで並べると、66倍違った
ここからは当編集部の計算です。遮音は「重さ」で決まる部分が大きいので、面積あたりの重さに直して並べました。
| 製品 | 面積 | 重さ | 面積あたり |
|---|---|---|---|
| リッチェル ペットサークルカバー 90-60 | 2.295㎡(天面+側面4面) | 530g[2] | 0.231kg/㎡ |
| カワイ ワンだぁルーム PVU-030F | 2.950㎡(外寸6面) | 45kg[1] | 15.25kg/㎡ |
差は約66倍でした。
⚠️ 前提を書いておきます。布カバーは底が無いので天面+側面4面、防音室は箱なので外寸6面で計算しています。寸法と重量はどちらもメーカーの公表値で、編集部が量ったものではありません。
4. では、2枚重ねれば効くのか
ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。
カワイ音響システムは、自社サイトで「質量則」の説明まで書いています[1]。
遮音性能の目安は「質量則」から求めることができます。質量則は一重構造に良く適合し、重い材料ほど遮音性能に優れるというものです。
この場合、材料の重さを2倍にしても遮音性能は5dBしか向上しないとされています。
そして同じページに、こうも書かれています[1]。
音が10dB小さくなると、聴覚上では音の大きさが半分になったと感じるといわれます。
🔴 2つを並べると、答えが出ます。
布のカバーをもう1枚重ねて重さを2倍にしても、上がるのは5dB。
「半分になった」と感じる10dBには、届きません。
さらに、66倍の差を2倍ずつで詰めようとすると、約6回重ねる計算になります(当編集部)。布6枚は、もうカバーではありません。
⚠️ 一致について、正直に書いておきます。66倍を質量則にあてはめると約30dBになり、同社が公表している遮音性能30dBと近い数字になりました。ただし同社は「構造を二重構造とした上で、外壁と内壁を独立させることにより質量則を上回る遮音効果を得ることができます」とも書いています[1]。近い数字になった理由が何なのかは、当編集部では判定できません。数字が合ったことを根拠にはしません。
くらすけ
重ねる作戦、思ったより伸びないんでつね。
5. メーカー自身が「掛けても変わらなかった」と書いている
犬小屋製作工房Kのサイトには、防音仕様をつくってきた経過が書かれています[3]。
製作当初は、防音シートカバーを掛けて50デシベルでした。次に防音シートカバーを掛けずに50デシベルでした。
しかしワンちゃんの鳴き声や環境で50デシベルにならない事もありました。そこで今回細かな音の漏れを無くす対策をしました。
🔴 掛けても掛けなくても50デシベル、と書かれています。そのうえで同社が次に手を入れたのは、シートではなく「細かな音の漏れを無くす対策」でした。
⚠️ これも同社独自の試験の記述です。試験条件は書かれていません。ただ、「布を足す」より「隙間を塞ぐ」ほうへ進んだ、という記録にはなっています。
布のケージカバーは、底が開いていて、正面はファスナーで、通気のために閉め切らない作りです。塞ぐ方向とは、そもそも設計が逆です。
吸音材と遮音材の違い、空気を伝わる音と床を伝わる音の切り分けは、[犬の鳴き声の防音対策|「吸音材を貼る」が効かない理由から始める](https://pet-kurashi.net/2026/08/22/dog-bark-soundproof/)で先に扱っています。順番としては、そちらが先です。
6. 布のカバーは、何のための物か
ここまで読むと「布は意味がないのか」と思えますが、メーカーが書いている用途は、最初から音ではありません。「視界を遮り、リラックスさせる」です[2]。
吠える理由の側から見ると、これは的外れではありません。
環境省の「住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン」には、次の一文があります[4]。
外部からの刺激で吠えるような場合には、原因を調べてそれにあった対策を行います。たとえば、外を人が通るのが気になる場合は、犬の居場所を移したり、外から見えないように植え込みを作ったりします。特定のものに対して吠えるようなら、そのものを遠ざけるなどの配慮も必要です。
🔴 国のガイドラインが挙げているのは、音を小さくする道具ではありません。「原因を調べる」「居場所を移す」「外から見えないようにする」の3つです。
