犬と暮らす家にリフォームしたい。そう思って「事例」を検索すると、きれいな写真と一緒に「約600万円」「1000万〜1500万円」といった金額が並びます。でも、その金額の中で、犬のためにかかったのはいくらなのか。
編集部でも同じところで止まりました。うちがやりたいのは床の張り替えと内窓くらいなのに、出てくる事例は全面リノベーションばかりです。
そこで、公開されているペットリフォームの事例を29件集めて、費用の書かれ方を1件ずつ数えました。結果は、工事ごとの内訳を出している事例が0件。あわせて全国調査の原資料まで戻ったところ、よく見る「相場600〜900万円」がどういう数字なのかも見えてきました。
くらすけ
事例っていっぱいあるのに、なんで「うちはいくら?」がわからないんだろう。
結局、犬と暮らす家のリフォームはいくらかかる?
先に、今回わかったことをまとめます。
| 何の数字か | 金額 | 出典 |
|---|---|---|
| ペットリフォームの「中心費用帯」 | 一戸建て・マンションとも600〜900万円 | SUUMOリフォーム[1] |
| ペットリフォームの「中心価格帯」 | 600〜700万円 | ホームプロ[2] |
| 全国のリフォーム実施者の中央値 | 210.0万円 | 住宅リフォーム推進協議会(n=1,175)[3] |
| 同・平均値 | 405.4万円 | 同上[3] |
ペット向けの「相場」として出回る600万円台と、全国のリフォーム実施者の中央値210万円の間には、3倍近い開きがあります。
これは「ペット向けの工事が特別に高い」という意味ではない、というのが今回の編集部の判断です。理由は次の2つで、記事の中で順に確かめていきます。
- 事例として公開されるのは、写真映えする大規模なリノベーションに偏っている
- 平均値そのものが、少数の大型工事に引き上げられている(平均405.4万円に対して中央値は210.0万円)
つまり、事例で見る金額は「よそのお宅の総額」であって、あなたの家の予算の目安ではありません。では何を見ればいいのか、というのがこの記事の本題です。
公開されている事例29件で、費用はどこまで分かるか
まず、材料を並べます。今回確認したのは、リフォーム会社・比較サイトが自社サイトで公開しているペットリフォームの事例です。編集部が取材したものではなく、各社が公開している内容をそのまま数えました。
| 出典 | 事例数 | 費用の書かれ方 | 工事ごとの内訳 |
|---|---|---|---|
| ゼロリノベ「ペットと暮らすリノベーション事例」[4] | 21件(猫編11・犬編10) | 「1000万〜1500万円」など500万円幅のレンジ。金額の記載がない事例もある | なし |
| リショップナビ[5] | 6件 | 148/300/300/350/572/895万円 | なし |
| グランディリフォーム[6] | 1件 | 約350万円(工期約45日) | なし |
| わんにゃんホーム[7] | 1件 | 80〜100万円(工期5日) | なし |
| 合計 | 29件 | — | 0件 |
29件のうち、「どの工事にいくらかかったか」を出している事例は1件もありませんでした。
ここは正直、意外でした。総額だけなら、床を張り替えたい人にも、キッチンごと替えた人にも、同じ「350万円」が並びます。読者が自分の家に当てはめられる形になっていないわけです。
くらすけ
つまり「350万円のおうち」がどんな工事をしたのかは書いてあるけど、そのうち床がいくらだったかは書いてない、ってこと?
