冬になると、リビングの窓際で犬が小さく丸くなっていることがあります。エアコンは動いている。温度計も20℃を指している。それでも、なんとなく寒そうに見える。
編集部は「ペットのために窓を断熱すると、どのくらい意味があるのか」を調べることにしました。窓の話を調べると、ほぼ必ず出てくる数字があります。「冬に暖房で逃げる熱の58%は、窓などの開口部から出ていく」というものです。
この数字の出どころに当たってみたら、2つのことが分かりました。
1つは、58%が今も公開されている一次資料に載っていること。もう1つは、同じ団体が2025年12月に新しい試算を出していて、そちらでは41%だったことです。
そして調べ進めるうちに、ペットにとってはもっと大事な数字が、まったく別の場所にありました。
くらすけ
ぼくたちは床にいるでつ。人の胸の高さの温度を言われても、実感がないでつよ。
結論|「何℃に設定するか」より先に、「どこの高さを測っているか」を決める
先に結論を書きます。
- 「冬の熱の58%が窓から」は古い数字である可能性が高い。同じ団体(一般社団法人 日本建材・住宅設備産業協会)が2025年12月に公表した試算では、義務化水準の家(断熱等性能等級4相当)で窓41%、最上位の等級7相当で窓25%でした[1][2]。
- 窓の断熱がどのくらい効くかは、家の断熱レベルで変わる。性能が上がるほど窓の割合は下がり、代わりに換気の割合が24%→49%へ上がります[2]。築年数の古い家ほど、窓の優先順位は高くなります。
- ペットにとって重要なのは、全体の割合よりも「床の高さの温度」。国土交通省の健康影響調査は床上1mと床近傍の両方を測っており、人の高さが18℃以上あるのに床近傍が16℃未満という家が605軒ありました[3][4]。
- 獣医師も「床上数十センチで測ってほしい」と明記しています[6]。編集部としては、内窓を入れるかどうかを考える前に、まず犬や猫がいつも寝ている場所に温度計を置くことをおすすめします。これは無料でできて、判断材料になります。
以下、どうやって確かめたかを順に書きます。
冬に逃げる熱のうち、窓からはどのくらいか
いま公開されている数字は58%
まず、よく引用される58%の出どころを探しました。一次資料は、一般社団法人 日本建材・住宅設備産業協会(建産協)の「開口部情報」というページでした[1]。
冬の暖房時は58%の割合で熱が流出し、夏の冷房時(昼)は73%の割合で熱が入ってきます。
このページは2026年9月1日時点で公開されています。ただし、この58%がどんな家を前提に計算されたものなのかは、このページには書かれていませんでした。ページ本文には平成11年(1999年)省エネルギー基準の話が出てきますが、58%の計算条件としては明示されていません。
同じ団体が、2025年12月に新しい試算を出していた
同じサイトの資料をたどると、「住宅各部位における熱の出入り割合」(2025年12月・建産協)というPDFが見つかりました[2]。
こちらは前提条件がはっきり書かれています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 住宅タイプ | 戸建住宅(木造軸組) |
| 住宅プラン | 自立循環モデルプラン |
| 断熱レベル | 住宅性能表示制度 断熱等性能等級4〜7 |
| 地域区分 | 6地域(計算地点:東京・標準アメダス気象データ2010年版) |
| 検証部位 | 開口部・屋根天井・床・外壁・換気 |
| 計算ソフト | ホームズ君(株式会社インテグラル)Ver.4.30 |
| 監修 | 芝浦工業大学 秋元孝之 教授 |
| WG参加企業 | 旭ファイバーグラス/AGC/三協立山/日本板硝子/ミサワホーム/LIXIL/YKK AP |
そして、冬の熱損失に占める窓の割合は、義務化水準にあたる断熱等性能等級4(H28基準)相当で41%でした。
編集部で検算した
グラフの数値は円グラフのラベルとして入っており、どの等級がどの割合なのかを取り違える余地があります。そこで編集部で検算しました。
この資料には、換気を含めた図と、換気を除いた図の2種類が載っています[2]。換気を除いた図は、換気を含む図から換気分を抜いて残りを100%に割り直したものであるはずです。そこで実際に計算してみました。
等級4相当(換気を含む)の天井4%・窓41%・外壁24%・床/基礎7%を、換気24%を除いた76%で割り直すと、6%・54%・32%・9%になります。資料の「換気影響排除」の図に載っている数字は6%・54%・31%・9%でした。等級7相当でも同じように一致します。
