「犬 吠える 飼い主」は月に390回検索されています[4]。
よくある質問を26件並べて重ならない5つの群に分けると、いちばん大きいのは「犬が飼い主に吠える理由は何ですか?」(相対需要100)を筆頭とする飼い主に向かって吠える群で、9件・合計204。全体の60.0%です[4]。
そこで編集部は、国と自治体の公表文書にこの場面が載っているかを見に行きました。結果は、3つとも載っていません。
環境省のガイドライン(全24ページ・本文25,926字)で「吠」の字が出てくるのは7か所[2]。そのうち具体的な打ち手が書かれている2か所は、どちらも「屋外で飼う場合」の箇条書きの中でした。室内飼いのページに、吠えの話は1か所もありません。
くらすけ
うちの子が吠える相手が、通行人でも宅配の人でもなくて、いっしょに住んでる人だったら。それは家の話なんでつか、気持ちの話なんでつか。
先に、数字だけ
- 🔴 環境省ガイドラインの「吠」7か所のうち、p.13 以降(室内飼いの項)は0か所[2]
- 🔴 「犬の居場所を移したり」と書かれているのは、屋外飼育の項の中[2]
- 🔴 告示が家の側に求めているのは「必要な運動、休息及び睡眠」と「適切な日照、通風」「適切な温度や湿度」[1]
- 🔴 秋田県・大館保健所が鳴き声の原因として名指ししているのは、運動不足と拘束[3]
- したがって編集部の判断は、「気持ちの話に入る前に、寝る場所の条件を3つだけ見る」です。3つとも公表文書に根拠のある条件で、今日その場で確かめられます
「飼い主に吠える」は、国の資料に載っているのか
まず、載っていないことを確かめた手順から書きます。
環境省「住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン」(平成22年2月・全24ページ・本文25,926字)を全文取得し、「吠」の字で走査しました(2026年9月20日13時台・NFKC正規化後)。ヒットは7か所で、内訳はこうです[2]。
| ページ | 何の文脈か | 具体的な打ち手 |
|---|---|---|
| p.10 | 高齢犬の認知症の症状の列挙 | なし |
| p.10 | しつけ(無駄吠えの防止) | なし |
| p.11 | 住宅密集地の導入(遠吠え・夜鳴き) | なし |
| p.11 | 犬種選び(よく吠える特性のある犬種) | なし |
| p.11 | 屋外飼育の箇条書き | あり |
| p.11 | 屋外飼育の箇条書き(続き) | あり |
| p.12 | 複数頭飼育の衛生面 | なし |
🔴 p.13 以降、つまり「3. 室内飼いの際に注意しなければならないこと」から後ろには、「吠」が1か所もありません。
もうひとつの文書、環境省告示「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」(平成14年環境省告示第37号・最終改正 令和4年環境省告示第54号・本文7,568字)も確認しました[1]。
なお、この告示に「吠」という字が0件であることは、犬が吠えるしつけ|何に吠えているかの見分け方で先に実測しています。本記事が新しく数えたのは、ガイドライン側の7か所の所在です。
書いてあった2か所は、外で飼う犬の話でした
ガイドラインで打ち手が書かれていた2か所を、そのまま引用します。場所は「屋外で飼う場合は、次のことを心がけてください。」に続く箇条書きの中です[2]。
外部からの刺激で吠えるような場合には、原因を調べてそれにあった対策を行います。[2]
たとえば、外を人が通るのが気になる場合は、犬の居場所を移したり、外から見えないように植え込みを作ったりします。特定のものに対して吠えるようなら、そのものを遠ざけるなどの配慮も必要です。[2]