⚠️ この記述は「屋外で飼う場合」の項に置かれています[4]。室内でも同じことが言えるとは書かれていません。編集部としては、考え方(刺激を減らす/居場所を動かす)は室内でも参考にできると考えますが、そう書いてある資料ではないことは明記しておきます。
ケージそのものをどこに置くかは、[犬のケージの置き場所|リビング・寝室・和室の選び方](https://pet-kurashi.net/2026/09/08/dog-cage-placement/)で扱っています。「見えないようにする」の第一手は、カバーを買うことではなく、置き場所を変えることです。
7. 手作りでできる範囲(検索1位の質問)
相対需要100の質問が「犬のケージの防音対策は手作りでできますか?」でした。ここまでの数字から、できることとできないことが分かれます。
| やろうとしていること | この記事の材料から言えること |
|---|---|
| 布・毛布を重ねる | 重さ2倍で+5dB が上限の目安[1]。半分に感じる10dBには届かない |
| 段ボールで囲う | 重さの桁が布と変わりません。同じ理由で大きくは期待できません |
| 隙間を塞ぐ | メーカーが次に手を入れたのはここでした[3]。ただし閉め切ると換気が止まります |
| 箱で囲う | 製品側は必ず換気装置を付けています(ロスナイ[3]/強制吸排気[1]) |
🔴 換気は、省略できる部分ではありません。カワイは「エアコン、クーラーが設置されている部屋に置くことが条件」「長時間、防音扉を閉めたままにしないでください」と明記しています[1]。遮音と換気は、手作りでいちばん両立が難しいところです。
編集部としては、手作りで狙うなら「音を止める」ではなく「吠えるきっかけを減らす」ほうを勧めます。そちらは布1枚でも成立しますし、換気の問題も起きません。
8. 費用で並べるとどうなるか
| 手 | 費用(公表値) |
|---|---|
| 布のケージカバー | オープン価格(製造終了のピンクは5,500円/6,500円・税抜)[2] |
| ペット用防音室 | 220,000円+運送13,200円(税込)[1] |
| 木製の防音ケージカバー | 合計306,900円(税込・サンプル価格)[3] |
| 内窓 | [内窓で犬の鳴き声はどこまで静かになる?](https://pet-kurashi.net/2026/08/22/inner-window-soundproof/)で扱っています |
| 床側の対策 | [犬の防音マットの効果|床の防音リフォームとの違いと費用](https://pet-kurashi.net/2026/09/05/dog-soundproof-mat/) |
⚠️ 箱を買う前に、窓を見てください。鳴き声は空気を伝わって窓から出ます。部屋ごと対策したほうが、犬を箱に入れずに済むことがあります。
よくある質問
Q. 犬のケージの防音対策は手作りでできますか?(実測1位・相対需要100)
「吠えるきっかけを減らす」方向ならできます。布で視界を遮るのは、メーカー製品と同じ考え方です[2]。「音量を下げる」方向は難しいです。重さを2倍にしても5dBしか変わらないとされており[1]、布や段ボールでは重さの桁が足りません。⚠️ 囲う場合は換気を必ず確保してください[1][3]。
Q. 防音ケージは犬にどんな効果があるの?(実測2位・51)
公表されている数字では、カワイの防音室が「遮音性能30dB」「95dBの鳴き声がドアを閉めると65dB」[1]、犬小屋製作工房Kの自社試験で「85dB→56dB」[3]です。⚠️ どちらもメーカーの公表値で、編集部が測ったものではありません。試験条件が書かれていないものもあります。
Q. 犬をケージで飼うときの防音対策は?(実測3位・44)
順番があります。①吠える原因を調べる[4] ②置き場所を動かす ③視界を遮る ④それでも足りなければ、部屋側(窓・床)の対策。ケージを囲うのは最後です。先に[鳴き声の防音対策](https://pet-kurashi.net/2026/08/22/dog-bark-soundproof/)をご覧ください。
Q. 防音ケージはレンタルできますか?(実測4位・28)
レンタルの有無は、今回確認した各社の公表ページには見当たりませんでした。当編集部では確かめられていないので、あるともないとも書きません。販売元に直接お問い合わせください。
Q. カバーをすると暑くなりませんか?
製品側は、必ず換気を付けています。カワイは強制吸排気装置つきで「エアコン、クーラーが設置されている部屋に置くことが条件」[1]、犬小屋製作工房Kは「ロスナイ常備品」[3]。囲うほど、換気の設計が要ります。