つまり、等級と割合の対応はこの読み方で合っています。孫引きの数字ではなく、資料そのものから読み取った値です。
なぜ58%と41%が並んでいるのかは、資料からは分かりませんでした
平成11年基準の住宅は、当時の等級区分では最上位(等級4)にあたります。H28基準の等級4も、断熱水準としては近い位置にあります。それなのに58%と41%で17ポイント違う。
理由として考えられるのは、旧値が換気を独立した項目として数えていない、計算に使ったプラン・地域・ソフトが違う、といったことですが、旧値の計算条件が公表されていないため、編集部では特定できませんでした。
ここで言えるのは次の2点までです。
- 58%という数字を見かけたら、それが2025年12月版なのかどうかを確かめたほうがよい
- どちらの数字でも「開口部からの出入りが最も多い」という結論そのものは変わらない(2025年12月版のまとめにも「外皮の部位別では開口部からの熱の出入りが最も多くなることが再認識された」と書かれています)[2]
くらすけ
「窓がいちばん逃げる」は変わってないでつね。変わったのは「どれくらい」のほうでつ。
断熱性能が上がるほど、窓の割合は下がって換気の割合が上がる
2025年12月版のいちばん面白いところは、等級別に並べたときの動き方です。冬の熱損失の割合は次のようになっていました[2]。
| 断熱等性能等級 | 天井 | 窓 | 外壁 | 床/基礎 | 換気 |
|---|---|---|---|---|---|
| 等級4(H28基準)相当 | 4% | 41% | 24% | 7% | 24% |
| 等級5相当 | 5% | 29% | 27% | 8% | 31% |
| 等級6相当 | 5% | 27% | 23% | 9% | 36% |
| 等級7相当 | 5% | 25% | 12% | 9% | 49% |
窓は41%から25%へ下がり、換気は24%から49%へ上がります。資料自身も「外皮平均熱貫流率が小さく(良く)なるほど、換気による熱損失割合が増加する」と書いており、第三種換気(自然給気+機械排気)を前提にしているためだと説明しています[2]。
これが読者にとって意味すること
「窓を断熱すれば冬は暖かくなる」がどれくらい当たるかは、いまの家の断熱レベルによって変わるということです。
- 等級4相当より古い家(1999年以前の住宅など)では、窓の占める割合はさらに大きい可能性があります。窓から手をつける合理性が高い。
- すでに等級6〜7の高断熱住宅では、窓を替えても伸びしろは小さく、換気側の設計(熱交換換気など)の話になります。
⚠️ ただし、この表は「割合」であって「量」ではありません。等級7の家は熱損失の総量そのものが小さいので、換気49%は「量が多い」という意味ではありません。割合と量を混同しないでください。
⚠️ また、この試算は6地域(東京)の木造軸組戸建が前提です。マンション、寒冷地、鉄筋コンクリート造では違う結果になります。
うちの窓はどのレベル? U値でいうと3.6倍の差がある
同じ資料の計算仕様には、等級ごとに想定した窓の仕様とU値(熱貫流率。小さいほど熱を通しにくい)が載っています[2]。
| 等級 | 想定した窓の仕様 | 窓のU値(W/㎡K) |
|---|---|---|
| 等級4(H28基準) | アルミサッシ+複層ガラス | 4.65 |
| 等級5 | アルミ樹脂複合サッシ+Low-E複層ガラス(断熱ガス入り・日射取得型) | 2.33 |
| 等級6 | 樹脂サッシ+Low-E三層複層ガラス(断熱ガス入り・日射取得型) | 1.90 |
| 等級7 | 樹脂サッシ+ダブルLow-E三層複層ガラス(断熱ガス入り・日射遮蔽型) | 1.30 |
等級4と等級7で3.6倍の差があります。窓の枠を触ってみて金属で冷たければアルミサッシ、ガラスが1枚なら単板ガラスで、上の表よりさらに手前の段階です。
内窓(二重窓)は、既存のアルミサッシの内側にもう1枚窓を取り付けて建具を二重にするもので、内側に付ける窓は樹脂製が最も多い組み合わせだと建産協は説明しています[7]。既存の窓をそのまま残せるのが特徴です。
ここからがペットの話|人の高さで測った室温は、床の温度ではない
ここまでは家全体の話です。ペットの話にすると、見るべき数字が変わります。
国の調査は「床上1m」と「床の上に置いた温度計」の両方を測っている
国土交通省の「スマートウェルネス住宅等推進事業」では、断熱改修の前後で住まいの温度と居住者の健康を調べる大規模調査が行われました。改修前の調査だけで2,307軒・4,131人という規模です[3]。