ここに出てくる打ち手は3つです。①居場所を移す ②見えないようにする ③特定のものを遠ざける。
⚠️ この引用そのものは、当メディアでは新しくありません。通行人に向かう吠えについては通行人に吠える犬|窓から見える範囲の切り方で、理由の分類は犬が吠える理由|通行人・来客と、家でできる対策で、すでに扱っています。
この記事が引き受けるのは、その先です。外を通る人ではなく、同じ家に住んでいる人に向かって吠えるとき、この3つは室内に読み替えられるのか。
室内飼いのページには、何が書いてあるのか
同じガイドラインの「3. 室内飼いの際に注意しなければならないこと」を開くと、項目は6つです[2]。
- 穏やかな生活環境
- 室内の温度、湿度管理
- 床材の配慮
- 事故の防止
- タバコや化学物質の影響
- 衛生害虫の発生防止
吠えの話はありません。床材については「フローリングなどで滑って 関節を痛めるなどの 事故が起きることがあります。」[2]と書かれていて、これは犬が滑らない床にするリフォーム|「関節に悪い」は本当か、から始めるで扱っている内容です。
ただ、この6項目の中に、「飼い主と犬の距離」に触れている記述が1か所だけありました。
擬人化して扱うことや溺愛はやめましょう。溺愛しすぎると、飼い主がいないと鳴くなどの問題行動を起こすことがあります。[2]
🔺 ここは慎重に読む必要があります。書かれているのは「飼い主がいないと鳴く」、つまり不在時の話です。在宅中に飼い主へ向かって吠えることについては、この文も何も言っていません。
🔴 そして編集部は、読者の接し方を評価しません。この一文は国の文書にある記述としてそのまま置きますが、「あなたが甘やかしたから吠える」という読み方は、この一文からは導けません(この判断は編集部のものです)。
国が家の側に求めているのは「運動・休息・睡眠」
では、告示は家の側に何を求めているのか。第3「共通基準」の1をそのまま引用します[1]。
所有者等は、次の事項に留意し、家庭動物等の種類、生態、習性及び生理に応じた必要な運動、休息及び睡眠を確保し、並びにその健全な成長及び本来の習性の発現を図るように努めること。[1]
同じ節の(3)には、場所そのものの条件があります。
飼養施設の設置に当たっては、適切な日照、通風等の確保を図り、施設内における適切な温度や湿度の維持等適切な飼養環境を確保するとともに、適切な衛生状態の維持に配慮すること。[1]
運動・休息・睡眠と、日照・通風・温度・湿度。これが国の基準の言葉です。
そして、現場の行政文書も同じ向きを書いていました。秋田県・大館保健所の「3犬の鳴き声」の節です[3]。
犬は、毎日適度な運動が必要です。犬種により、体格の大きさに応じた運動量を求めますので、散歩に出なかったり、繋ぎっぱなしの状態で飼われていることは、犬にとって大変なストレスとなり、鳴いたり、無駄吠えの原因となったりします。[3]
鳴き声の原因として名指しされているのは、運動不足と拘束です(この突き合わせは編集部のものです)。
くらすけ
気持ちの話が1回も出てこないでつね。運動と、休むところと、暑さ寒さ。全部、家で見られるやつでつ。
家で見直す3か所
ここからは、上の引用を室内に当てはめた編集部の整理です。当てはめは編集部が行ったもので、資料に「室内ではこうしろ」と書かれているわけではありません。
1. 寝る場所が、人の通り道の上にないか
告示は「必要な運動、休息及び睡眠を確保」と書いています[1]。
人が通るたびに起きる場所では、睡眠は確保できません(この当てはめは編集部のものです)。
見るところは3つです。
- 寝床やケージが、キッチンとダイニングの往復の線上にないか
- トイレや洗面へ行く通り道を、寝床の横をかすめて通っていないか