そのとおりです。工事の項目は書かれていても、項目ごとの金額は書かれていません。
工事の中身まで分かる事例(29件中1件)
29件のうち1件だけ、工事項目が具体的に並んでいる事例がありました。ラブラドールレトリバーとトイプードルの2頭と暮らす戸建ての事例です[7]。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総額 | 80〜100万円 |
| 工期 | 5日間 |
| 建物 | 戸建て |
| 工事内容 | 内窓(プラマードU)/スリット袖壁/コンセント移設/腰壁/ワンラブフロア/ドギーフェンス |
注目したいのは金額よりも工期5日のほうです。床・内窓・腰壁・建具まで手を入れて5日。一方、レンジ表記の大型事例(1000万〜1500万円)は、住みながらできる工事ではありません。
同じ「ペットリフォーム事例」という言葉の中に、5日80万円のものと、数か月1000万円超のものが混ざっている。この2つを同じ「相場」にまとめた数字を見ても、判断材料にはなりません。
「相場600〜900万円」は、何を数えた金額か
では、よく見る相場の数字はどこから来ているのか。出典元の注記まで見に行きました。
| サイト | 金額 | 集計の注記 | 件数 | 期間 |
|---|---|---|---|---|
| SUUMOリフォーム[1] | 一戸建て・マンションとも600〜900万円 | 「『SUUMO』の過去・現在の掲載情報を元に、独自のロジックによって算出」 | 記載なし | 記載なし |
| ホームプロ[2] | 600〜700万円 | 「ホームプロのペットと暮らすリフォーム事例データを元に集計」 | 記載なし | 記載なし |
どちらも、何件をいつ集計したのかが公開されていませんでした。
ここは断っておきたいのですが、これは「数字が間違っている」という話ではありません。各社が自社に集まった案件を集計した数字なので、その母集団の姿がそのまま出ます。リフォーム会社に「ペットのために」と相談する人は、床だけ直したい人より、家全体を考えている人のほうが多いはずです。数字は正しくても、あなたの家の代表値ではない、ということです。
全国調査での中央値は210万円
比較のために、業界サイトではなく全国調査の原資料を見ました。住宅リフォーム推進協議会が2026年2月に公開した「2025年度 住宅リフォーム消費者(検討者・実施者)実態調査報告書」です[3]。
| 項目 | 内容[3] |
|---|---|
| 調査対象 | 過去3年以内にリフォームを実施/世帯主・自己所有/20歳以上 |
| 調査地域 | 全国 |
| 調査方法 | インターネットリサーチ |
| 調査時期 | 2025年7月18日〜8月1日 |
| 有効回答数 | 事前調査 30,735/本調査 1,175 |
この調査の、実際にかかった費用がこちらです。
| 指標 | 金額[3] |
|---|---|
| 中央値 | 210.0万円 |
| 平均値(自己資金+借入金+補助金の合算) | 405.4万円 |
| うち自己資金 | 321.0万円 |
| うち借入金 | 66.0万円 |
| うち補助金 | 18.5万円 |
| 前回(2024年度)平均 | 434.2万円 |
| 前々回(2023年度)平均 | 347.6万円 |
平均405.4万円に対して、中央値は210.0万円。平均が中央値のほぼ2倍です。これは、金額の大きい少数の工事が平均を引き上げている形です。「平均」で語られる相場は、真ん中の人の金額よりかなり高く出ます。
一戸建てだけで見ると、検討時の予算が平均349.0万円、実際にかかった費用が平均470.1万円で、その差は121.1万円と報告されています[3]。
くらすけ
みんなが600万円かけてるわけじゃなくて、「半分の人は210万円より下」ってことなんだね。
そういう読み方になります。「相場」を見るときは、平均か中央値かを確かめる。これは犬の家にかぎらず使える見方です。工事別の目安は[ペットリフォームの費用相場まとめ](https://pet-kurashi.net/2026/08/20/pet-reform-cost/)に整理しています。
「ペット」だけを分けた統計は無い
もうひとつ、原資料を読んでいて気づいたことがあります。
この調査はリフォームのきっかけ(Q7)とリフォームで実現したかったこと(Q10)を聞いています。その選択肢を並べると、こうなります[3]。
「リフォームで実現したかったこと」の選択肢(実施者 n=1,175)
| 選択肢 | 回答率[3] |
|---|---|
| 一部の部屋の全面改修をする | 31.7% |
| 省エネ性能を高める | 29.7% |
| バリアフリーにする | 14.9% |
| 防音、防災、防犯面を強化する | 13.6% |
| 家事・育児がしやすい住宅にする、居室を増やす | 12.5% |
| 耐震性能を高める | 12.1% |
| 健康増進や病気予防に配慮した室内環境にする | 9.6% |