この調査の測定項目に、次の2つが並んでいます[4]。
- 床上1mの温湿度(居間・寝室・脱衣所)
- 床近傍温度(2015年度より追加)
資料の注釈では、床近傍は「床上に設置した温度計で測定した室温」と定義されています[4]。センチ数の指定はありません。つまり、床にじかに置いた温度計の値です。犬や猫が寝ている、まさにその高さです。
そして第3回中間報告では、この2つの上下温度差が新しい分析軸として追加されました[4]。
「人の高さは18℃以上あるのに、床は16℃未満」の家が605軒
慶應義塾大学の伊香賀俊治教授(同調査の調査解析小委員長)が国の審議会に提出した資料には、住宅を次の3群に分けた分析が載っています[5]。
| 群 | 床上1mの室温 | 床近傍の室温 | 軒数 |
|---|---|---|---|
| 寒冷群 | 18℃未満 | 16℃未満 | n=1,425 |
| 中間群 | 18℃以上 | 16℃未満 | n=605 |
| 温暖群 | 18℃以上 | 16℃以上 | n=605 |
注目したいのは中間群です。人の高さでは18℃以上あるのに、床の近くは16℃未満。この家が605軒あり、温暖群とちょうど同じ数だけ存在していました。
高血圧で通院している確率の調整オッズ比は、温暖群を1.00としたとき、寒冷群1.57・中間群1.67で、いずれも温暖群に対して有意(p<0.01)でした[5]。資料はこのページに「足元も暖かい住まいで高血圧が少ない」という見出しを付けています。
⚠️ これは人のデータであって、犬猫のデータではありません
ここは正確に区別します。
- 上のオッズ比は人間(居住者)の高血圧に関するものです。犬や猫で同じことが起きるという意味ではありません。ペットの健康影響を示すデータとしては使えません。
- 中間群1.67と寒冷群1.57の大小関係が統計的に意味のある差なのかは、資料からは判断できませんでした。どちらも温暖群に対して有意、というところまでです。
- この調査は断熱改修を予定している住宅が対象で、日本の住宅全体の平均ではありません。
それでもこの調査を紹介するのは、「人の高さが暖かくても床が寒い家が実在し、しかも珍しくない」ということを、公的な実測で確認できるからです。割合ではなく軒数で示されている点に価値があります。
なお、この調査が18℃を境目に使っているのは、WHOが2018年に「冬季室温18℃以上」を強く勧告し、小児・高齢者にはもっと暖かくと付記しているためです[5]。これも人に対する勧告で、犬猫の基準ではありません。
獣医師も「床上数十センチで測ってほしい」と言っている
同じ話を、獣医師の側から言っている資料がありました。
獣医師・博士(獣医学)の茂木千恵先生は、旭化成ホームズの記事で次のように述べています[6]。
飼い主とペットの呼吸する空間の高低差に着目してください。(中略)冬に室内を暖めると暖気は上に向かうため、人間が快適と感じている温度、湿度が、ペットが体感しているものとは異なっている可能性もあります。理想的には『温湿度計』を使い、ペットがよく行動している床上数十センチで測定し、その数値を参考にして温度・湿度を調整することをおすすめします。
同じ記事では、「床面からの冷え込みというのは意外に強い」「特に小型犬でお腹の毛が少ない子たちは体が冷えて下痢になりやすい」とも述べられています[6]。
国の調査が測っている「床上に置いた温度計」と、獣医師が勧める「床上数十センチ」は、ほぼ同じ場所を指しています。建築の側と獣医の側から、別々に同じ高さが名指しされていました。
適温の数字そのものは、資料によって違いました
参考までに、編集部が確認した範囲の数字を並べます。
| 出典 | 犬 | 猫 | 湿度 |
|---|---|---|---|
| 三菱電機 霧ヶ峰PR事務局リリース(2022年2月・獣医師 茂木千恵先生)[8] | 冬 20〜22℃ | 冬 21〜28℃ | 犬40〜60%/猫50〜60% |
| 旭化成ホームズ(2025年1月・獣医師 茂木千恵先生)[6] | 20〜25℃ | 20〜25℃ | 犬猫とも40〜60% |
| アニコム損保 猫との暮らし大百科(獣医師監修)[9] | — | 20〜25℃ | 40〜60% |
同じ獣医師が監修した2つの資料でも、犬の上限が22℃と25℃、猫の範囲が21〜28℃と20〜25℃で違っています。記事の目的や文脈が違う可能性はありますが、なぜ違うのかは資料からは判断できませんでした。