- 夜、寝室へ向かう人の足音が、寝床の真横を通る配置になっていないか
よくある質問には「犬が飼い主が動くと吠えるのはなぜ?」「犬が飼い主が座ると吠えるのはなぜ?」が入っていました[4]。人の動作に反応しているなら、まず人の動線と寝床の位置関係を見る、というのが編集部の順番です。
ケージの置き場所そのものは犬のケージの置き場所|リビング・寝室・和室の選び方にまとめてあります。
2. 寝る場所から、家じゅうが見えていないか
ガイドラインの打ち手②は「外から見えないように植え込みを作ったりします」でした[2]。外向きの話です。
室内に読み替えると、「犬の位置から、人の動きがどこまで見えているか」になります(この読み替えは編集部のものです)。
- リビングの真ん中に寝床があると、家族全員の動きが常に視野に入ります
- 壁を背にして、視野に入るのが一方向だけになる位置があるか
- サークルの3面に布をかけるだけでも、見える範囲は変わります(布の防音効果は別の話です。犬のケージの防音カバーは効果ある?効く音と効かない音)
⚠️ 「見えないようにすれば吠えなくなる」とは書きません。資料が言っているのは屋外の通行人についてであり、室内で同じ効果が出るかを示した資料には、今回当たっていません。
3. その場所の暑さ・西日は安定しているか
告示は「適切な日照、通風等の確保」「適切な温度や湿度の維持」を求めています[1]。ガイドラインの室内飼いの項にも、こうあります[2]。
犬や猫は夏場などの高温が苦手です。西日が強く当たるような環境や夏場に留守にす るような場合、エアコンをかけ るなど、適度な室温、湿度を保つ必要があります。[2]
「夕方になると吠える」なら、夕方その場所に何が起きているかを見る価値があります(この当てはめは編集部のものです)。西日が入る時間だけ室温が上がる場所は、家の中に珍しくありません。
室温そのものの目安は冬の犬の室温は何℃?床で測る目安と、窓の断熱でできることと断熱リフォームの効果|夏のペットの留守番と室温の保ち方にあります。
読み替えられなかった1つ
打ち手③は「特定のものに対して吠えるようなら、そのものを遠ざけるなどの配慮も必要です」でした[2]。
🔴 これは室内に読み替えられませんでした。
吠えている相手が飼い主本人だからです。遠ざける対象が家族であるとき、この打ち手は成立しません。家を建て替えても、間取りを変えても、この1つだけは家の側で解けません(この判断は編集部のものです)。
今回確認した3つの公表文書には、ここに対する答えがありませんでした。書かれていないものを、書かれているかのように補うことはしません。
行動そのものへの対応は、獣医師や、行動を扱う専門家の領域です。家の側で3か所を見直しても変わらないなら、そちらへ相談する段階だと編集部は考えます。
「いなくなると吠える」は、別の記事です
よくある質問26件のうち、7件・102(30.0%)は「飼い主がいなくなる」「姿が見えない」「出かけようとする」ときの話でした[4]。2番目に大きい群です。
🔺 この記事では扱いません。在宅中に向かってくる吠えと、不在時に鳴くことでは、家の側で見る場所が変わるからです。
不在時は犬の留守番|出かける前に家で見る5か所にまとめてあります。夜だけ起きるものは犬が夜中に吠える|夜だけ起きる刺激と切り分けの順番です。
よくある質問
Q. 犬が飼い主に吠える理由は何ですか?(相対需要100)
A. 🔺 本記事は理由を断定しません。今回確認した国と自治体の公表文書3本に、在宅中に飼い主へ向かう吠えの原因は書かれていませんでした[1][2][3]。書かれている範囲は、運動・休息・睡眠の確保と、場所の温度や日照までです[1]。理由の分類は犬が吠える理由|通行人・来客と、家でできる対策へ。
