「犬 留守番 時間」は月に1,000回検索されています[5]。
この語で実際にどんな質問がされているのかを200件取り出して並べたところ、具体的な時間数を挙げた質問が66件(相対需要の47.5%)ありました。その内訳を見て、編集部は手が止まりました。
6時間・8時間・10時間・12時間。この4つだけで、数字つきの質問の90.3%を占めていました(群分けと集計は当編集部)[5]。1時間から5時間までを全部足しても2.2%です。
つまり、聞かれているのは仕事に出ている時間そのものでした。
くらすけ
「30分なら平気かな」で悩んでる人はほとんどいないんでつね。みんな、朝出て夜帰るまでの話をしてるでつ。
そこで編集部が調べたのは、「何時間まで」に答えている公的な数字があるのかでした。日本の家庭向けの基準、日本の業者向けの基準、そしてドイツの犬の飼い方の規則の3つに当たっています。
先に結論
| 調べたもの | 時間の数字 | 何の数字か |
|---|---|---|
| 環境省「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」(家庭向け) | 無し。「留守」「単独」「不在」「ひとり」すべて0件[2] | — |
| 環境省 飼養管理基準省令の概要(業者向け・令和3年6月施行) | 1日3時間以上/6時間を超えるごと[3] | ケージから出す時間の下限/展示を中断する区切り |
| ドイツ Tierschutz-Hundeverordnung(犬保護令) | 1日4時間以上(生後20週までの子犬)[1] | 人と関わる時間の下限 |
確認した3つの範囲では、「ひとりにしてよい時間の上限」を定めた規定は見当たりませんでした。出てきた数字は、すべて「一緒にいる時間の下限」か「途中で中断する区切り」でした(整理は当編集部)。
家庭向けの国の基準には、留守番の時間が出てこない
環境省の「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」は、家庭で動物を飼う人に向けた告示です。全5ページ、抽出した本文は7,568字でした。
この全文を検索した結果です(当編集部の実測)[2]。
| 探した語 | 件数 |
|---|---|
| 留守 | 0件 |
| 単独 | 0件 |
| 不在 | 0件 |
| ひとり | 0件 |
| 時間 | 4件 |
「時間」の4件は、すべて別の話でした。2件は輸送について(「なるべく短い時間による輸送方法を選択する」「適切な休憩時間を確保する」)、残る2件は屋外で運動させるときの「時間帯」についてです(「運動場所、時間帯等に十分配慮すること」「人の多い場所及び時間帯を避けること」)[2]。
留守番に関する時間の記述は、0件でした。
書かれていたのは、時間ではなく状態のほうです。
所有者等は、次の事項に留意し、家庭動物等の種類、生態、習性及び生理に応じた必要な運動、休息及び睡眠を確保し、並びにその健全な成長及び本来の習性の発現を図るように努めること。(第3 共通基準1)[2]
「何時間まで」ではなく、「必要な運動、休息及び睡眠を確保できているか」という書き方です。
業者向けの基準には数字がある。ただし意味が違う
日本にも、犬猫の飼い方について具体的な数字を定めた規定はあります。令和3年6月1日に施行された飼養管理基準省令です。ただしこれはペットショップやブリーダーなどの動物取扱業者に向けたもので、家庭の飼い主に適用されるものではありません[3]。
数字が出てくるのは、この2か所です。
運動スペース分離型飼養等を行う場合、犬又は猫を1日3時間以上運動スペース内で自由に運動できる状態に置くこと。[3]
犬又は猫を長時間連続して展示する場合は、休息できる設備に自由に移動できる状態を確保。それが困難な場合は、展示時間が6時間を超えるごとに、その途中に展示を行わない時間を設けること。[3]
3時間は「ケージから出す時間の下限」です。閉じ込めていい時間の上限ではありません。
6時間は「展示を中断する区切り」です。これも留守番の話ではありません。
そしてこの資料にも「留守」は0件でした(「留」の1文字でも0件・当編集部の実測)[3]。
読者がいちばん聞いている「6時間」とは、別のものだった
編集部が調べていて、いちばん引っかかったのがここです。