編集部は[夏の記事](https://pet-kurashi.net/2026/08/31/pet-summer-insulation/)でも同じことに突き当たっています。ペットの適温は、出典によって数字が動く。だから編集部は本記事で「冬は○℃にしましょう」とは書きません。
代わりに書けるのは、どの資料も一致していることです。湿度は40〜60%で3つとも一致していました。そして温度については、測る高さを合わせることのほうが、1〜3℃の議論より先だというのが編集部の判断です。
くらすけ
何℃がいいかで迷う前に、ぼくの寝床に温度計を置いてくださいでつ。それならタダでつ。
なぜ窓際が寒いのか|「ケージは窓から離す」の理由
「犬のケージは窓際に置かない」という助言はよく見かけます。理由を一次資料で確かめました。
建産協は、この現象を「冷輻射(れいふくしゃ)」と説明しています[10]。
冬、暖房をしているにもかかわらず、窓のそばに寄るとひんやりした冷気を感じます。これは「冷輻射」という現象で、窓を通して外気の冷たさが室内に伝えられているからです。カーテンやブラインドなどを使えば、この冷輻射を抑えることはできますが、根本から改善するには窓の断熱性能をあげるしか方法はありません。
つまり、窓際が寒いのは「すきま風」だけの話ではなく、冷たい窓面そのものが体から熱を奪うためです。犬が窓際で丸くなっているとき、空気の温度計が20℃を指していても、窓に面した側は別の条件下にあります。
アニコム損保の記事も、犬が寒がっているサイン(小さく丸くなる/小刻みに震える/布団や毛布にもぐる/散歩に行きたがらない)を挙げたうえで、「廊下や窓際の冷えやすい場所にケージを置いていないか、直接床の上に寝ていないか」を確認するよう書いています[11]。
カーテンでどこまで抑えられるか
建産協の説明では、カーテンやブラインドで冷輻射を「抑える」ことはできるとされています[10]。実際、先ほどの2025年12月版シミュレーションも、主居室について「日中レースカーテン/夜間厚手カーテン」を前提条件に含めています[2]。
つまり、厚手カーテンを引くのは前提条件のほうであって、追加の対策ではありません。カーテンを閉めたうえで、それでも窓際が寒いなら、次の手は窓そのものになります。
見落としやすい接続|湿度40〜60%を保つと、単板ガラスは結露する
これは調べていて気づいたことです。
獣医師の資料は3つとも湿度40〜60%を勧めていました[6][8][9]。乾燥による皮膚トラブルや、被毛の静電気による放電ショックを減らすためです。
一方、建産協の結露に関するページには、こう書かれています[12]。
室温を20℃、湿度が60%の時には、1枚ガラスの場合外気が8℃以下になると結露が発生しますが、断熱複層ガラスにすると、−2℃になっても結露しない事が分かります。
ペットのために加湿すると、単板ガラスの窓は結露しやすくなるということです。外気8℃は、東京でも冬の朝なら普通に下回ります。
結露はカビの原因になり、窓まわりの木部や壁紙を傷めます。「ペットのために湿度を上げたい」と「窓を結露させたくない」は、単板ガラスのままだと両立しにくい。窓の断熱を検討する理由が、温度以外にもう1つあるということです。
⚠️ 結露は室温・湿度・外気温・窓の性能の組み合わせで決まります。上の数値は室温20℃・湿度60%という条件での例であり、すべての家に当てはまる境目ではありません。
留守番と就寝中こそ、窓の断熱が効く時間帯
飼い主が実際に困る場面を考えると、暖房を弱める・切る時間帯が中心になります。
- 夜、就寝中:人は布団に入りますが、犬や猫はリビングや廊下に残ることがあります
- 日中の留守番:暖房をつけっぱなしにするか迷う時間帯です
この2つの時間帯は、暖房の設定温度でコントロールしていない時間帯です。設定温度をどうするかという議論の外側にあります。
窓の断熱は、暖房が動いているかどうかに関係なく効きます。暖房を切ってからの温度の下がり方が変わる、という形の効き方です。
⚠️ ただし「内窓を入れれば暖房を切ってよい」という意味ではありません。編集部が確認できた一次資料には、内窓を入れた住宅で無暖房時に室温が何℃で保たれるか、という実測値はありませんでした。メーカーが公表しているのはU値などの部材性能であって、住まい全体の無暖房時の室温ではありません。ここは断定できないので、断定しません。