| 長期優良住宅認定に対応する | 6.5% |
| 複数世帯同居を実現する | 4.8% |
| 子どもの事故を防止し、安全面を強化する | 4.0% |
| 大規模の修繕をする | 3.9% |
| 改築する | 3.3% |
| 大規模の模様替えをする | 2.8% |
| 増築する | 1.8% |
| その他 | 10.2% |
「子どもの事故を防止し、安全面を強化する」という選択肢はあります。ペットに相当する選択肢はありません。「リフォームを考え始めたきっかけ」(Q7)の9つの選択肢にもありませんでした。編集部が報告書83ページ分のテキストを検索した範囲では、「ペット」「犬」「猫」という語は1度も出てきません。
※図表が画像として作られている箇所はテキスト検索に乗らないため、「報告書のどこにも無い」とまでは言い切れません。確認できたのは、選択肢を読み取れた設問には無かった、というところまでです。
ここから言えるのは、ペットのためのリフォームは、全国統計の分類として存在していないということです。だから公的な相場が出てこない。出てくるのは各社の集計だけ。事例を見ても内訳が分からない理由の一つは、ここにあります。
自分の家の金額は、こう積み上げる
相場が使えないなら、工事を分解して自分で積み上げるしかありません。犬と暮らす家でよく出てくる工事を、金額が確認できるものだけ並べます。
| 工事 | 金額の目安 | 出典 |
|---|---|---|
| クッションフロアの材料(東リ CFシート-P NW) | 4,150円/㎡(税抜) ※25㎡で材料約10万円 | 東リ製品仕様[8] |
| 床材工事(6畳) | フローリング6〜18万円/クッションフロア4〜10万円/コルクタイル11〜20万円 | リショップナビ[5] |
| 内窓の追加 | 8〜15万円/箇所 | リショップナビ[5] |
| ペット用ドアの設置 | 1.5〜6万円/箇所 | リショップナビ[5] |
| 腰壁の設置 | 1〜2万円/m | リショップナビ[5] |
| 室内戸の交換 | 3〜10万円 | リショップナビ[5] |
材料単価は東リが公表しているので確かめられます[8]。一方、床材の比較で分かったとおり、費用の大半は材料ではなく工事側です。床材そのものの違いは[ペット対応床材7種の比較](https://pet-kurashi.net/2026/08/19/pet-flooring-comparison/)、クッションフロアの仕様は[ペット用クッションフロアの検証](https://pet-kurashi.net/2026/08/20/pet-cushion-floor/)にまとめています。
そして、ここから先は資料では出せません。先ほどの事例に出てきた「スリット袖壁」「コンセント移設」「下地の補強」は、公開されている単価がありませんでした。これらは今の家の状態で金額が変わる工事だからです。
| 自分で当たりを付けられる | 家を見ないと出ない |
|---|---|
| 床材の種類と面積 | 既存床の撤去が要るか/重ね貼りできるか |
| 内窓の箇所数 | 窓枠に内窓を入れる奥行きがあるか |
| ペットドアの箇所数 | ドアの構造(中空か芯材入りか) |
| 腰壁の長さ | 下地の位置と補強の要否 |
事例の総額が当てにならないのは、この右側の列が家ごとに違うからです。逆に言えば、左側だけなら記事を読んで自分で計算できます。
床材の種類や内窓の箇所数までは、この記事の表で計算できます。
一方で、既存の床を剥がす必要があるか、内窓が入る窓枠か、腰壁を留める下地がどこにあるかは、家ごとに違います。ここが総額の差になります。
自宅の場合どうなるか分からないときは、写真を見ながら「工事が必要かどうか」の切り分けから相談できます。見積は施工会社が現地を見て作ります。
→ [無料相談はこちら](https://pet-kurashi.net/soudan/)
事例を読むときに見る4つの点
今回29件を読んで、編集部が「これは見ておくべきだった」と思った点をまとめます。
- 工期を見る。5日なのか数か月なのかで、工事の規模が総額より正確に分かります
- 総額に何が含まれているか探す。キッチンや浴室が入っていれば、それはペットの費用ではありません
- 金額がレンジ表記かを見る。「1000万〜1500万円」は500万円幅です。真ん中の値として読まない
- 建物種別と築年数を見る。同じ工事でも、既存の状態で費用は変わります
そのうえで、自分がやりたい工事1〜2点に絞った事例を探すほうが、総額の近い事例を探すより役に立ちます。
よくある質問
Q. 犬と暮らす家のリフォームは、普通のリフォームより高くつきますか?
A. 今回確認した範囲では、そう判断できる根拠は見つかりませんでした。ペット向けの「相場」が高く出るのは、事例として公開されるものが大規模な工事に偏っているためと考えられます。全国調査では、リフォーム実施者全体の中央値は210.0万円です[3]。