よくある質問の1位は「犬が6時間留守番するとどうなる?」(相対需要100)でした[5]。そして日本の基準の中にも「6時間」という数字があります。
この2つは無関係です。基準側の6時間は、展示を中断する区切りとして書かれたもので、留守番の可否を示したものではありません[3]。
検索していると「6時間」という数字にはたどり着きます。ただし、たどり着いた数字が自分の質問に答えているとは限らない、という例でした。
くらすけ
同じ「6時間」でも、片方はお店で展示するときの話でつ。うちのリビングの話じゃないでつね。
ドイツの規則にも数字は1か所だけ。それも「下限」だった
「犬 留守番 時間」のサジェストには「ドイツ 犬 留守番 時間」という語が入っています[5]。ドイツには犬の飼い方を定めた規則があることが知られているためです。
編集部はその原文(Tierschutz-Hundeverordnung=犬の飼養に関する動物保護令)を取得して検索しました。本文18,754字です[1]。
時間の単位(Stunde)が出てくるのは、全文で1か所だけでした。
Abweichend von Satz 1 Nummer 2 ist Welpen bis zu einem Alter von zwanzig Wochen mindestens vier Stunden je Tag Umgang mit einer Betreuungsperson zu gewähren.(§2(1))[1]
(第1文第2号にかかわらず、生後20週までの子犬には、1日に最低4時間、世話をする人との関わりを与えなければならない)
「1日に最低4時間、一緒にいる」という下限です。「1日に最大◯時間までひとりにしてよい」ではありません。
そして、「allein(ひとりで)」という語は全文に0件でした(当編集部の実測)[1]。
同じ条文には、時間の数字を伴わない要求もあります。
mehrmals täglich in ausreichender Dauer Umgang mit der Person, die den Hund hält, betreut oder zu betreuen hat (Betreuungsperson), zu gewähren(§2(1)第1文第2号)[1]
(1日に複数回、十分な長さで、その犬を飼っている/世話をしている人との関わりを与えること)
Einem einzeln gehaltenen Hund ist täglich mehrmals die Möglichkeit zum länger dauernden Umgang mit Betreuungspersonen zu gewähren, um das Gemeinschaftsbedürfnis des Hundes zu befriedigen.(§2(3))[1]
(単独で飼われている犬には、毎日複数回、より長い時間、世話をする人と関わる機会を与えること。犬の仲間を求める欲求を満たすため)
ここでも、数えているのは一緒にいる回数と長さです。
⚠️ ドイツの規則は日本の飼い主に適用されるものではありません。「海外ではこう決まっている」という比較として読んでください。
3つを並べて分かったこと
| 家庭向け告示(日本) | 飼養管理基準省令(日本・業者向け) | 犬保護令(ドイツ) | |
|---|---|---|---|
| 留守番の上限時間 | 定めなし[2] | 定めなし(「留守」0件)[3] | 定めなし(「allein」0件)[1] |
| 出てくる数字 | なし | 1日3時間以上/6時間ごと[3] | 1日4時間以上(子犬)[1] |
| その数字の意味 | — | 出す時間の下限/中断の区切り | 関わる時間の下限 |
| 共通して書かれていること | 必要な運動・休息・睡眠の確保[2] | 清潔な給水を常時確保/触れ合いを毎日[3] | mehrmals täglich(1日に複数回)[1] |
「何時間までか」を定めた規定は、確認した3つの中には1つもありませんでした。代わりに3つとも、「常時」「毎日」「複数回」という、時間を数えない書き方で揃っていました(読み分けは当編集部)。
編集部は調べる前、「どこかに上限時間が書いてあって、それが引用され続けているのだろう」と思っていました。実際には、上限のほうが存在しませんでした。