なお、旭化成ホームズの記事では、茂木先生が冬に猫の腎臓病が増える要因の一つとして「猫のトイレがリビング以外の寒い場所に置かれており、寒さを嫌って猫がトイレに行きたがらなくなる」ことを挙げています[6]。部屋間の温度差は、トイレの場所選びにも関わってきます。猫のトイレの置き場所については[猫グッズの収納は1か所にまとめていい?](https://pet-kurashi.net/2026/08/30/cat-supplies-storage/)で別途扱っています。
費用と補助金|内窓は1箇所あたりいくら戻るか
環境省の「先進的窓リノベ2026事業」が使えます[13]。
- 戸建住宅の内窓設置:SSグレード 140,000〜36,000円/Sグレード 76,000〜22,000円(窓の大きさとグレードによる)
- 上限100万円/戸
- 補助単価は「一般的に要する費用の1/2以内で設定」とされています
- 2026年事業から、内窓のAグレードは補助対象から除外されました
事務局サイトによると、予算に対する補助金申請額の割合は20%(2026年9月1日午前0時時点)です[14]。予算上限に達し次第、交付申請の受付は終了します。
🔴 申請は登録された窓リノベ事業者が行い、一般消費者は直接申請できません。登録のない事業者と契約すると補助対象外になります[13][14]。
⚠️ 内窓そのものの費用相場は、この記事では書きません。編集部が確認できた一次資料に、条件をそろえた工事費のデータがなかったためです。補助単価の「一般的に要する費用の1/2以内」という記載から逆算はできますが、それは編集部の推計であって相場ではありません。
補助金制度の全体像は[ペットリフォームで補助金は使える?](https://pet-kurashi.net/2026/08/22/pet-reform-subsidy/)に、工事全体の費用の考え方は[ペットリフォームの費用相場まとめ](https://pet-kurashi.net/2026/08/20/pet-reform-cost/)にまとめています。
買う前に知っておきたい4つのデメリット
1. 窓の開け閉めの手順が増える
内窓は既存の窓の内側にもう1枚窓を作るものです[7]。開ける動作が2回になります。猫がいる家では、窓と網戸の扱いが脱走の経路に直結します。家族全員で手順を合わせておく必要があります([猫の窓・ベランダからの脱走と転落](https://pet-kurashi.net/2026/08/21/cat-window-escape-prevention/))。
2. 1部屋だけ入れると、部屋の間で熱が動く
建産協は「一部屋だけ窓断熱した場合でも省エネ効果は発揮されますが、部屋から部屋への熱の移動が起こり、無駄なエネルギー消費が発生します」と書いています[15]。
ペットのいる部屋だけ内窓を入れる、という考え方は成立しますが、家全体で見ると効率は落ちます。予算の都合で1部屋から始めるなら、それは承知のうえで選ぶことになります。
3. カーテンレールや窓枠と干渉することがある
内窓は既存の窓枠の内側に取り付けるため、窓枠の奥行きが足りないと、ふかし枠という部材を追加する必要があります。カーテンレールの位置も変わることがあります。ここは現地を見ないと分かりません。
4. 断熱と防音は別の話
内窓は防音にも効きますが、測っているものが違います。断熱の指標はU値、防音の指標は遮音等級です。防音のほうは[内窓で犬の鳴き声はどこまで静かになる?](https://pet-kurashi.net/2026/08/22/inner-window-soundproof/)で別途扱っています。「断熱のついでに防音も」と期待しすぎないほうが安全です。
賃貸ならどこまでできる
賃貸住宅では内窓の設置に貸主の許可が要ります。許可が取れない場合にできることを、確認できた範囲で並べます。
- 厚手カーテンを引く:建産協が冷輻射を「抑える」手段として挙げています[10]。ただし2025年12月版の試算では厚手カーテンは前提条件に含まれており、追加の対策ではなく標準装備という位置づけです[2]
- 犬猫の寝床を窓際から離す:アニコムが確認項目として挙げています[11]
- 床に直接寝かせない:同上[11]
- 寝床の高さで温度を測る:茂木先生の推奨[6]。これが最も費用対効果が高い一手です
⚠️ 窓に貼る断熱シート、後付けの簡易内窓などの効果について、編集部が確認できた範囲では、一次資料にあたる実測データが見つかりませんでした。効果がないという意味ではありません。確かめられなかったので書きません。
賃貸でできる床まわりの対策は[賃貸でできる犬の床滑り対策](https://pet-kurashi.net/2026/08/20/rental-dog-floor/)にまとめています。