Q. 事例の総額に、家具や引っ越し費用は入っていますか?
A. 今回見た29件では、総額に何が含まれるかの注記はほとんどありませんでした。判断できないため、事例の総額は工事費の目安としても使わないほうが安全です。
Q. 部分的な工事だけでも頼めますか?
A. 今回唯一、工事項目まで公開されていた事例は、床・内窓・腰壁・建具で工期5日・80〜100万円でした[7]。部分工事の事例は公開数自体が少ないだけで、工事として成立しないわけではありません。
Q. 補助金は使えますか?
A. ペットを理由にした補助金はありませんが、内窓のように断熱を理由にすれば対象になる工事があります。制度名と金額は[ペットリフォームの補助金](https://pet-kurashi.net/2026/08/22/pet-reform-subsidy/)にまとめています。なお全国調査では、実施者の費用のうち補助金は平均18.5万円でした[3]。
編集部の結論
犬と暮らす家のリフォーム事例は、金額を知るためではなく、工事の種類を知るために読むものだと考えます。
今回の調査で確かめられたのは次の点です。
- 公開事例29件のうち、工事ごとの内訳を出しているものは0件[4][5][6][7]
- ペットリフォームの「相場」600〜900万円は、集計件数も期間も公開されていない[1][2]
- 全国調査(n=1,175)では、実施者の費用は中央値210.0万円・平均405.4万円。平均は中央値のほぼ2倍[3]
- 全国調査の選択肢に「子どもの事故防止」はあるが、ペットに相当するものは無い[3]
- 工期が総額より正確に工事規模を表す。5日80万円の事例と、1000万円超の全面リノベが同じ「事例」として並んでいる
そのうえで編集部としては、「まず床だけ」「まず内窓1箇所だけ」と決めてから事例を探すことをおすすめします。総額の近い事例を探すと、自分がやらない工事まで含んだ金額を見ることになります。
くらすけ
「いくらかかるか」より先に「どこをどうしたいか」なんだね。それなら、うちの階段と床の話からでいいのかも。
あわせて読みたい
- [ペットリフォームの費用相場まとめ|工事別の目安と優先順位の付け方](https://pet-kurashi.net/2026/08/20/pet-reform-cost/)
- [ペットリフォーム業者の選び方|見積もり比較で見るべき5つの点](https://pet-kurashi.net/2026/08/20/pet-reform-contractor/)
- [ペットリフォームに補助金は使える?対象になる工事と申請の注意点](https://pet-kurashi.net/2026/08/22/pet-reform-subsidy/)
- [犬が滑らない床にするリフォーム完全ガイド|床材の選び方と費用](https://pet-kurashi.net/2026/08/20/dog-non-slip-floor/)
参考文献・出典
(すべて2026-08-28確認。編集部が公開情報を直接確認したもの)
- SUUMOリフォーム「ペットを目的としたリフォーム費用・価格相場情報」(中心費用帯/算出方法の注記) https://suumo.jp/remodel/soba/rm_pets/
- ホームプロ「ペットと暮らすためリフォーム費用相場・事例」(中心価格帯/集計方法の注記) https://www.homepro.jp/hiyou/pet/pet.html
- 一般社団法人住宅リフォーム推進協議会「2025年度 住宅リフォーム消費者(検討者・実施者)実態調査報告書」(2026年2月。調査時期2025年7月18日〜8月1日、本調査n=1,175。リフォーム費用の平均・中央値、Q7きっかけ、Q10実現したかったこと) https://www.j-reform.com/publish/pdf/jitsurei-R7-c.pdf
- ゼロリノベ「ペットと暮らすリノベーション事例21選」(猫編11件・犬編10件) https://www.zerorenovation.co.jp/works/contents/casestudy-pet
- リショップナビ「ペットのためのリフォーム・リノベーション」(施工事例6件/工事別費用目安) https://rehome-navi.com/articles/464
- グランディリフォーム「愛犬と暮らすための増築リフォーム 事例・お客様の声」(工事費約350万円/工期約45日) https://www.grandy-reform.jp/example/2875/
- わんにゃんホーム「施工事例|犬と猫との快適で安心なリフォーム」(80〜100万円/工期5日/工事6項目) https://wannyan-home.com/casestudy01.html
- 東リ フロア総合カタログ「CFシート-P NW(CF3720)」製品仕様(材料単価4,150円/㎡・税抜) https://www.toli.co.jp/product/search/floor_number/CF3720