では、何が時間を決めているのか
規定が上限を決めていないなら、実際に時間を決めているのは家の側の条件です。
3つの資料に共通していた「常時」「毎日」を、家に置き換えると次のようになります。
| 家で数えられるもの | 見るところ | 詳しくは |
|---|---|---|
| 水 | 器の水が最後まで残るか。ひっくり返されないか。「清潔な給水を常時確保」が省令の言葉です[3] | — |
| 排泄の場所 | 留守の長さぶん、汚れずに使える面が残るか | 犬のトイレの場所|ごはん・寝床との距離と必要な広さ/犬のトイレトレーニング|サークルの中の置き方と広さ |
| 室温 | 出かけた後に上がる部屋か、下がる部屋か | 断熱リフォームの効果|夏のペットの留守番と室温の保ち方/冬の犬の室温は何℃?床で測る目安と、窓の断熱でできること |
| 動ける範囲 | 「自由に運動できる状態」(省令の言葉)が家のどこで成立するか[3] | 犬のケージの置き場所|リビング・寝室・和室の選び方/犬のしつけの「ハウス」とは?意味と置き場所の決め方 |
| 事故が起きる場所 | こんろ、コンセント、棚の上、閉じ込める場所 | 犬の留守番|出かける前に家で見る5か所[4] |
| 床 | 焦って戻る・滑る動きが増える場所か | 犬が滑らない床にするリフォーム |
この6つは、時間と違って自分の家で数えられます。水は何時間もつか、トイレの面は何回ぶんか、室温は何度まで上がるか。「何時間まで大丈夫か」より先に答えが出るのは、こちらのほうです。
くらすけ
時間は数えられないけど、水とトイレとエアコンなら数えられるでつ。そっちから決めればいいんでつね。
編集部の考え方
編集部としては、時間を先に決めないことを勧めます。
「8時間までならいい」と決めてしまうと、水が3時間で無くなる家でも8時間になります。逆に、水と排泄と室温が丸一日もつように作れている家では、同じ8時間でも中身が違います。
同じ時間数でも、家によって別のことが起きているというのが、今回調べた範囲での編集部の見方です。
留守が長い日に、当日できること
工事をしなくてもできる範囲を整理します。
- 水の器を1つ増やす。倒される前提で、離れた場所にもう1つ置く(省令の言葉は「常時確保」です[3])
- 排泄の面を増やす。トレーの数を足すのがいちばん早い。設備で解く選択肢は犬のトイレは自動にできる?置ける家の条件と選び方にまとめています
- 室温は「出かけた後」で見る。出る時点の室温ではなく、日が回ったあとの室温で判断する(夏/冬)
- 閉じ込める範囲を、部屋単位で区切る。ケージの中だけで長時間にしない(ケージの置き場所)
- 帰ってからの時間を先に確保する。省令が毎日を求めているのは触れ合いのほうです[3]。ドイツの規則も同じ向きでした[1]
- 叱って解決しようとしない。留守中の行動を帰宅後に叱ることについては犬のしつけでやってはいけないこと|家の側の準備にまとめています
災害で帰宅できない日の備えはペットの防災|備蓄は何日分と、置き場所の分け方が別にあります。
よくある質問
Q. 犬が6時間留守番するとどうなりますか?(実測された質問の1位・相対需要100)[5]
時間だけで決まる答えは、今回調べた資料の中にはありませんでした。日本の家庭向けの告示には留守番の時間の記述が0件[2]、業者向けの省令にも「留守」は0件です[3]。同じ6時間でも、水・排泄・室温・閉じ込める範囲がどうなっているかで中身が変わります。上の表の6項目で、自分の家の側を先に見てください。
Q. 犬は1日何時間くらい留守番できますか?(2位・相対需要97)[5]
上限を定めた規定は、確認した3つの範囲では見当たりませんでした。書かれていたのは「必要な運動、休息及び睡眠を確保する」[2]、「清潔な給水を常時確保する」「触れ合いを毎日行う」[3]という状態の側です。
Q. 子犬でも同じですか?(「子犬を6時間留守番させても大丈夫でしょうか?」相対需要88)[5]
子犬について数字を置いていたのは、今回調べた中ではドイツの規則だけでした。それも「生後20週までの子犬に1日最低4時間、人と関わらせる」という下限です[1]。ひとりにしてよい時間の上限ではありません。個々の子犬の状態については、かかりつけの獣医師にご相談ください。