よくある質問
Q. 冬、犬が寝るときの室温は何度にすればいいですか?
A. 編集部としては1つの数字を示しません。確認した資料の範囲でも犬は20〜22℃と20〜25℃で割れていました[6][8]。代わりにおすすめするのは、犬が実際に寝ている場所に温度計を置いて、そこの数字を見ることです。人の高さと床では違うことが、国の調査でも獣医師の説明でも示されています[4][5][6]。
Q. 留守番のとき、暖房はつけっぱなしにすべきですか?
A. 編集部が確認できた一次資料には、留守番時の暖房の入切について直接答えるデータがありませんでした。確かなのは、暖房を切ったあとの温度の下がり方は窓の断熱性能によって変わるということです。個々の判断はかかりつけの獣医師にご相談ください。
Q. うちの窓が単板ガラスかどうか、どう見分けますか?
A. ガラスの端(サッシとの境目)を横から見て、ガラスが2枚に見えて間に空気層があれば複層ガラスです。1枚しかなければ単板ガラスです。サッシの枠が金属で冬に冷たければアルミサッシです。2025年12月版の試算では、等級4相当の窓仕様が「アルミサッシ+複層ガラス」でU値4.65とされています[2]。単板ガラスはそれよりさらに手前です。
Q. 猫がいる家で、窓を触れないようにしたほうがいいですか?
A. 内窓が付くと窓まわりの構成が変わります。脱走・転落の観点は[こちらの記事](https://pet-kurashi.net/2026/08/21/cat-window-escape-prevention/)で扱っています。窓の断熱と脱走対策は、同じ窓に対する別々の工事になることがあります。発注前にまとめて相談したほうが手戻りが少なくなります。
Q. 老犬・老猫がいる場合は違いますか?
A. WHOの勧告は人について「小児・高齢者にはもっと暖かく」と付記しています[5]。動物についても、アニコムはシニア猫について「元気な成猫に比べると寒さを感じやすいため、もう少し高めの温度を目安に」と書いています[9]。ただし具体的に何℃かは資料によって異なります。シニアの住まいについては[老犬が階段を上れなくなったら](https://pet-kurashi.net/2026/08/28/senior-dog-stairs/)もあわせてどうぞ。
編集部の結論
この記事を書く前、編集部は「冬の熱の58%は窓から逃げる。だからペットのために窓を断熱しよう」という話になると思っていました。
調べてみると、58%は同じ団体の新しい試算で41%になっていて、しかもその割合は家の断熱レベルによって41%から25%まで動くものでした。「窓さえ直せば」が成り立つ範囲は、家によって違います。
そして、ペットにとって本当に効いてくる数字は割合ではありませんでした。国の調査が測っている「床の上に置いた温度計」の値と、獣医師が言う「床上数十センチ」が同じ場所を指していた。人の高さで18℃以上あっても床は16℃未満、という家が605軒あったという事実のほうが、飼い主にとっては直接的です。
編集部としては、こう考えます。
- まず、犬や猫がいつも寝ている場所に温度計を置く。これは無料で、今日できて、判断材料になります
- 人の高さとの差が大きければ、窓を疑う価値がある。冷輻射は窓の断熱性能を上げる以外に根本的な解決手段がないと、建産協自身が書いています[10]
- 家が古いほど窓の優先順位は高い。性能の良い家ほど窓の割合は下がります
- 加湿したいなら、窓の結露も同時に見る。湿度40〜60%と単板ガラスは相性が悪い
自分の家の場合はどうなるか
窓の性能そのものは、この記事のように資料で比較できます。でも、実際に内窓を入れられるかどうかは、家ごとに変わります。
- 既存の窓枠に内窓を入れるだけの奥行きがあるか(足りなければふかし枠が必要)
- カーテンレールと干渉しないか
- 賃貸・分譲マンションの場合、窓が共用部にあたるかどうか(管理規約で扱いが変わります)
- 登録された窓リノベ事業者かどうか(補助金の対象になるかが変わります)
このあたりは、今の窓の写真と、寝床の高さで測った温度があると話が早く進みます。
→ [住まいの相談窓口はこちら](https://pet-kurashi.net/soudan/)
相談は無料です。工事が必要かどうかの切り分けから相談できます。見積は施工会社が現地を見て作ります。
この記事とあわせて読みたい
- [「断熱リフォームは効果なし」? ペットの留守番から調べたら、犬の適温が資料で11度ずれていました](https://pet-kurashi.net/2026/08/31/pet-summer-insulation/)