Q. 賃貸でもできますか?
布のカバーも、置き場所を変えることも、工事ではありません。窓の内側に内窓を足す場合は貸主の許可が要ります。[賃貸でできる犬の床滑り対策](https://pet-kurashi.net/2026/08/20/rental-dog-floor/)に、原状回復の考え方をまとめています。
編集部の結論
- 布のケージカバーのメーカーは「防音」と書いていない。書いてあるのは「視界を遮る」「抜け毛」[2]
- 「防音カバー」を名乗る製品は、布ではなく木の箱だった(合計306,900円・税込)[3]
- 重さで比べると66倍の差(0.231kg/㎡ 対 15.25kg/㎡・当編集部の計算)
- 重ねる作戦は伸びない。重さ2倍で+5dB、半分に感じるのは10dB[1]
- メーカー自身が「掛けても掛けなくても50デシベル」と書いている[3]
- 効くのは音量ではなく、吠えるきっかけのほう。環境省も「外から見えないように」「居場所を移す」を挙げています[4](⚠️屋外飼育の項)
- 囲うなら換気とセット。製品側は例外なく換気装置を付けています[1][3]
布のカバーを1枚試すことと、置き場所を変えることは、今日からできます。
一方で、どこから音が漏れているのか(窓か、壁か、床か)は、間取りと建物の構造で変わります。箱を買う前に、部屋の側で減らせる分がどれだけあるかを見たほうが、結果的に安く済むことがあります。
写真を見ながら、工事が必要かどうかの切り分けからご相談いただけます。
わが家の場合はどうなるか相談する
工事が必要かどうかの切り分けから相談できます。相談は無料です。お見積りは施工会社が現地を見たうえで作成します。
※本記事は住まいづくりの観点から一般的な情報を提供するものであり、個々のペットの診断・治療に代わるものではありません。吠え方や行動に気になる変化がある場合は、かかりつけの獣医師にご相談ください。
参考文献・出典(すべて2026年9月11日確認)
- カワイ音響システム株式会社「ペット用防音室」(ワンだぁルーム PVU-030F。遮音性能30dB/95dB→65dB→屋外約40dB/外寸743×582×787mm・内寸631×470×500mm・重量45kg・本体価格220,000円(税込)・標準運送費13,200円(税込)/質量則の説明「材料の重さを2倍にしても遮音性能は5dBしか向上しない」「音が10dB小さくなると聴覚上では半分になったと感じる」/独立二重構造で質量則を上回る/使い方・留意事項の換気条件) https://www.kawai-os.co.jp/product/other15/
- 株式会社リッチェル「ペットサークルカバー」製品情報(90-60 ブラウン 品コード088431:90×60×58.5cm・製品重量530g・材質 布地・バイヤステープ:ポリエステル・メーカー希望小売価格オープン/120-60 ブラウン 088441:610g/製造終了の90-60 ピンク 088435:5,500円(税抜)・570g/120-60 ピンク 088445:6,500円(税抜)・650g/商品説明「サークル内のペットの視界を遮り、リラックスさせることができます」「抜け毛の舞い上がりを防ぎます」) https://www.richell.co.jp/products/pet/item/?sid=088431
- 犬小屋製作工房K「NEW 防音ケージ カバー5 大」(国産天然木製/サイズ大1300×800×高さ740mm・中1020×710×高さ740mm/ロスナイ常備品/「防音仕様の小屋には板厚の指定が出来ません」/防音試験結果(当社独自の試験)「防犯ベルを鳴らす 85dB」「防音カバー内で鳴らす。56dB」/本体265,650円+塗装12,100円+梱包・送料27,830円+代引手数料1,320円=合計306,900円(税込)・「表示金額はサンプル価格です」/「製作当初は、防音シートカバーを掛けて50デシベルでした。次に防音シートカバーを掛けずに50デシベルでした」) https://www.inugoyak.com/miniaturedog/3.html
- 環境省「住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン」平成22年2月(IV-1-①「犬」/屋外で飼う場合の項「外部からの刺激で吠えるような場合には、原因を調べてそれにあった対策を行います。たとえば、外を人が通るのが気になる場合は、犬の居場所を移したり、外から見えないように植え込みを作ったりします」/「一般に住宅密集地では鳴き声が大きな、よく吠える特性のある犬種は向かないと言われています」) https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h2202.pdf