Q. 12時間以上は危険ですか?
危険かどうかを時間で判定した公的な基準は、今回は見つかりませんでした。なお「犬 留守番 12 時間 以上」は月320回、「犬 留守番 10 時間 以上」は月260回検索されています[5]。質問が多いことと、基準があることは別です。
Q. ケージに入れておけば長くても大丈夫ですか?
省令が業者に求めているのは逆向きで、「1日3時間以上、運動スペース内で自由に運動できる状態に置くこと」です[3]。閉じ込める時間を延ばす根拠にはなりません。ケージの置き方は犬のケージの置き場所を参照してください。
Q. ドイツの規則は日本でも守る必要がありますか?
ありません。ドイツ国内の規則です。今回は「上限時間を定めた国があるのか」を確かめるために原文に当たり、時間の数字は1か所(子犬の下限)だけだったことを確認しました[1]。
編集部の結論
- 🔴 「何時間まで」に答えた公的な数字は、確認した3つの資料の中に1つも無かった(家庭向け告示・業者向け省令・ドイツの犬保護令。整理は当編集部)[1][2][3]
- 🔴 家庭向けの告示には「留守」「単独」「不在」「ひとり」が0件。「時間」4件も輸送2件と屋外運動の時間帯2件で、留守番は0件だった[2]
- 🔴 業者向けの省令の数字は「1日3時間以上(出す時間の下限)」と「6時間ごと(展示の中断)」。どちらも留守番の上限ではない[3]
- 🔴 読者がいちばん聞く「6時間」と、基準に出てくる「6時間」は別のものだった(読み分けは当編集部)
- 🔴 ドイツの犬保護令に時間の単位が出てくるのは全18,754字で1か所だけ。それも「子犬に1日最低4時間、人と関わらせる」という下限だった[1]
- 🔴 3つに共通していたのは「常時」「毎日」「1日に複数回」という、時間を数えない書き方[1][2][3]
- 質問の側は勤務時間に集中していた。数字つき質問66件のうち6・8・10・12時間で90.3%、1〜5時間は2.2%(集計は当編集部)[5]
- 編集部としては、時間を先に決めないことを勧めます。水・排泄・室温・動ける範囲・事故の場所・床の6つは、時間と違って自分の家で数えられます(判断は当編集部)
記事だけでは決められないのは、「いまの間取りで、留守の長さぶんの水と排泄の場所を用意できるか」です。置ける場所は、既存の給排水・段差・ドアの開き方で変わります。
自宅の場合どうなるか分からない場合は、写真や間取りを見ながら確認できます。
※本記事は住まいづくりの観点から一般的な情報を提供するものであり、個々のペットの診断・治療に代わるものではありません。留守番中の行動や体調に気になる変化がある場合は、かかりつけの獣医師にご相談ください。
参考文献・出典
- Bundesministerium der Justiz「Tierschutz-Hundeverordnung(TierSchHuV)」§2 Allgemeine Anforderungen an das Halten
– https://www.gesetze-im-internet.de/tierschhuv/BJNR083800001.html (確認日 2026-09-14・本文18,754字・読める文字97.7%・文字コード iso-8859-1。日本語訳は当編集部)
- 環境省「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」(告示)
– https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/laws/nt_r02_21_1.pdf (確認日 2026-09-14・全5ページ・抽出7,568字・抽出=ok)
- 環境省「第3次答申(動物愛護管理法の飼養管理基準に関する省令)の概要」
– https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/laws/nt_r030601_1.pdf (確認日 2026-09-14・全8ページ・抽出5,754字・抽出=ok)
- ペットのくらし編集部「犬の留守番|出かける前に家で見る5か所」
– https://pet-kurashi.net/2026/09/12/dog-home-alone-safety/ (2026-09-12公開)
- ラッコキーワード(ライトプラン)サジェストキーワード106件/よくある質問検索200件(2026-09-14 実測・当メディア取得)