- [内窓で犬の鳴き声はどこまで静かになる?「15dB」と「30dB」の意味を確かめました](https://pet-kurashi.net/2026/08/22/inner-window-soundproof/)
- [ペットリフォームで補助金は使える?内窓なら最大14万円/箇所、ただし条件があります](https://pet-kurashi.net/2026/08/22/pet-reform-subsidy/)
- [ペットリフォームの費用相場まとめ|工事別の目安と優先順位の付け方](https://pet-kurashi.net/2026/08/20/pet-reform-cost/)
参考文献(すべて2026年9月1日確認)
- 一般社団法人 日本建材・住宅設備産業協会「開口部からの熱の出入り割合はどの位か」(開口部情報)。「冬の暖房時は58%の割合で熱が流出し、夏の冷房時(昼)は73%の割合で熱が入ってきます」。計算の前提条件はページに記載なし https://www.kensankyo.org/openinginfo/openingheat/
- 一般社団法人 日本建材・住宅設備産業協会「住宅各部位における熱の出入り割合」2025年12月(PDF)。監修:芝浦工業大学 秋元孝之教授/WG参加企業:旭ファイバーグラス・AGC・三協立山・日本板硝子・ミサワホーム・LIXIL・YKK AP/戸建(木造軸組)・自立循環モデルプラン・6地域(東京・標準アメダス2010年版)・ホームズ君Ver.4.30。冬季の熱損失割合(窓)=等級4相当41%/等級5相当29%/等級6相当27%/等級7相当25%、換気=24%/31%/36%/49%。窓のU値=4.65/2.33/1.90/1.30。まとめ「外皮の部位別では開口部からの熱の出入りが最も多くなることが再認識された」 https://www.kensankyo.org/doc/housinghotratio_20251212.pdf
- 国土交通省 報道発表資料「住宅内の室温の変化が居住者の健康に与える影響とは?調査結果から得られつつある『新たな知見』について報告します〜断熱改修等による居住者の健康への影響調査 中間報告(第3回)〜」平成31年1月24日。調査数:改修前4,131人(2,307軒)/改修後1,194人(679軒)。知見2「居住者の血圧は、部屋間の温度差が大きく、床近傍の室温が低い住宅で有意に高い」、知見6「床近傍の室温が低い住宅では、様々な疾病・症状を有する人が有意に多い」 https://www.mlit.go.jp/report/press/house07_hh_000198.html
- 同上 別紙2「断熱改修等による居住者の健康への影響調査 概要」(PDF)。測定項目「床上1mの温湿度」「床近傍温度(2015年度より)」(居間、寝室、脱衣所)。注釈※3「床上1mと床近傍(床上に設置した温度計で測定した室温)との上下温度差」。実施主体:(一社)日本サステナブル建築協会 https://www.mlit.go.jp/common/001270049.pdf
- 伊香賀俊治(慶應義塾大学理工学部教授/国土交通省補助事業 スマートウェルネス住宅推進調査委員会 幹事・調査解析小委員長)「住宅の温熱環境と健康の関連」社会資本整備審議会 住宅宅地分科会 資料4、2019年12月23日(PDF)。p.17「足元も暖かい住まいで高血圧が少ない」:寒冷群(床上1m 18℃未満・床近傍16℃未満、n=1,425)/中間群(床上1m 18℃以上・床近傍16℃未満、n=605)/温暖群(床上1m 18℃以上・床近傍16℃以上、n=605)、高血圧通院の調整オッズ比 1.57/1.67/1.00(**p<0.01)。p.2 WHO住宅と健康ガイドライン(2018年11月公表)「冬季室温18℃以上(強く勧告)、小児・高齢者にはもっと暖かく」 https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001323205.pdf
- 旭化成ホームズ Asu-haus「【専門家解説あり】ペットが冬に快適な住環境は?犬・猫の理想の温度・湿度を解説」2025年1月9日。解説:茂木千恵先生(獣医師・博士(獣医学)/東京大学大学院農学生命科学研究科獣医学博士課程 獣医動物行動学研究室修了/往診専門動物病院モンパニエ)。「冬は犬・猫にほぼ共通で20〜25℃が適温」「理想的な湿度も犬・猫にほぼ共通で40〜60%」「ペットがよく行動している床上数十センチで測定し、その数値を参考にして温度・湿度を調整することをおすすめします」「床面からの冷え込みというのは意外に強い」「冬になると腎臓病になる猫が非常に増える傾向があります。大きな要因のひとつが、猫のトイレがリビング以外の寒い場所に置かれており、寒さを嫌って猫がトイレに行きたがらなくなるため」 https://www.asahi-kasei.co.jp/asu/learning/article026/index.html/