Q. 飼い主が動くと吠えるのは、しつけの問題ですか?
A. 判定できません。ただし人の動線と寝床の位置関係は、しつけとは別に今日確かめられます。告示が求めている「休息及び睡眠」の確保[1]は、場所の条件の話だからです。
Q. 甘やかしすぎたからでしょうか?
A. 🔴 その読み方は、資料からは導けません。ガイドラインには「溺愛しすぎると、飼い主がいないと鳴くなどの問題行動を起こすことがあります。」[2]とありますが、書かれているのは不在時に鳴くことで、在宅中に吠えることではありません。
Q. 犬が飼い主以外に吠えるのはなぜですか?(3件・23)
A. 来客や通行人に向かう吠えは犬が吠える理由|通行人・来客と、家でできる対策と通行人に吠える犬|窓から見える範囲の切り方で扱っています。インターホンの音は犬が吠えるインターホン対策|音を消せる機種と消せない機種です。
Q. 吠えるのを無視すればいいのですか?
A. 本記事では扱っていません。犬が吠えるのを黙らせたい|無視より先に家でできることにまとめてあります。
Q. 近所から苦情が来ないか心配です。
A. 犬が夜中に吠えると近所迷惑?苦情の前に家ですることへ。工事側の話は犬の鳴き声の防音対策|「吸音材を貼る」が効かない理由から始めるにあります。
Q. 寝床を動かせない間取りなのですが。
A. 🔺 記事では判定できません。動かせるかどうかは、間取り・建具の位置・使える面積で変わります。下の相談窓口で、工事が要るかどうかの切り分けから相談できます。
編集部の結論
「飼い主に吠える」は、公的な文書がいちばん答えを持っていない場面でした。
- 環境省ガイドラインの「吠」7か所のうち、室内飼いの項(p.13以降)は0か所[2]
- 具体的な打ち手(居場所を移す/見えないようにする/特定のものを遠ざける)は、すべて屋外飼育の項[2]
- 告示が家の側に求めているのは、運動・休息・睡眠と、日照・通風・温度・湿度[1]
- 秋田県・大館保健所が鳴き声の原因に挙げているのは、運動不足と拘束[3]
- 3つの打ち手のうち、③「特定のものを遠ざける」だけは室内に読み替えられなかった(相手が家族だから)
編集部としては、理由を探し続ける前に、寝床の3条件(動線の上にないか/視野が広すぎないか/西日と室温が安定しているか)を見ることをすすめます。5分で終わりますし、3つとも公表文書に根拠がある条件だからです(この順番は編集部の判断です)。
⚠️ 今回確認したのは公表文書だけで、実際の家で寝床を移動して吠えの回数を数えた検証ではありません。「動線を外せば吠えが減る」を示す資料には、今回当たっていません。当てはめとして書いたものは、すべて編集部のものです。
⚠️ 秋田県の資料は更新日が2017年10月2日で、掲載されている統計は平成24〜28年度のものです[3]。鳴き声の原因についての記述は年度で変わる種類のものではありませんが、統計を引くときは年度を確認してください。
自分の家の場合はどうなるか
寝床を人の動線から外せるかどうかは、間取りと建具の位置で決まります。ドアの開き方を変えるだけで通り道がずれる家もあれば、そもそも置ける場所が1か所しかない家もあります。記事ではそこまで判定できません。
工事が必要かどうかの切り分けだけでも、無料の相談窓口でご相談いただけます。見積は施工会社が現地を見て作るものなので、この場では出せません。
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※本記事は住まいづくりの観点から一般的な情報を提供するものであり、個々のペットの診断・治療に代わるものではありません。歩き方や行動に気になる変化がある場合は、かかりつけの獣医師にご相談ください。
次に読む
- 犬の留守番|出かける前に家で見る5か所
- 犬が吠える理由|通行人・来客と、家でできる対策
- 犬が吠えるのを黙らせたい|無視より先に家でできること
- 通行人に吠える犬|窓から見える範囲の切り方
- 犬のケージの置き場所|リビング・寝室・和室の選び方
- 犬のしつけでやってはいけないこと|家の側の準備
参考文献・出典
- 環境省告示「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」(平成14年環境省告示第37号・最終改正 令和4年環境省告示第54号。本文7,568字) https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/laws/nt_r02_21_1.pdf (確認日: 2026年9月20日)
- 環境省「住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン」(平成22年2月・全24ページ・本文25,926字) https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h2202.pdf (確認日: 2026年9月20日。⚠️ PDFの文字抽出で語の途中に空白が入るため、引用は原文のまま載せています。文字は変えていません。)
- 秋田県 北秋田地域振興局 大館福祉環境部(大館保健所)「近隣に迷惑をかけない犬の飼い方とは? ~「犬に関する被害苦情等の届出状況」から~」(コンテンツ番号29056・更新日 2017年10月2日・本文6,422字) https://www.pref.akita.lg.jp/pages/archive/29056 (確認日: 2026年9月20日)
- ラッコキーワード(サジェスト50件・よくある質問26件・見出し抽出332本。編集部実測・2026年9月20日)