- 一般社団法人 日本建材・住宅設備産業協会「二重窓とは」。「既存のアルミサッシの内側にもう1枚窓を取り付け、建具として二重に構成された開口部」「内側に取り付けられる窓としては樹脂(プラスチック)製が一番多い組み合わせ」 https://www.kensankyo.org/openinginfo/doublewindows/
- 三菱電機 霧ヶ峰PR事務局 プレスリリース「ペットにとって快適な『室温』で悩む人が約3人に1人!獣医師が教えるペットのための冬の室内環境づくり」2022年2月18日(共同通信PRワイヤー)。獣医師 茂木千恵先生。「冬、犬にとって快適な『室温』は20〜22℃」「冬、猫にとって快適な『室温』は21〜28℃」「冬場は室温が15℃以下になると体格の小さなペットや高齢のペットは体温を維持できなくなり、体調を崩してしまう危険性が高まります」。調査概要:東京・大阪在住の20〜50代男女600名(犬猫のオーナー各300名)、インターネット調査、2021年12月24〜26日実施 https://kyodonewsprwire.jp/release/202202177492
- アニコム損害保険株式会社「猫の寒さ対策!冬を快適に過ごすための注意点」(猫との暮らし大百科・獣医師監修)。「健康な成猫の場合、室温は20℃〜25℃くらい、湿度は40〜60%くらいが過ごしやすい」「一般的に猫は20℃を下回ると寒いと感じることが多い」「シニア猫や体調の悪い猫の場合は、もう少し高めの温度を目安に」 https://www.anicom-sompo.co.jp/nekonoshiori/10040.html
- 一般社団法人 日本建材・住宅設備産業協会「暖房効果を上げるリビングの窓際対策とは」。「これは『冷輻射』という現象で、窓を通して外気の冷たさが室内に伝えられている」「カーテンやブラインドなどを使えば、この冷輻射を抑えることはできますが、根本から改善するには窓の断熱性能をあげるしか方法はありません」 https://www.kensankyo.org/openinginfo/warmwindowmeasure/
- アニコム損害保険株式会社「犬も寒がり!? 犬の寒さ対策、暖房は必要?」(犬との暮らし大百科・監修:犬百科編集部)。犬が寒がっているサイン(小さく丸くなる/小刻みに震える/布団や毛布にもぐる/散歩に行きたがらない)、「室温は低くないか、廊下や窓際の冷えやすい場所にケージを置いていないか、直接床の上に寝ていないかなどを確認」、暖房使用時は逃げ場を作る・低温やけどに注意 https://www.anicom-sompo.co.jp/inu/1397.html
- 一般社団法人 日本建材・住宅設備産業協会「窓面の結露の発生要因とは」。「室温を20℃、湿度が60%の時には、1枚ガラスの場合外気が8℃以下になると結露が発生しますが、断熱複層ガラスにすると、−2℃になっても結露しない」 https://www.kensankyo.org/openinginfo/windowcondensationfactor/
- 環境省「先進的窓リノベ2026事業の概要」令和8年5月27日更新(PDF)。上限100万円/戸/補助単価は「一般的に要する費用の1/2以内で設定」/戸建住宅の内窓設置 SS 140,000〜36,000円・S 76,000〜22,000円/2025年事業からの主な変更点として「内窓Aグレードを補助対象から除外」 https://www.env.go.jp/content/000402265.pdf
- 先進的窓リノベ2026事業事務局 公式サイト。予算に対する補助金申請額の割合=20%(2026年9月1日午前0時時点)/予算上限(100%)に達し次第、交付申請の受付を終了/申請と受け取りは登録された窓リノベ事業者が行い一般消費者は直接申請できない https://window-renovation2026.env.go.jp/
- 一般社団法人 日本建材・住宅設備産業協会「全ての窓を断熱しないと省エネルギー効果がないのか」。「一部屋だけ窓断熱した場合でも、省エネ効果は発揮されますが、部屋から部屋への熱の移動が起こり、無駄なエネルギー消費が発生します」 https://www.kensankyo.org/openinginfo/windowseffect/
※本記事は住まいづくりの観点から一般的な情報を提供するものであり、個々のペットの診断・治療に代わるものではありません。歩き方や行動に気になる変化がある場合は、かかりつけの獣医師にご相談ください。

